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第541話

Author: ルーシー
蛇口は開いたまま、水がざあざあと流れ続けている。

玲奈は拓海の手を握ったまま、冷たい水でずっと冷やし続けていた。

背中には、拓海の大きくて温かい胸板。

初冬の朝の冷えの中で、その体温はまるで陽だまりみたいだった。

玲奈は一瞬、ぼうっとしてしまう。

彼の腕がふわりと回り、玲奈の体はやさしく囲い込まれる。

抱かれていると、自分がやけに小さく感じた。

守られているみたいで――その感覚が、怖いほど自然だった。

拓海は顔を玲奈の首元へ埋め、強く息を吸う。

玲奈の匂いは、甘くて危うい。

蜜みたいに、彼を底なしの方へ引きずり込む。

けれど玲奈は、はっと我に返った。

ここは自分の家で、外には家族がいる。

玲奈は身をよじり、拓海の胸を軽く押して言う。

「......離して。

みんな外にいるの。

見られたらまずいわ」

だが拓海は離さない。

むしろ腕に力を込め、低い声で言った。

「怖がるなよ。

もう抱き締めたし、キスだってした」

玲奈は眉を寄せて小さく吐き捨てる。

「須賀君、あなた――」

拓海はさらに強く抱き締めた。

まるで骨の中にまで押し込むみたいに。

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Comments (1)
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pockykon
沙羅の事、言えばいいのに・・誤解だっていつまでもわからずに悶々とするだけだよ!
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