Share

332話

Penulis: 籘裏美馬
last update Tanggal publikasi: 2026-04-02 19:07:42

「苓さん、おはようございます」

「茉莉花さん、おはようございます」

私たちは軽く挨拶を交わし、2人並んで建設現場に向かう。

既に躯体工事も始まっていて、現場は色々な資材が置かれていて危ない。

私と苓さんは着用が義務付けられているヘルメットを被り、進捗状況を見て回っていた。

「骨組みが入ると一気に店舗感が増しますね」

「そうですよね、これから骨組みが出来上がり、外装、内装と進んでお店になっていくのが楽しみです」

「庭園の方も同時進行でしたっけ?」

「はい、そうなんです。庭園の方も視察しますよね?」

「ええ、行きましょうか茉莉花さん」

私たちが庭園の方に向かうと、多くの作業員の方達

が作業していた。

今はまだ立派な庭園ではないけど、これから素晴らしい和風庭園が出来るのだろう、とわくわくしてしまう。

一通り現場視察が終わり、私と苓さんは現場監督の元に向かい、工事の進み具合や不足しそうな資材がないか、人員の不足はないかなどを確認する。

確認が全て終わり、次の視察の予定などを話してから私たちの現場視察は終わった。

「茉莉花さん、会社に戻る前にどこかで食事でもしま
Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi
Bab Terkunci

Bab terbaru

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   335話

    病室に移動し、私たちはベッドに横たわる苓さんの近くに座った。 苓さんは目を閉じ、眠ったままで。 頭部には痛々しい包帯がぐるぐると巻かれていて、腕にはいくつもの管が繋がれていた。 倒れてくる鉄骨から頭部を守るためだろうか。 苓さんの腕にはいくつもの痣が出来ていて。 「──苓さん」 「茉莉花さん、良かったら苓の手を握ってあげてください。茉莉花さんが傍にいれば、苓もすぐ目を覚ましてくれますよ」 「圭吾さん……ありがとうございます」 にこり、と笑みを浮かべてそう言ってくれる圭吾さん。 私はそっと苓さんの手に腕を伸ばし、苓さんの手を両手で包み込むように握った。 (暖かい──……) 苓さんの手は、暖かくて生きているのだ、とほっとする。 あの時。 鉄骨の崩壊に巻き込まれた苓さんを見た時。 鉄骨の間から広がる血溜まりを見た時。 最悪な結末を一瞬想像してしまった。 だけど、今こうして苓さんは生きている。 生きててくれているのだ。 (本当に、良かった──……) 目の前が涙でじわじわと滲んで来る。 そんな私に、谷島さんが近付き、話しかけた。 「藤堂さん、少し事故の時の事を聞いてもいいですか?」 「谷島さん」 「藤堂さんと小鳥遊が視察中、最初は鉄骨がちゃんと固定されていた、と聞いています。……それが、いつの間にか固定が外れていた、と」 「──ええ、そうです」 私は苓さんの手を握りつつ、谷島さんの問いにしっかりと頷いた。 そんな私の返答を聞き、谷島さんも。お父様も。そして圭吾さんの表情も険しくなる。 「──なら、もしかしたら……事件性があるかもしれませんね。周囲の防犯カメラを確認します。俺は仕事に戻ります。小鳥遊が目を覚ましたら、連絡をください」 「分かりました……!よろしくお願いします……!」 仕事に戻る谷島さんを見送り、お父様も私に無理はしないように、と残してから会社に戻った。 病室には私と圭吾さんだけが残ったけど、それからその日の内に苓さんが目を覚ます事はなくて。 私も、圭吾さんもその日は後ろ髪を引かれる思いで病院を後にした。 ◇ それから、翌日、翌々日、と苓さんの入院している病院にお見舞いに行ったけど、苓さんが目を覚ます事は無かった。 主治医の先生も、手術は成功しているから目を覚ますはずだ、と首を捻っていて。

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   334話

    ◇ 「茉莉花……!」 「藤堂さん、苓は……!」 バタバタ、と廊下を駆けて来るお父様と、苓さんのお兄様、圭吾さん。 ここは、病院。 手術室の前。 私は、苓さんと同じ病院に救急車で運ばれ治療を受けた。 その間に私と苓さんの事故の報告が入ったのだろう。 お父様と苓さんのお兄様が真っ青な顔で私に駆け寄ってきたのだ。 「お父様に、圭吾さん──」 「茉莉花、大丈夫なのか!?現場視察中に鉄骨の下敷きになった、と……!」 「私は大丈夫、です。苓さんが庇ってくれて──……っ」 「まさか、それで苓くんが鉄骨の下敷きに……?」 お父様は真っ青な顔のまま、手術室を見やる。 私は力なく頷く事しか出来なかった。 「はい、申し訳ございません……私のせいで、苓さんが大怪我を……」 私が項垂れつつそう告げると、お兄様の圭吾さんが私に一歩近付いた。 「茉莉花さん、あなたのせいじゃないよ。これは不幸な事故だ。それに、苓は頑丈なやつだからきっと大丈夫だ」 「圭吾さん……すみません、本当にすみません……」 私が顔を覆っていると、パタパタと廊下を急ぎ足でやって来る音が聞こえる。 私のすぐ近くに居たお父様が、その足音の主の名前を口にした。 「谷島さん、来て下さったんですか」 「──ええ、小鳥遊は無事ですか?」 谷島さんは額に汗を滲ませ、ハンカチで軽く汗を拭う。 私は谷島さんと圭吾さんに伝えるように口を開いた。 「頭部の出血が酷く……今は手術中、です……」 「頭部外傷か……」 谷島さんがぽつり、と呟き私たちは重い空気の中、押し黙る。 時間が経つのが凄く長く感じて。 私の隣に座ったお父様が、私を励ますようにずっと手を握ってくれていた──。 ◇ 何時間、経っただろうか。 唐突に手術室の扉が開き、執刀医が姿を見せた。 廊下で待っていた私たちに気がついた執刀医は「ご家族は?」と問うと、圭吾さんがさっと椅子から立ち上がった。 「兄です」 「では、ご説明するのでどうぞこちらへ──」 場所を移動するのだろう。 執刀医の言葉に、圭吾さんが首を横に振った。 「いえ、この場で大丈夫です。こちらにいらっしゃるのは本人の婚約者の女性と、女性のお父上。もう人かたは警視庁刑事課の方ですから」 圭吾さんは、私に気を使ってくれたのだろう。 確かに、苓さんの手術は

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   333話

    強い力で突き飛ばされた私の体は、そのまま重力に従い地面に倒れ込んでしまう。 砂利や細かい砂によって足に怪我を負い、微かに痛みを感じるが、鉄骨が崩れる物凄い音に痛みすらどこかに行ってしまう。 ガラガラ、と倒れた私の足元に鉄骨が崩れてきて、私はぺたりと座り込んだまま唖然とした。 さっきまで、私と一緒に歩いていた苓さんの姿は今、どこにも無い──。 「れい、さん……?」 ──嘘、でしょう。 鉄骨が崩れた大きな音に、現場監督や作業員の人達が大慌てでこちらに駆け寄って来るのが見える。 だけど、私は自分の足元──。 地面に散らばった鉄骨の合間から、真っ赤な血が滲み出ている事に気付き、私は慌てて立ち上がった。 苓さんは、倒れてくる私を突き飛ばし、そしてそのまま鉄骨の下敷きになってしまった──。 「──いやっ、苓さん!!」 「藤堂本部長!危ないから離れてください!」 「で、でも……!苓さ、小鳥遊部長が鉄骨の下敷きに……!」 「何ですって!?」 ざわざわ、と私たちの周囲に沢山の人が集まって来る。 私と監督が言葉を交わしている間も、鉄骨の隙間からはじわじわと滲み出る血の範囲は広がって行く。 「──おい!救急車を呼べ!あと、警察に通報を……!」 「わ、分かりました……!」 「それと、鉄骨を引き上げる重機を持ってこい!早く!」 現場が、一気に大混乱に陥る。 多くの人が慌ただしく動き回る中、私はパニックに陥るだけで現場の邪魔をしているだけ。 それは分かっているのに、どうしても苓さんの傍から離れる事が出来なくて。 「本部長、鉄骨を引き上げる作業に入ります。この場にいると危ないですので、こちらに……」 監督が気遣うように私に声をかけてくれる。 ここからどかないといけない。邪魔になるから移動しなくちゃならない──。それは分かっているのに、私の足は地面に縫い付けられたように動かす事が出来なくて──。 広がって行く血溜まりを目の前に、私は監督や他の作業員の方たちに体を支えられながら何とかその場を離れた──。 ◇ 鉄骨を退かし、救急車がやってくるのを私は呆然と見つめる事しか出来なかった。 到着した救急車は、2台。 1台は当然苓さんのため。もう1台は私のために手配されたものだった。 苓さんが鉄骨の雪崩に巻き込まれたショックが大きくて気づいていな

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   332話

    「苓さん、おはようございます」 「茉莉花さん、おはようございます」 私たちは軽く挨拶を交わし、2人並んで建設現場に向かう。 既に躯体工事も始まっていて、現場は色々な資材が置かれていて危ない。 私と苓さんは着用が義務付けられているヘルメットを被り、進捗状況を見て回っていた。 「骨組みが入ると一気に店舗感が増しますね」 「そうですよね、これから骨組みが出来上がり、外装、内装と進んでお店になっていくのが楽しみです」 「庭園の方も同時進行でしたっけ?」 「はい、そうなんです。庭園の方も視察しますよね?」 「ええ、行きましょうか茉莉花さん」 私たちが庭園の方に向かうと、多くの作業員の方達 が作業していた。 今はまだ立派な庭園ではないけど、これから素晴らしい和風庭園が出来るのだろう、とわくわくしてしまう。 一通り現場視察が終わり、私と苓さんは現場監督の元に向かい、工事の進み具合や不足しそうな資材がないか、人員の不足はないかなどを確認する。 確認が全て終わり、次の視察の予定などを話してから私たちの現場視察は終わった。 「茉莉花さん、会社に戻る前にどこかで食事でもしませんか?」 「いいですね。時間を昼時を外しているからどこのお店も空いていそうです」 「良かった。じゃあ、近場に美味しいお店がないか確認しますね」 私と苓さんはヘルメットをヘルメット置き場に戻し、監督に見送られながら歩き出す。 周囲にはこの現場で使用予定の沢山の資材が置かれている。 そんな場所を後にして、現場から出る手前。 鉄骨が積まれている場所に通りかかる。 視界の隅に鉄骨が積み上げられているのが見えて、違和感を覚えた。 (──あれ?確か、さっき見回った時は鉄骨はちゃんと固定されていたのに……) 今は固定されていた金具が見当たらない。 このままじゃあ崩れてきて危ないのでは──。 そう思った私は、監督にその事を伝えようと足を止めて振り向いた。 「──茉莉花さん?」 「すみません、苓さん。鉄骨がちゃんと固定されていないみたいで。監督に伝えて来ます」 「え……」 私がそう言うと、苓さんも足を止めて鉄骨に顔を向けた。 瞬間──。 「──茉莉花さん!」 「え……、あっ、きゃああ!!」 苓さんの叫び声が聞こえたと思った次の瞬間、鉄骨が倒れてくる大きな音が聞こえ

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   331話

    車が突っ込んで来て、ひやりとした日から数日。 私はその日、和風庭園カフェの現場にやって来ていた。 今日は着工日だ。 これから、お父様がお母様のために興した新規事業の和風庭園カフェ1号店が形になっていく。 1号店の完成間際に、虎おじさまが記念パーティーを開いてくれる事になった。 虎おじさまが力を入れてPRしてくれているから、この新規事業はとても大きな話題になるだろう。 「藤堂本部長。御足労いただきありがとうございます!」 「いえ、とんでもないです。着工日の今日が晴れで良かったですね」 「ええ、本当に!」 カフェ1号店の建設現場を取り仕切る現場監督の方が私に気が付き、話しかけてくれる。 監督と少し話をして、私は監督の案内の元現場を少し見て回る事にした。 「こちらの庭園側は、社長が仰っていた枯山水を設置する予定なんですよ。海外の方にも人気ですし、立地も良いのでとても人気のカフェになるのでは、と思います」 「ふふ、そうなると嬉しいですね」 「ええ。カフェ店内の椅子やテーブルは──」 監督が話してくれる内容に相槌を打ちつつ、店内を見回って行く。 そうしている内に、大分時間が経っていて。 初日の現場視察は、何事もなく穏やかに終わった。 帰宅時も、心配していたような事は起きず、無事に会社に帰って来れたことにほっとした。 お父様の元に行き、初日の視察が無事に終わった事、建設速度や現場の雰囲気などの報告が終わり、私は帰宅の準備をする。 「……まだ始まったばかりだものね。気を抜かないようにしないと」 仕事と、自分の周囲について。 不審人物や危険な兆候などには変わらず注意していかないと、と私は気合いを入れる。 いくら苓さんが手配してくれた護衛の人の人数が増えても、事故ばかりは完全に防ぎ切る事は出来ないから──。 ◇ 着工日から、数週間。 日にちが大分経過し、1号店の建設は順調に進んでいた。 その日は、数週間ぶりに現場視察の日。 この日は苓さんも視察に同行する予定で。 私の方が先に現場に着いたので、駐車場に車を停めて、苓さんがやって来るのを待っていた。 最近、苓さんは不足している資材や取引先に出向き、交渉を重ねていると聞いている。 この交渉が上手く行けば、今後2号店、3号店と店舗を増やしていっても資材の不足で建設が滞る、なんて

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   330話

    「茉莉花、大丈夫か?」 護衛の人に助け起こされたお父様が、私の元に駆け付ける。 苓さんに抱き起こされている私に心配そうな目を向けるお父様に、私は頷いて見せた。 「だ、大丈夫です……!お父様こそお怪我はないですか?」 「ああ。私も大丈夫だ。苓くんに押してもらわなければ……轢かれていたかもしれないな。ありがとう、苓くん」 「いえ、ご無事で良かったです。むしろ、俺こそ強く押してしまって失礼しました」 「いやいや、お陰で助かったよ」 お父様も、苓さんも。そして恐らく私の顔色も今は真っ青になっているだろう。 さっきまではご飯時で、3人でご飯を食べるのを楽しみにしていた。 だけど、今はもうそんな気持ちが萎んでしまっていた。 「……1度、会社に戻ろうと思う。茉莉花と苓くんはどうする?食べて行くか?」 お父様がそう切り出した。 私も、苓さんもお互い顔を見合わせて頷き合い、会社に戻る事にした。 ◇ 帰社し、本部長室にやって来てくれた苓さんと私は、ソファに向かい合わせに座っていた。 だけど、私たちの顔色は悪いまま、室内は無言の時間が過ぎる。 苓さんがせっかく忙しい中、時間を作り藤堂グループにやって来てくれたのに。 このまま特に話す事もなく、解散してしまうのは時間を無駄にしてしまっているようで、嫌だ。 「──苓さん」 だから私は、青い顔で俯き、何か考え込んでいるような様子の苓さんに向かって声をかけた。 苓さんは私の声に反応して、ぱっと顔を上げると申し訳なさそうに眉を下げた。 「すみません、茉莉花さん。せっかく一緒に居るのに考え込んでしまっていて……」 「いえ、大丈夫ですよ。さっきの車……このタイミングですから、不審に思ってしまうのは私も同じですから……」 そう──。 さっきの車が信号無視をして走り去ったのがどうにも違和感を覚えていて。 きっと苓さんも私と同じような違和感を覚えていたのだろう。 警察の捜査が進み、お祖父様を交通事故に遭わせた人物が分かったこのタイミングで、まるで私たちを脅すように信号無視の車が突っ込んで来たのだ。 涼子は、速水家は。 人に手をかける事に何の躊躇も無い、と思う。 だからこそ苓さんも難しい顔で考え込んでいたし、私もお父様も「まさか」と嫌な考えが頭に浮かんだ。 「一先ず……暫くは護衛の人数を増やして、

  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   23話

    パタン、とドアが閉まる。私は貼り付けていた笑顔をふっと消し、ドアに手を付きながらずるずる、とその場に蹲る。良かった──。何も、バレていない……。この時ばかりは、御影さんが私に全く興味のない人で良かった、と感謝してしまう。きっと、これが速水涼子だったら。涼子が相手だったら御影さんは違和感に気づいただろう。けど、私が相手だから。「──ふっ、皮肉なものね」好かれたいのに。御影さんに私を見て欲しいのに、今回ばかりは好かれていなくて、嫌われていて良かったと、思ってしまう。私は自嘲気味に笑ったあと、その場にようやく立ち上がり部屋に戻っていく。私は御影さんにバレたくない、

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-17
  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   33話

    私と御影さんが客間に着いて、ほどなくしてお父様がやってきた。 御影さんはソファから立ち上がろうとしたが、お父様はさっと手のひらを御影さんに向けてそれを断る。 お父様が何も言葉を発さず、客間の空気が重くなってきた頃、お祖父様がようやく部屋にやってきた。 「お父様」 「ああ、ああ…すまないね。待たせたかな」 「いえ、とんでもございません。お久しぶりです」 私のお父様が、お祖父様を出迎え、ソファに促す。 御影さんは今度はすっと立ち上がり、お祖父様に頭を下げた。 お祖父様は、何をお考えか読ませない表情のまま、御影さんに顔を向けて声をかける。 御影さんはお祖父様に

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-18
  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   18話

    ◇「──ん……」ふ、と意識が浮上する。私はぼうっとする頭のまま、何度か瞬きをしてころり、と寝返りを打った。「──ぇ?」そこで、はたと当惑する。肌に触れるのは、サラリとした肌触りのいいシーツ。そして、何も身に付けていない自分の腰に回る、がっしりとした男らしく、筋肉のついた腕。「──〜っ!!」そこで、ようやく私は昨夜の事を思い出した。アルコールが入り、昨夜の私は判断力がほとんど働いていなかった。そして優しさに触れ、人肌恋しくなってしまったのだ。私の事を、認めてくれる人に。私にも価値があるのだと、思わせてくれた人に、甘えたくなってしまった。私は、そろそろと視

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-17
  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   19話

    ◇「──ん?んん?」シーツを腕がなぞる。男は、自分の隣にいる筈の温もりを求めてシーツの上を忙しなく探す。だが、どこにも求めていた温もりが見当たらず、男は閉じていた瞼をぱちりと開いた。「藤堂さん──?」いない、と呟いたあと男はベッドに起き上がる。どこに、と周囲を確認したがベットの付近には自分が脱いだ服しか見当たらず、茉莉花の服は見当たらない。「帰ってしまったか……」ため息をつき、ベッドから降りて散らばった服に手を伸ばし、緩慢な動きで身に付けていく。シャツを羽織り、ボタンを閉めている所で、休憩室の扉からノックの音がした。男は、扉の方に顔を向けないまま「はい」と答える

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-17
Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status