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340話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-04-06 20:05:35

苓さんの病室を出た私とお父様を、圭吾さんが送ってくれる。

私の様子を心配したお父様は病室から少し離れた場所にある椅子の所までやって来ると、私を椅子に座らせた。

そして、お父様は圭吾さんに向き直る。

「小鳥遊さん、詳しく説明してもらってもいいかな……?」

「ええ、もちろんです」

お父様は何が起きているのか分からないのだろう。

だって、それは当然で。

お父様の事は、苓さんは覚えているのだから。

その証拠に、私が苓さんの病室に戻って来るまでお父様と苓さんは病室で談笑していた。

話す時間が長ければ、私の事だけを覚えていない苓さんに違和感を覚えたかもしれないけど、こんな風に少しの時間だけだったら苓さんの記憶の中に私が居ない事は気付かないだろう。

圭吾さんの説明を聞いていく内に、お父様の表情が険しくなって行くのが分かる。

「そんな事が……」

お父様は困惑したように自分の額を手で抑え、天井を仰ぐ。

「だが、記憶を取り戻そうとしてもらおうにも……無理をさせる事は出来ないしな……」

「ええ……。無理に記憶を戻そうとすると、強いストレスを感じてしまい、良くないそうです
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