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352話

Auteur: 籘裏美馬
last update Date de publication: 2026-04-12 19:43:34

「──谷島?どうして、藤堂さんと……」

「あれ、小鳥遊?どうしてここに?」

苓さんの言葉は、谷島さんが驚いた時に上げた大きな声でかき消されてしまって。

すぐ近くに居たはずだけど、私の耳に苓さんの言葉は上手く届かなかった。

私が苓さんに顔を向けてもう1度話してもらおうと思ったけど、苓さんの表情は険しい顔に変化していて──。

まるで怒っているようにも見えるそんな苓さんの表情──。

私は、こんな風に怖い顔をしている苓さんを殆ど見た事がなくて、びくりと肩を跳ねさせてしまった。

そんな私の様子に、谷島さんが気遣うような視線を向けてくれた。

「藤堂さん、大丈夫ですか?移動できますか?」

「──あっ、そう、ですね……。お話を聞きたいですから」

移動しましょうか。と、私が告げようとした瞬間。

苓さんが視界の端で動いたのが分かった。

「──藤堂さん!」

「──えっ」

苓さんの焦った声が聞こえ、私の腕を苓さんに掴まれる。

久しぶりに感じた、苓さんの体温──。

苓さんの手のひらの温かさに、私はじわりと視界が滲んでしまった。

私の手を掴んだ苓さんが、そんな私に動揺している
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