LOGIN044「イーモくんじゃない……どうして……」 レンタル彼女の仕事をしている少女……シャーロット・宮島……彼女は自分の常連客になった少年の背中を見つめていた……「なんでカバンを二つも持ってるの……」 彼女はさっさと彼の元へ歩み寄り……その手を掴んだ……「あっ……」 今日の彼女はいつもと違う格好をしていた……普段ユウタは服装のリクエストをしたことがなかったので、彼女はいつもお嬢様学校の制服を着ていた…… でも今日の客はお嬢様風の衣装をリクエストしていたので、彼女はフル装備で来ていた 彼女は青白のロングスカートを着ていた……全身にリボンがびっしり付いていて……青い長袖の上着を羽織っていて……白とピンクの大きめのスニーカーを履いていた……「……ミヤ……ジマ……」「なんか様子がおかしかったから声かけたのよ……」 彼女は相変わらずストレートな物言いだった……「そうか……あの……今日は大事な用事があってさ……オフィスに行くところなんだ……」「……………様子悪そうだけど……大丈夫なの?……」 彼女の表情は少し心配そうだった……「あっ!大丈夫だって!大丈夫……あの……今日の君は……いつもと違って見えるね……はは」 彼は誤魔化すように笑った……でも彼が嘘をつくのが下手すぎることは周知の事実だった……「あんたさ……嘘つくならもう少し上手くつきなさいよ……」 彼女は彼の顔を指さしながら小言を言った……「……………全部話すよ……」 雨が弱まってきた……二人はコンビニの前にあるベンチに座って弁当を食べることにした……「家出したの!?……」「うん……」 ユウタはシャーロットに全部話した……「それで……どこに住むつもりなの?友達の家に泊まるとか……」「とりあえず先輩のコンドミニアムに一時的に泊めてもらうつもりで……その間に安い賃貸を探そうと思ってる……」「それで生活費とかは?あんたまだ学生でしょ……学費とかちゃんと払えるの?」 シャーロットはユウタが彼女の曽祖父が設立した学校に通っていることを知っていた……だからその学校の学費がどれだけ高いかも当然知っていた…… しかもユウタは実の母親とも縁を切ろうとしている「大丈夫だよ……アキトさんのところで働いてるから……給料すごくいいんだ……生活費くらいならなんとかなると思う……学費は……バイトを
043「ただいま……」 今日、瑠璃の頼まれた部品作りの件でマンションから帰ってきた後……ユウタは家の前に何十個ものゴミ袋が積まれているのに気づいた。今日はゴミの日でもないのに、おかしいなと思った……「母さん……今日ゴミの日じゃないよね……」「ああ、あれね。無駄なものだから置いてあるだけよ……」 なんか変だな……「帰ったの?」「兄さん!?今日仕事休みなの?」 知っての通り……ユウタには病院で医者として働く兄がいる……「今日は休みだよ……日曜日じゃないか、忘れたのか?」「あ……ごめん、忘れてた……」 長期休みに入るといつも曜日を忘れてしまう……でも平日はちゃんと覚えているのに…… ユウタは部屋のドアを開けて入った……そしてそれが、この家で普通の表情を保てる最後の瞬間だった……「いや……いやいやいやいや、これは何だ……」 普段部屋はそんなに散らかってはいない……でも最近は瑠璃に頼まれた部品を作るために散らかっていたのだが……「待てよ……工具と電子回路基板がなくなってる……」 彼は急いで引き出しを開け閉めしたが見つからない……部屋中探しても見つからなかった……「何なんだ……どこに行ったんだ……」 彼はベッドの上で頭を抱えて座った……考えながら……「ん?……」 そして彼は何かに気づいた……その時、ユウタはちょうど本棚に目をやった……「待てよ……あそこはワールドトリガーとHUNTER×HUNTERの棚だったはず……」 両方の漫画の背表紙の色は黒と白のはずなのに、ユウタが見た背表紙は何色もあって……しかも厚みも増していた……「何でこんなことに……」 彼はすぐにその棚から本を引っ張り出した……「専門医学書、医療の裏マニュアル、一冊でわかる医者への道……どういうことだ……どういうことだよ……」 ユウタは事情をだいたい理解した……犯人が誰かは確信できたが……それでも信じたくなかった……「俺たちのノートパソコンも……なくなってる……」 すべての……見慣れたものが……消えていた…… ユウタはすぐに階下へ降りた……そして母のもとへまっすぐ向かった……「母さん……」「何よ……」「俺の私物どこ行ったの……」 しかしユウタの母は何も答えなかった。彼女はそのまま料理を続けていた……「俺の私物どこ行ったのか聞いてるんだけど!!!」
042「ふん!!!」「あぐっ!!!!」「はい!……勝者は……今回もユリカさんです……」 黒髪に白いメッシュのポニーテールをした少女が、道場内の生徒を一瞬で投げ飛ばした……そしてそれで彼女は12人目の相手にも勝利した。「すごい……榎本先輩って……本当に電光石火の速さだよね……」「そうだよね……国代表にもなったことあるらしいよ……確か5年前にテコンドーで金メダルも取ったんだって……本当は合気道が得意なのに」「不思議じゃないよ……だって武術一家の榎本家の娘さんだもん……青山や中野と同じくらい古い武士の家系らしいよ……古墳時代からあるらしいし……」「え……それは盛りすぎでしょ……」 この頃私は……いつも同じ夢を見る……「先輩!!……あの……その……お、水です……」「……………」 私は頷いて返事をして、水を受け取って飲んだ……「あっ……」 この子はきっと新入りなんだろう……「あ……そっか、新入りだから知らないよね……先輩は話せないの……」「あっ!!すみません!!!先輩がそうだって知らなくて……」 私は微笑みながらその子の手を取って、自分を指さしてから、彼女を指さした……それから手を握り合った……「……………」「彼女は言った……『これから友達だね』って……」「はい!よろしくお願いします!!」 私はその子の頭を撫でてから、道場のホールを出た……「きゃー!!榎本先輩!!」「相変わらずかっこいい……」「昨日もかっこよかったし、今日もかっこいい……」「明日もきっとかっこいいよね……」『『だよね!!!』』 毎日いつも……私がどれだけかっこいいか褒めてくれる人がいる……「先輩!!」「……?」「写真撮ってもいいですか?……」「………」 私は頷いた……女の子たちが私の周りに群がってきた……「ユリカ……」 背が高くて筋肉質な男の人が私を呼んでいる……「……………?」「ちょっと話がある……」 そう……この人は私の父だ……「父さん……何度も……言ったけど……でも……お前……まだ……継ぐ……つもりが……ない……のか……うちの……家業を……本当に?……」 またか……正直に言って……私は家業を継ぐつもりなんて全くない……「………」 私はすぐに首を振った……「でも……お前は……一人娘……なんだぞ……この家の……」「私……なり
041『主役ですよ……いや、マジで主役なんですよ……』『それで?』『だからあなたが主役なんだから……CMがどんなに短くても演技の学校に行かないといけない……』『先輩、このプロジェクトから俺を外せませんか!? 俺はアキさんですよ、なんでこんなことしないといけないんですか……』『演技を舐めるなよ……』『舐めてないです!ただやりたくないだけで……』『でもクライアントがあなたを指名したんだよ』『あなたはすごくいいエキストラだったんだから……』『誰でもいいじゃないですか!! SNSに投稿して、俺の顔に似た人を探してますって書けば……ギャラ一万円でも来ますよ!五千円でも来ますよ!信じてください……』『あなたじゃないとダメなんだよ……クライアントがあなたをすごく気に入ってるんだ……定時上がり名人……』『考えてみなよ……あなたが主役なんだぞ……ヒロインと共演することになるんだ、しかも有名女優だぞ!!見てみろよ!! 柊ゆきなだぞ!!』『先輩の会社じゃないですか……』『でも今日から……アキさんには個室を用意しないといけないな……』『ちょっと!俺がいつからアキさんになったんですか……』『まあ……アキさんはもう契約したんですから……あなたは今やアーティストですよ……』『そんなに長くアキさんって呼ばれてたのに、今になってこんな呼ばれ方するとは……』『じゃあ……秘書を呼んできますね……あ!カワイさん……』『はいっ、あ……アキさん……わあ……柊さんと共演するんですね……』『そうです……しかも二シーンも並んで……』『じゃあスケジュール確認しますね……』「俺のスケジュール、何が入ってんだろ……」『あの……ここに演技の学校に行くって書いてあります……』『俺のギャラはいくらですか……』『500円』『先輩、俺を行かせるつもりですか……』『演技の学校に……』[wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww][誰でもいいじゃん!!! wwwwwwwwwwwwwwwwwwww][マーガレットさん、3万円ドネート 500円かよ wwwwwwwwwwwwwwwwwwww][安すぎる wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww][スターレベルで500円って、普通に悲しすぎる][クロロ・ルシルフルさん、11,111円ドネー
040「よーみんな……」[こんにちはです、師匠!!!][来たーーーーっ!!!!][やほーーーー!!!!][ついにきたーーーーっ][有名人登場ーーーっ][今やすごく有名になったよねえ……][ははっ][wwwwwwwwww]「まあ……ずっと話してる通りさ、俺って人脈が広くて、作家業界から芸能界までいろいろ知り合いがいるじゃないですか……」「でね……俺が関わってる広告代理店の仕事があって……そこから出演の話が来たんだよ。ある広告のメインで……」[ああ……あのスマホゲームのCMのやつ?][ツイッターで見たことある……][そうそう、YouTubeの広告でも見たよ][見たことある][なるほどねえ……]「俺はね、脚本を手伝ったり、プロット考えたり、撮影どうするか、演技どうするかとか……その日は普通に打ち合わせしてたんだよ。そしたら……クライアント側の人がいきなり俺を指差して、この役はあなたにぴったりだ、あなたみたいな人がいい、顔もいい……って言い出して」「俺は……えっと、スタッフ側なんですけど……裏方です……って答えたんだよ」『あなたって……この役にすごく合ってるんですよね……』『えっと……私を使うんですか?』『使います……エキストラとして』[これだよ!! スター力……][よっぽど気に入られたんだね][アベンタドールさん、100円ドネート wwwwwwwwwwww]『いや……私は裏方なので……ちょっと難しいかなと……』『あなたが出るべきですよ……顔がすごく合ってる』「それでカメラテストをすることになったんだけど……面白いのがさ、自分が所属してる会社でカメラテストをすることになって……俺が所属してる代理店のトップって、長年の知り合いの先輩でさ……広告とかスポンサー関係もその人がずっと助けてくれてて……」「YouTubeやる前から、その会社の裏方の仕事を手伝い続けてたんだよね……そんな俺がカメラの前に出ることになるなんて……」[おお……社長に感謝しないとですね……][仲いいんでしょうね……][俺もこの業界で働きたいなあ……そういう人に出会ってみたい……][まあ……師匠、顔は悪くないですからね……][笑えるwww]「プロットはね……仕事で疲れ果てた男のところに、クライアントが直接打ち合わせに来るっていう感じで……」
039「ここが……ユリカちゃんの武道場ってやつか……」 せっかくの休日だし、いろんなところに遊びに行こうと子どもたちは言っていたが……三十路が近い俺たちにはそこまで気力はなかった……それはそうと、あまり運動していない俺は最近腰が痛くなってきていて、もうほんとにめちゃくちゃ痛いんだが……「榎本武道場……ネットで見たことはあったけど、まさか江戸時代から続いてるとは知らなかったな……」 ユリカちゃんが俺たちを出迎えてくれた「ようこそいらっしゃいました!皆さんはお客様です……どうぞくつろいでいってください……」 彼女は厚紙のボードを持って見せてきた…… そしてしばらく俺たちを眺めてから、またボードに書いた「他の皆さんは?」 今日来たのは少人数で……俺とルリちゃん、それからサちゃんだけだった「今日は……ハルくんが……家の手伝いが……あって……マユリちゃんと……アキラちゃんは……衣装の生地を……買いに行って……ユウタくんは……家で……勉強しないといけないって……」「ふむ……」 二人が話す時はだいたい手話でやり取りしていた…… サちゃんが挨拶しに行った。右手を握って下に向け、少し頭を下げる……基本的な手話で「こんにちは」を表していた「あ!」 ユリカちゃんはサちゃんに会うたびに、必ず抱きついていた……サちゃんは自分の妹みたいだと言っていた ユリカちゃんは一人っ子で、妹がずっと欲しかったんだそうだ…… この二人、ほんとに微笑ましいな 俺も普通に挨拶した……最近は彼女と話せるよう手話を覚えようとしているのだが、彼女はいつも、自分のために苦労して覚えなくていいと言う……もちろん俺とサちゃんはそんなこと気にしないのだが「今日は……武道というものを……ちょっと体験してみたくて……ね……」「おお!」 彼女は俺たち三人の手を引いて、道場の中へ連れて行ってくれた 中は時代劇で見るような昔ながらの道場で……よく手入れされた木造の空間が広がっていた……中には小学生、ほとんどが女の子たちが大勢稽古に来ていた……「外部の先生も雇ってるんだな……」 そりゃそうだろ……榎本家でまともに指導できるのは、ユリカちゃんとお父さんだけだし…… 俺たちは道場の中へ進んだ……木製の人形がたくさん並んでいる部屋に案内された……生徒も大勢いた……「わあ……雰囲気、完全に







