Share

chapter07

Penulis: 水沼早紀
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-08 00:13:04

「……いただきます」

 私はカクテルを一口口に含んだ。

「……ん、おいしい」

 これを飲むと、なんだか落ち着く……。

「瑞紀」

「え?」

 課長は私の名前を小さく呼んだ。

「言っただろ?二人きりの時は"瑞紀"って呼ぶって」

「あっ……」

 思い出した。そういえばあの時、そんなことを言ってたような……。

「……なあ、瑞紀」

 私の手を握る課長に、ドキドキする。

「はい……なんでしょう?」

「瑞紀も俺のこと、"恭平"って呼んでみて?」

 え、え……ええっ!? な、名前で……!?

「二人きりの時は、お互い名前で呼び合おうか、瑞紀」

 甘い声でそう囁いてくる課長に、私の心臓はもう爆発寸前だ。

 ドキドキしすぎて、死んでしまいそうになる。

「瑞紀……今日もホテル、行く?」

「えっ……?」

 そ、それってーーー。

「ん?」

「……でも、課長」

「だから今は、課長じゃなくて、"恭平"って言っただろ?」

「あ……はい」

「どうする瑞紀? ホテル……行く?」

 早く答えろと言わんばかりに、課長が目で訴えてくる。

 そう、イケないことだってことは、分かってるの。 でもーーー。

「……行きたいです」

 それでも私の身体が、課長を求めてしまっているんだ。

「じゃあ行こうか」

「はい……」

 そして私たちは、そのままホテルへと向かってしまったーーー。

 ホテルの部屋に入った課長は、すぐにベッドに腰を下ろし、ネクタイを緩め始める。

 ドキッーーー。

 課長がネクタイを緩める姿はやけに色っぽくて、つい見入ってしまう。

「……ん?どうした?」

 課長が不思議そうに私を見つめる。

「あ、いえ。……なんでもありません」

 これら一体、なんて言うのだろうか。

 課長には大人の魅力というものがあって、なんていうか……人を引き付ける力が何かあるのかもしれない。

 課長を見てるだけでドキドキして、なんだか恥ずかしい気持ちになる。

「瑞紀、こっちにおいで?」

「はい」

 私は課長の隣にそっと腰を下ろした。

「……あの、課長?」

「ん?」

「どうしてあの日……あのバーにいたんですか?」

 そう聞くと、課長は私の手を握り「瑞紀に会いたかったからだ」と答えた。

「え……?」

「実は俺、瑞紀のことずっと見てたんだ」

「……ずっと?」

 ずっとって……いつから?

「ああ、瑞紀があのバーに通い始めた時からずっとな。……
Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi
Bab Terkunci

Bab terbaru

  • あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。   chapter08

     そこで言葉が止まる。 いいのだろうか、こんなことを言って……。「……瑞紀?」「恭平さんは……」 でも、どうしても言いたいという気持ちがどこかにあって……。「瑞紀? どうした?」「……いえ、やっぱりなんでもありません」 でも私は、口を開くのをやめた。 本当は課長に聞こうと思ったんだ。  なんで私に、こんなに優しくしてくれるのか。 そしてさっきの電話の相手が、誰なのか。  でも臆病な私は、それを聞けなかった。 違う、多分聞くのが怖いんだと思う。 こうやって日を重ねるごとに不安になっていく。 課長と私の関係って……一体なんなのかを。  上司と部下。でも恋人……なのかも分からない。「……あの、恭平さん」「ん?」「私たちの関係って……一体なんですか?」「え……?」 それでも私は、その答えが知りたい一心で課長を見つめる。「……なんでそんなこと、聞くんだ?」 課長の瞳は私をしっかりと捉えている。「知りたかったんです。……私と課長の関係がなんなのか」 私たちの関係に名前を付けるとしたら、何なんだろうか。「……瑞紀」「私たちの関係って、一体なんですか……?」 この関係に名前を付けるとしたら、それに名前はあるのだろうか……?  私にも分からない。 でも大体、返ってくる答えは分かっていた。「……身体だけの関係ってヤツ、なのかな、今は」「……今は?」 やっぱり、やっぱりそうなんだ。 そうだよね、これは思った通りの答えだった。  私は課長との関係に、何も期待なんてしてなかったーーー。  関係だけの関係という名前が、私たちの今の関係ってことだよね……。✱ ✱ ✱「……紀?」「………」「ちょっと、瑞紀!」「えっ!?」「ちょっと聞いてるの?」 今まで沙織に呼ばれていることにも、全く気付かなかった。「……ごめん、聞いてなかった。なに?」 沙織にため息を吐かれた後、「ねえアンタ、なんかあった?」と問いかけられ、思わずドキッとする。「アンタ、今日なんか変だよ? なんかあったの?」「……ううん。別になんでも」「本当に?」 沙織には心配をかけたくなくて「うん。だから心配しないで」と伝えた。「分かった。なんかあったらいつでも相談してよ?」「うん、ありがとう」 私はデスクから課長にチラッと視線を向ける。「佐倉さん」

  • あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。   chapter07

    「……いただきます」 私はカクテルを一口口に含んだ。「……ん、おいしい」 これを飲むと、なんだか落ち着く……。「瑞紀」「え?」 課長は私の名前を小さく呼んだ。「言っただろ?二人きりの時は"瑞紀"って呼ぶって」「あっ……」 思い出した。そういえばあの時、そんなことを言ってたような……。「……なあ、瑞紀」 私の手を握る課長に、ドキドキする。「はい……なんでしょう?」「瑞紀も俺のこと、"恭平"って呼んでみて?」 え、え……ええっ!? な、名前で……!?「二人きりの時は、お互い名前で呼び合おうか、瑞紀」 甘い声でそう囁いてくる課長に、私の心臓はもう爆発寸前だ。 ドキドキしすぎて、死んでしまいそうになる。「瑞紀……今日もホテル、行く?」「えっ……?」 そ、それってーーー。「ん?」「……でも、課長」「だから今は、課長じゃなくて、"恭平"って言っただろ?」「あ……はい」「どうする瑞紀? ホテル……行く?」 早く答えろと言わんばかりに、課長が目で訴えてくる。 そう、イケないことだってことは、分かってるの。 でもーーー。「……行きたいです」 それでも私の身体が、課長を求めてしまっているんだ。「じゃあ行こうか」「はい……」 そして私たちは、そのままホテルへと向かってしまったーーー。 ホテルの部屋に入った課長は、すぐにベッドに腰を下ろし、ネクタイを緩め始める。 ドキッーーー。 課長がネクタイを緩める姿はやけに色っぽくて、つい見入ってしまう。「……ん?どうした?」 課長が不思議そうに私を見つめる。「あ、いえ。……なんでもありません」 これら一体、なんて言うのだろうか。  課長には大人の魅力というものがあって、なんていうか……人を引き付ける力が何かあるのかもしれない。 課長を見てるだけでドキドキして、なんだか恥ずかしい気持ちになる。「瑞紀、こっちにおいで?」「はい」 私は課長の隣にそっと腰を下ろした。「……あの、課長?」「ん?」「どうしてあの日……あのバーにいたんですか?」 そう聞くと、課長は私の手を握り「瑞紀に会いたかったからだ」と答えた。「え……?」「実は俺、瑞紀のことずっと見てたんだ」「……ずっと?」 ずっとって……いつから?「ああ、瑞紀があのバーに通い始めた時からずっとな。……

  • あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。   chapter06

     しかもこんなメモまで渡してきて……。一体、何を考えてるの……?「……佐倉さん」「はいっ!」「コピーはまだですか?」「あ、すいません……今すぐにっ」 なんかあのメモ渡された後に課長に近寄られると、変に意識しちゃう気がする……!「急いでくださいね」「はい……すみません!」 課長は自分のデスクへと戻って行く。 あの……課長、さっきの笑顔はなんですか?「……はあ」 課長のことを考えると、なんだかいっぱいいっぱいになりそうだ。 なんか今の私、とてもじゃないけど余裕がない。 ダメダメ。今は自分に集中しなくちゃ!「課長、コピー終わりました」 課長はコピーした資料を受け取り、それに目を通し始める。 ああ……カッコイイ。 課長を見てると、単純にそう思うのはなぜだろう。 確かに課長は、誰から見てもカッコイイし、仕事もちゃんと出来る人だ。 でも課長の笑顔は、時々子供みたいで可愛い。「……どうしました?」「あ、いえ……なんでもありません。 失礼します」 私は課長に頭を下げ、自分のデスクに戻った。「瑞紀、メール来てたよ」「メール? 誰から?」「さあ?分かんない」「そう。ありがとう」 私はすぐに、パソコンを開き、メールボックスを開く。【君は本当に可愛いね】「……え?」  か、課長……!? そのメールは課長からだった。「瑞紀、メール誰から?」 沙織にそう聞かれて、私は咄嗟に「えっ!?あ……取引先の人からだった」とウソを付いた。「ふーん、そう」 沙織が前を向いた瞬間に、「はぁ……」と小さくため息を吐く。 課長、いい加減にしてくださいよ……。一体私を、どうしたいんですか? その後も課長は、あらゆる手で私に迫ってきた。 例えば給湯室でお茶を煎れてる時。課長は私の耳元で、こんなことを呟いた。「二人の時は"瑞紀"って呼んでもいい?」「えっ!?」「ダメ?」 私はそれを聞いた時、ドキドキした。 なんだか課長に迫られると、仕事に集中できなくなりそうで……。 しかも課長と度々目が合うせいか、課長とは目を合わせたくないとさえ思う。 私は完全に、課長という人間が分からなくなっている。✱ ✱ ✱「……ふうっ」 どうしよう。やっぱり来てしまった。 この前課長と出会った、あのバーに……。 行こうかどうか最後まで迷っていたけど、私の

  • あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。   chapter05

     でも、でもね……。「不思議だけどオーラがすごく出てるから、一目でカッコイイって分かるよね」「うんうん。確かに見てるだけでカッコイイ」 でもね、課長はカッコイイだけじゃない。「でもどこかミステリアスで、なんか近寄りがたいオーラ放ってる気がする」「確かに。課長ってカッコイイけど、どこかミステリアスだよね」「うん。なんか何を考えてるの分からないから、時々困る」「まあ、それはあるわねぇ。ミステリアスな人って、時々訳分からなくなるわよね」 そうなんだよね……。本当に、それなの。「でも課長って、アンタには優しいわよね?」「えっ!そう?」 課長が? 私には優しい……?「うん。なんか、瑞紀にだけは妙に優しいっていうか……」「そうかな? そうでもないと思うよ?」 そう思っていたけど、沙織は「いや、間違いなく優しいわよ。 もしかして課長、アンタのこと好きになったとか?」と言ってくるから、私は思わず「えっ!まさか……!」と沙織を見る。 課長が、私のことを好き……?「いや、ありえないよ」「なんでそう言い切れるのよ。 もし課長がアンタを好きだったら、どうするのよ」「……まあ、その時はその時だけど」「なによ、それ」 沙織にはさすがに、言えなかった。課長とのあの夜のことは。  あの夜を一緒に過ごした男性が課長だなんて言ったら、私は絶対課長との仲を怪しまれる。  私たちが社内恋愛してると思われても仕方ない。だからこそ、沙織にも言えなかった。「じゃあ瑞紀、私もう仕事戻るよ?」「うん。付いててくれて、ありがとう沙織」「うん、じゃあね。ゆっくり休んでるんだよ」「ありがとう」 沙織はニコッと微笑むと、医務室を出て行った。「……いや、好きとか、ありえないと思う」 あのミステリアスな、課長がだよ?……ないない。 確かに私と課長はあの日、お互いを熱く求め合ってしまったけど。  こんなことを言うのはおかしいけれど、課長に抱かれてる間の私は、また課長に抱かれたいと思ってしまっていた。 本当に一瞬だけだけど、彼となら身体だけの関係でもいいから、付き合いたいと思ってしまったのもまた事実で。  でもそれは、私たちにとってたった一晩の過ち。  そんな関係になることを、私たちは望んでいた訳じゃない。 たった一晩の関係。 そう、それだけだったのに。  私

  • あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。   chapter04

     おまけにちょっと頭も痛いし、熱っぽい気がするような……。  それでも今日は、課長の大事な会議があるから休む訳にもいかなくて、ムリして出勤してきた。 ああ、なんか頭がボーッとする。 しかも、なんかクラクラする……。 ダメダメッ!しっかりするのよ、私。 今日は大事な会議があるんだから、ここで甘えたら課長の期待が全部水の泡になっちゃう。「おはようございます。先輩」 そんなことも知らずに、ニコッと子犬みたいな笑顔を浮かべるのは、私の部下で二つ年下の前川英二(まえかわえいじ)だ。 名前はカッコイイのに童顔で、世間から見たら高校生くらいに見える。 それでもれっきとした、社会人だけどね。「……ああ、おはよう」 と挨拶すると、英二は「どうしたんですか? なんか顔色悪いですよ?」と私の顔を覗いてくる。「……大丈夫よ。ちょっと疲れてるだけだから」「でも先輩、なんか顔赤くないすか?」「大丈夫。……大したことないから」 英二は心配そうな顔で私を見てくる。「そうですか? ならいいんですけど……」 ありがとう英二。心配してくれるのは、ものすごくありがたいんだけど、私はこんな所で負ける訳にはいかないのよ。 ちょっとくらい無理をしないと、仕事なんかやってられない。 私は一応、キャリアウーマンなんだから。 その後、みんな時間通りに出勤してきて仕事を始めた。「おはようございます」「「「おはようございます、課長」」」 課長が出勤してくると、なぜかみんなの態度が変わる。 まあ確かに課長は、この部署じゃ一番偉い人だから。 みんな課長の言うことは、しっかり聞くんだよね。「おはよう佐倉さん」「おはよう……ございます」 あれ、ヤバい。頭がクラクラしてきたせいか、頭がボーッとする……。「どうしました?佐倉さん。なんか顔色があまりよくないようですが?」「い、いえ……大丈夫です」 ダメだ……。頭がボーッとして、意識が途切れそう……。「大丈夫ですか?無理はしないでくださいね」「はい……」 あれ……。意識がーーー。「佐倉さん!大丈夫ですか!?」「瑞紀!? 大丈夫!?しっかりしてっ!」 みんなの声が、だんだんと遠のいていく。「さ……さん!」 そこで私の意識は、途切れたーーー。* * *「……んっ」「瑞紀? 起きた?」「……沙織?」 目が覚める

  • あなたと紡ぐ永遠の愛は奇跡でした。   chapter03

    「課長、これ次の会議の資料です。間違ってないかの、確認をお願いしたいのですが……」「はい。分かりました」 私はそれから、普通を装いながら仕事をしている。  あの後は、課長と別に何事もなく過ごせているからいいのだけど、正直課長と目が合うとドキッとしてしまう。 ハッキリ言って、ものすごく気まずくてしょうがないけど、でもこれは仕事上関係だ。  もうしょうがないと、割り切ることにした。 公私を分けなきゃ、みんなに怪しまれるしね……。「これでいいでしょう。 ではコピーして、皆さんに配布してください」「はい」 会社での課長は、ものすごく真面目な人だ。 仕事も出来て、みんなから信頼されている。  おまけにカッコよくて、しかも誰にでも優しくて。 ……私は、あんなに素敵な男性に抱かれたんだ。  まだ実感はしてないけど、彼にまた抱かれたいと思ったのはきっと好奇心からなんだろうな。 課長に抱かれたあの日、部屋の中で彼のことについてずっと考えていた。  そしてその時思ったのは、また彼に"抱かれたい"という気持ちだった。 でもあの夜のことは、私の胸の中にひっそりと閉まっておこう。 そう決めていた矢先、彼がここにやってきたのだ。  すごくビックリして、瞬きすら出来なかった。 ゙開いた口が塞がらない゙とは、きっとこういうことを言うのだろうと、この時初めて思った。  最初は気まずくてしょうがなかったけど、あの後から課長も公私を区別してくれているのか、みんながいる前では余計なことは話してこない。 まあ話したら、あの夜のことを思い出してしまいそうだし。  今はちゃんと公私を区別して、自分の仕事はちゃんとこなしてるけど、私は自分の仕事をするだけだ。仕事にプライベートを持ち込まないのが、私のプライドだから。  この部署の社員の人達からは、私がプライドの高い女だと、思われてるみたいだけど。  別に誰がなにを言ってようが、私には関係ない。 そういうのをいちいち気にしてたら、仕事なんかしてられない。「瑞紀、これもコピーお願い」「了解」 頼まれた仕事をするのが私にとっての誇り。  会社ではそこそこいい取引してるけど、実際はみんなが手伝ってくれるおかげでもある。「課長、コーヒーどうぞ」 課長の目の前にコーヒーを置く。「ああ、ありがとう」 課長は私を見てニコッ

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status