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十六歳の勝負師

Auteur: イコ
last update Date de publication: 2026-08-01 11:15:54

《sideボートレース運営者》

 あり得ない。とてつもない勝負師が現れた。

 長年、魔導ボートの運営をしているが、勝ち続ける者など見たことがない。

 魔導ボートは、木でできた小さな船を用意した水槽に浮かべ、水槽に埋め込まれた二本の杭の周りを、八の字を描くように三周させる。

 もともとは魔導士の訓練用に、魔力操作とコントロール、さらに物体を動かすという三つの魔力訓練を行うために開発された技術だった。

 それを学園都市に通っていたある生徒が競技として考案し、現在は学園都市の名物ギャンブルとして、また、学生のアルバイトと訓練を兼ねたものとして、学園都市にも認めてもらった。

 さらに、学園都市に税金を納めることで、公認の競技として認めてもらうことができた。

 その運営を担うワシは長年、この仕事をしているが、客の勝率はよくて五割だ。

 勝率がよい者でも、五割勝てれば御の字なのだ。しかも、オッズとして表れている勝率は、魔力量やコントロール評価、魔導ボートの実戦経験

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  • お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。   秘密の契約を結んでみた

     《side フライ・エルトール》 アクアリス・ネプチューナ。 海人族の王女にして、人魚姫の異名を持つ存在。 彼女がローズガーデンに現れたこと自体、予想外の出来事だった。周囲でセシリアやエリザベートが不安そうに彼女を見つめる中、私は微笑みを浮かべて彼女との交渉の席に着いた。「これはこれは、海の姫君がわざわざこんな森の中までお越しくださるとは。歓迎しますよ、アクアリス・ネプチューナさん」「礼には及びません。目的があって、ここに来たまでです」 彼女の言葉は冷静で簡潔だが、その奥には何かしらの意図が含まれているように感じられた。「目的、ですか?」「ええ。フライ・エルトール様、あなたと話をするために来ました」 彼女はテーブルの向かいに静かに腰を下ろし、エリザベートやセシリアに目を向けた。用意された紅茶を優雅に飲む姿は様になっている。「他の方々には席を外していただけますか?」 その言葉に、エリザベートは眉をひそめ、セシリアは明らかに不満げな表情を見せたが、私は軽く手を挙げて制した。「大丈夫だよ。ここは僕が対応するから、少し席を外してくれるかな?」「……分かりました」「何かあれば、絶対に呼んでください!」 エリザベートは渋々立ち上がり、セシリアも未練がましく私を見つめながら部屋を後にした。 二人の姿が完全に見えなくなると、アクアリスはようやく口を開いた。「やっと二人きりになれましたね」「意味深な言葉だね。それで? 海人族の姫君がこんな辺鄙な場所までわざわざ訪れるとは、何か重大なご用件と見てよろしいですか?」 私が軽い調子で尋ねると、彼女は静かに頷いた。「ええ。その通りです。私はあなたに一つお願いがあります」「ほう、それはまた興味深いね。具体的には?」「私たち海人族を、クラウン・バトルロイヤルの優勝に導いてほしいのです」 その言葉に、私は思わず目を細めた。海人族が優勝を望む? それはどんな意図があ

  • お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。   それぞれの動き 5

    《side アイス・ディフェ・ミンティ》 湿地帯の朝はいつも霧が濃い。草葉の露が靴を濡らし、地面から立ち上る湿気が肌にまとわりつく。この場所を拠点にしたときは、守りが容易だと喜んだ。 だが、それが今になって裏目に出るとは思っていなかった。「……まずいな」 僕は地図を広げ、戦況を再度確認する。 隣接するのはブライド皇子の領地。あの男の動きは計算外だった。獣人の陣地を手に入れたことで勢力は増し、次に攻め込む先を選ぶ余裕がある。 彼がこちらに目を向ければ、この湿地帯は戦場として最悪だ。 だが、それ以上に問題なのは……。「自由同盟が、フライ・エルトールに取られた……」 僕は呟き、苛立ちを覚える。 自由同盟のフリーダムは実力者であり、彼を取り込むことでブライドに対抗する戦力となるはずだった。だが、フライが動き、彼らを丸ごと受け入れてしまった。 これでは、僕が使える戦力が限られてしまう。「竜人族か……」 地図上の竜人族の陣地に目をやる。だが、竜人族は強さを何よりも重視する種族だ。彼らに頭を下げて同盟を持ちかけても、見返りを示さなければ何も得られないだろう。戦力を貸すどころか、こちらが試されるだけで終わる可能性が高い。 残された選択肢は一つ。 海人族だ。アクアリス・ネプチューナ。彼女は強力な魔法を操り、知性と義侠心を持つことで知られている。この状況を覆すには、彼女との同盟が必要だ。 僕は湿地帯を抜け、海人族の陣地へ向かう。広がる川辺と湖が静けさをたたえ、その奥に海人族の拠点が見えた。アクアリスの姿を確認すると、僕は心の中で息を整えた。「アイス・ディフェ・ミンティ王子、どういったご用件で?」 アクアリスは湖畔に立ち、静かな微笑みを浮かべながら僕に問いかけた。その落ち着いた態度は、こちらの焦りを見透かしているかのようだ。「あなたと同盟を結びたい」 僕は短

  • お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。   それぞれの動き

     《side ブライド・スレイヤー・ハーケンス》 二日目の代表者戦でアイクが勝利したことで、捨て駒を手に入れた。「貴様たちは、我のために死ねることを本望に思え! 今から作戦を実行する!」 小高い丘から、我は草原を見ていた。 草原に響く咆哮が風に乗り、戦場に緊張をもたらす。 ロガン王子の金色のたてがみが陽光を受けて輝き、彼の鋭い爪は捨て駒たちを次々と斬り裂いていた。だが、我が顔には冷たい微笑みが浮かんでいる。「獅子の王よ……その誇りが疲弊に変わる様を見届けるとしよう」 先ほどの代表者戦で配下に加えた新たな兵たちは、種族も様々で、その中には凄まじい力を持つ者もいた。 竜人族を配下に持てたことは光栄だ。だが、彼らは元々、平民同盟や弱小派閥の一員だった者たちだ。 実力はまちまちだが、それが問題なのではない。信用できないだけだ。 だからこそ、彼らの役割はただ一つ。ロガンの体力を削る捨て駒となること。 ロガンは戦場の中心で咆哮を上げながら、猛然と敵を薙ぎ払っている。その姿は獅子そのものだ。だが、その動きには徐々に疲労の影が見え始めていた。「エドガー、次の駒を前に出せ」 我が冷たく指示を飛ばすと、側近のエドガー・ヴァンデルガストが動く。エドガーはゴーレム製造の第一人者であり、我が軍の戦略において重要な駒だ。「御意。粗野な獣人相手には、これで十分でしょう」 エドガーが錆びた鉄片を空中に放り投げる。それが瞬時に組み上がり、巨大なゴーレムへと姿を変える。ゴーレムはゆっくりとした動きで前進を始め、地面を揺るがす。「ふん、そんな鉄の塊で俺を止められると思うのか!」 ロガンが咆哮を上げ、前方のゴーレムに突進する。その爪が鋼鉄の腕を一撃で斬り裂き、ゴーレムの体が崩れ落ちる。「思った通りだ。単純な力だけで全てを解決しようとする、愚かな獣だな」 エドガーが冷笑を浮かべる。崩れたゴーレムの背後から、さらに三体のゴーレムが姿を現す。それらは連携して動き、

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      ローズガーデンの陣地内。  そこには予想外の来訪者が待っていた。 アクアリス・ネプチューナ。 その名前を聞けば、誰もが一目置く存在だ。鯨族の人魚姫であり、蒼海歌《ブルーシー》派閥のリーダーを務める彼女は、その美しさと強大な魔力で知られている。 彼女は、私のクラウンであるセシリアや、護衛を務めるエリザベートと共にお茶を飲んでいた。その光景は、場違いなほど優雅で平和的だった。「お帰りなさいませ、フライ様」 セシリアが微笑みながら立ち上がる。エリザベートも少し笑みを浮かべているが、どこか警戒心を隠しているようだった。「やあ、ただいま。二人とも」「フライ様、お帰りなさいませ」「フライ様」「うん。どうやら来客を待たせてしまったようだね。アクアリス・ネプチューナ様が来ているとは聞いていなかったけれど、これは光栄だ」 私は彼女たちの座るテーブルに近づきながら、軽い調子で言った。アクアリスは立ち上がり、私に向かって小さく礼をする。その仕草は気品に満ちていた。「突然の訪問、無礼をお許しください。少しお話ししたいことがありまして」 彼女の冷静な声は耳に心地よかったが、同時に計算されたような冷ややかさも感じられる。「それは嬉しいね。けれど、貴族や派閥のリーダー同士がこうして会う場合、普通は少し緊張感が伴うものだ。でも、君は随分とリラックスしているみたいだね」 私は彼女の意図を探りながら、笑顔で答えた。「ここに来た時、貴方の陣地を制圧することもできました。でも、それをしなかったのは、貴方と直接話したかったからです」 アクアリスの言葉に、一瞬、周囲の空気が引き締まった。エリザベートの眉がピクリと動き、セシリアが穏やかに微笑みながらも視線を鋭くする。「へえ、つまり意表を突かれたってことか。だけど、なぜ話をしたいなんて思ったんだい?」 私はその言葉の裏にある意図を探るように、彼女を見つめる。アクアリスは一瞬だけ間を置き、再び穏やかな声で答えた。「興味があったの

  • お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。   面白いやつとは友達になろう

      ラドンが咆哮を上げ、フリーダムがその背に立つ。 その手には巨大な槍が握られ、威圧的な視線が私を射抜いていた。自由同盟のメンバーたちは周囲に散らばり、この決闘を固唾を呑んで見守っている。「ラドン様とオレが相手だ。これで勝てると思ったら大間違いだぜ!」 フリーダムが笑いながら槍を振り上げた。その姿には、自信と誇りが滲んでいる。「うん、いいね。やっぱり竜騎士ってかっこいいや。ファンタジーって感じがして楽しいね。やっぱり、こういうのってワクワクするんだよね。さて、どちらにも挨拶をさせてもらうよ」 私は静かに、その辺で拾ってきた木の棒を構え、ラドンの動きを見据えた。 ラドンが太い足で地面を蹴り、戦車が向かってくるような迫力で突進してくる。その巨体が影を作り出し、私たちの周囲を覆い隠すような錯覚を与える。「ラドン! やっちまえ!」 フリーダムの指示で、ラドンがその鋭い爪を振り下ろしてきた。一撃が地面を揺るがし、砂煙が立ち上る。「ふむ、迫力があるね。でも、君たちのリズムは単調すぎるよ」 私は軽やかに動き、爪の一撃をかわす。その間に木の棒を振り、ラドンの前足に軽い傷をつけた。「ぐおおおおお!」 ラドンが痛みを訴えるように叫ぶ。その隙を見逃さず、私は一気に距離を詰める。「フリーダム、君もそろそろ動くべきじゃないかな?」 私は微笑みながら、彼に声をかける。「クソッ!? ラドン様の動きを余裕で躱しやがって! 調子に乗るなよ!! ラドン様の動きにオレの攻撃が加わることで、オレたちは完成するんだ!」 フリーダムがラドンの背から飛び降り、地面に着地する。槍を構え、私に向かって突撃してきた。 その槍を躱していると、ラドンが背後から巨大な尻尾を振って攻撃を仕掛けてきた。「力で証明するってのは、こういうことだろうが!」 フリーダムが槍を振り回し、猛然と襲いかかる。その動きに合わせて、ラドンが荒々しく尻尾や爪を振るう。 それらの一撃一撃が重い。人とドラゴンが共闘

  • お気楽公爵家の次男に転生したので、適当なことを言っていたら英雄扱いされてしまった。   面白いやつに会いに行こう

      二日目の朝を迎えた。気持ちのいい朝だ。青空が広がっていて、森の中は静かでいい。魔物の襲撃もなく、穏やかな一日を迎えられた。 お酒を常備するのを忘れたのが悔やまれる。 だが、一週間、もしくはそれより早く決着がつくかもしれないなら、その期間だけでも禁酒としよう。 さて、人数は最も多く、陣地も二倍に増えた。 そして、落とし所は昨日のうちに話し合った。 このままゆるりと待っているだけでも良さそうに思えるが、それではつまらない。「ゲームを運営だけが動かすなんて、つまらないことはしないよね。僕は遊びが好きで、適当にこの世界を謳歌すると決めたんだ」 自分の死が待っているとしても、その時まで楽しく過ごして満足したい。 運営側から、クラウン・バトルロイヤルの二日目の説明が届いた。『参加者各位、これより特別ルールを発動します。代表者戦を実施します。各チームの代表者を選出し、中央エリアにて戦闘を行ってください。勝者は、敗北した代表者が属するチームのメンバーを配下として獲得します』 この発表により、中央エリアに進むための動きが活発化する。「代表者戦か……面白いけど、参加する必要はないよね。バクザン、平民同盟の中から一人を選んで参加させてあげて」「いいんですか?」「ああ、勝つ必要はないからね」「分かりました!」 ノクスが眉をひそめる。「いいんですか? 俺が出ても」「いいんだよ。ただの余興だからね。平民同盟の子に注目を集めさせてあげよう」 ノクスの肩を叩いて、今回は出番がないと伝える。「僕たちが中央に向かって戦うなら、他のチームの注目を集めるだけだよ。みんなが殴り合いを始めている間に、僕たちは別のことをする」「別のこと?」 そう言って、私は地図を広げ、指で自由同盟の陣地を示した。「自由同盟だな。フライの兄貴、いよいよ乗り込むのか? 初日は随分と暴れていたみたいだぜ」 バクザンが嬉しそうに拳を鳴らす。

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