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④絶望

Author: 美桜
last update Last Updated: 2025-06-14 08:47:27

中津は知っていた。

3日前といえば、各部署のリーダーを集めランチミーティングという名の交流会をした日だ。

この日奥様は午前中から社長が造った特別室に来て、ずっとピアノの練習をしていたはずだ。

ミーティングを終えて社長が奥様の様子を見に向かわれて、その時に何かあったのか、いつの間にか来ていた奥様の妹の奈月さんを社長が抱きかかえて急いで出て行くところを見かけた。

中津は不満だった。

またあの女はなんの演技をしたんだ?いつもいつも社長にひっついて、慎みってものを知らないのか?

社長も社長だ!なんであんなわざとらしいぶりっ子に気が付かないのか、不思議でしょうがない。デレデレして、みっともない!

中津は憤慨していたが、彼は奈月の企みを見抜いていたので、この日たまたまランチミーティングに出ていた沢山の社員たちに彼らを目撃させない為急いで後を追い、社長専用のエレベーターから直接地下駐車場へと2人を案内し、無事、誰の目にも触れさせずに車を出させることに成功した。

もちろん病院にも連絡して、誰にも見られないよう裏口から入れるように手配した。

希純は彼の働きに満足そうだったが、奈月には睨まれた。

ふんっ、お前の思い通りになどさせるものか!

中津は美月の味方だった。

彼女は美しく、控えめで性格も穏やかで優しい。人を身分で判断せず、奈月のように下品でもない。

夫に対しての献身ぶりも素晴らしく、それを見た人らから希純はよく羨ましがられていた。

だが希純はそれを当たり前のように享受していたので、中津はいつも美月が焦れったくて仕方なかった。

美月。彼女は本当に亡くなったのだろうか…。

中津は彼女の儚げな微笑みを思い浮かべて泣きたくなった。

奈月のせいだ。そうに違いない。彼女がまた何かしたから社長は美月からの着信を無視したのだろうし、他のいろんな人からの電話も取らなかったのだ!

自分も彼らを人目に晒さないよう努力するのに気を取られて、その時きっと一人残されていただろう彼女を気遣うことができなかった…。

なんてことだ。

結局怪我もなにもなくて、医者に大げさだと呆れられた奈月の面倒をみる羽目になっていたなんて!

中津は未だにどこか事態を飲み込めていないような顔つきの希純に、恐る恐る尋ねた。

「奥様のご実家にお知らせいたしますか?」

「いや…。まず病院に行ってみよう…」

覇気のない迷いのある声音に、希純の混乱した様子がわかった。

Y総合病院にて。

目の前で静かにカルテをめくる医者は表面上とても淡々としていたが、その瞳には希純に対する苛立ちが滲んでいた。

「奥様の死亡原因は骨盤骨折による血管損傷…そこから引き起こされた大量出血と、あと腎臓の破裂があります。当院に運び込まれて来た時にはほぼ絶望的な状態でした…。我々も緊急オペを施しICUにて24時間体制の管理をしてきましたが、意識が戻ることなく今朝5時10分にお亡くなりになりました。」

「………」

希純は信じられないと言いたげに目を見開き、ワナワナと唇を震わせていた。

「佐倉さん、何かご質問はありますか?」

当初とても威圧的な態度だった患者の夫の青褪めた顔と、何度も口を開くが声にならない様子に、担当医が尋ねた。

「手は…」

「手?」

「彼女は…手を怪我していませんでしたか?」

そう言われてカルテを見た医者はあぁ、と頷いた。

「していらっしゃいましたよ。怪我、というレベルではありませんでしたが。一体何をしたらあんなにひどい骨折をされるんだか…。指はほぼ全部折れていました。右手にいたっては手の甲の部分も粉々で…」

「!!」

希純はハッと息を引き、その顔に苦悩の色があった。

「あぁ、それから…」

医者は益々気の毒そうに告げた。

「これは、おそらくご本人もご存知なかったと思いますが…」

「?」

「佐倉美月さんは妊娠されていました」

「!!」

今度こそ希純は頭の中にガーンと大きな衝撃音が鳴り、キーンという耳鳴りが全ての音を遮った。

全ての力が抜けたように椅子の背もたれに身体を預け、ギュッと目を閉じた。

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