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48.大阪に旅行に行きたい。

last update Last Updated: 2025-07-16 16:28:56

「大阪に旅行に行きたい。」

私が言った言葉に彼は驚いたような顔で返してきた。

「夏休みに。いいねー。大阪スタジオパークいきたい。」

本当にのんびり屋、よくこの大都会東京で暮らせてきたものだ。

島時間はそろそろ終了にしろよ。

私たちは、未熟な自分に向き合う修行の旅にすぐにでも出るべきだ。

「そんなの待てないよ。今週末には行こう。」

彼が真っ赤になって絶句した。

私は、彼が私の声が好きと言ったことを思い出した。

私は今、私の第3の声を使っている

彼女っぽい可愛い甘い声だ。

今、思い返すと私は三池に対して3種類の声を使っていた。

私の第2の声、仲良くする気はない凛とした涼しい声で中高6年間で使用。

第3の声、彼女のような可愛く甘い声で三池の前で現在使用。

第4の声、甘さを抜いた友人声で現在の人間関係で使用頻度が高い。

第5の声、突き放すようなブリザードボイスで邪魔者を排除する時に使用。

彼は2の声と3の声と5の声の3種類を知っている唯一の存在だった。

精々私が1人の人間に対して使うのは2種類の声だからだ。

私は彼に対して第2の声を高校時代使っていた、あまりにしつこい時は第5の声を使った。

でも、彼に惹かれはじめてからは第3の声を使っている。

彼が私の声が好きだと言った時、私は自分の地声のことだと思ってしまった。

今思えば、私の地声を聞いたことがあるのは私しかいない。

妄想しながら一人言を言う時など一人の時発する私の地声は極めて普通だった。

彼が好きだといったのは、私の第3の声だろう。

私は有事の際にはこの声を使っていた。

兄やクラスメートの男に何か理不尽な要求を頼みたい時だ。

男は視覚優位と思っていたが、最近はアニメの影響で声フェチが増えているようだ。

それは声を使いこなせる私にとっては非常に好環境だった。

私はそんな有事にしか使わない第2の声を彼に惹かれはじめてから常時使っていた。

深層では彼を振ってしまった自分を再び好きになって欲しくて仕方な
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