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第3章・第1話:錆びたエンジンと、月の青さ

Author: 銀狐
last update publish date: 2026-06-11 07:08:54

 原付のエンジンが、坂を上がるたびに情けない悲鳴を上げる。

 深夜零時を少し回った頃だった。  

 月齢は十日。満月にはほど遠いが、山の稜線をなぞるように、白く薄い月光が差している。

 山道は、街灯もまばらだった。  

 アスファルトはところどころひび割れて、路肩の雑草がそこから侵食している。  

 ガードレールは錆びつき、曲がりくねった道の向こうは、闇しかない。

 こういう道には慣れている。  

 俺の旅は、だいたい人があまり通らない場所を選んで続いていくからだ。

 風が頬を切る。  

 夏の終わりかけの夜は、さほど寒くはないはずなのに、体温とは別の冷たさだけが肌に残る。

 ふと、胸ポケットを指先で確かめた。  

 薄くなったタバコの箱と、折りたたまれた小さなメモ用紙。  

 それから、こすれて色あせた小さな御守り。

 ――思い出すのは、あの橋

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  • しおさいの街で、人狼と天使は恋をした   第1章・第5話:『お前』から『ナギ』へ、変わる夜風

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