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第4話

Author: やすもり
フラッシュが眩しすぎて目が眩む。

私は父の腕を組み、宴会場の通路の入り口に立っていた。

招待客で席は埋まり、衣擦れの音と香水の匂いが空気に漂っている。

相馬は、会場の片隅に立っていた。オーダーメイドのスーツに身を包み、髪は完璧にセットされている。

彼は絶えずネクタイを直しており、その顔には抑えきれない得意げな表情だった。

友人たちが相馬を囲み、お世辞を並べていた。浩史もその中にいた。

ウェディングドレスの裾は幾重にも広がり、腰には鈍い痛みがあったが、私の足取りは確かだった。

音楽が鳴り響く。

父が低く囁いた。「妙子、準備はいいか?」

私は頷き、顔に笑みを浮かべた。

宴会場へと足を踏み入れると、視線が津波のように私に押し寄せてきた。

驚嘆、羨望、好奇心。

それらの視線が私の顔をなぞるのを感じた。

私は静かに人々の顔を見渡し、やがて祭壇の前で止まった。

相馬がそこに立っていた。

私が近づくのを見て、彼の目は熱を帯びていた。

その奥にあるのは、手に入れようとするものへの切望だけだ。

彼は、私の顔色がいつもより青白いことにも気づいていなかった。

私たちは定位置に立った。

司会者の声が響き渡り、ありきたりな祝辞を述べた。

相馬は力強く「誓います」と答え、一つ一つの「誓います」が待ちきれない様子だった。

私の番が来た。

私は顔を上げ、彼を見つめ、そっと口を開いた。「私は……」

私は相馬の瞳に、満足の光が宿るのを見た。

「ちょっと待って!」

唐突に、一つの声が響き渡り、ざわめきを突き破った。

浩史だった。

いつの間にか、浩史は祭壇に近い通路まで歩み出ていた。

会場中の視線、そして相馬の驚愕した視線が、全て浩史に注がれた。

相馬は眉をひそめ、不快そうに声を潜めた。「浩史、何やってんだ?ふざけるな」

浩史は躊躇なく数歩で祭壇に上がり、司会者のマイクをひったくった。

「皆様、申し訳ありません。どうしても今日まで言えなかった言葉があります!」浩史の声がマイクを通して増幅された。

浩史は相馬を睨みつけた。その目には怒り、軽蔑、そしてわずかな興奮が混じっていた。

「相馬!手塚相馬!お前、真田社長に顔向けできるのか?!今日のこの結婚式に顔向けできるのか!」浩史の声が突如高まる。

相馬の顔色が変わった。「浩史!何をデタラメを!」

「デタラメかどうか、皆さんに聞いてもらいましょう!」浩史は素早くスマホを取り出し、マイクに向けた。

ざわめきと、酒に酔った相馬の、隠そうともしない軽蔑の声が混じった音声が流れ出した。

「……あの子、病弱だし、親も高齢だ。あと数年我慢すれば、財産は全て俺のものさ。今は世話してやってるんだ。将来のための投資だ……」

ドカーン!

会場は騒然となった。

驚きの声、議論、信じられないという息を呑む音が混ざり合った。

メディアのカメラが狂ったようにシャッターを切り、フラッシュが閃光を放った。

相馬の顔は一瞬で青ざめた。

彼は浩史を睨みつけ、唇を震わせた。「ぎ、偽造したんだな!俺を陥れようとしている!」

「捏造だと?」浩史は素早くスマホの画面を切り替えた。

「じゃあ、ペーパーカンパニー経由でプロジェクト資金を横領し、金を自分の親の口座にマネーロンダリングしたのは俺の捏造か?!」

浩史は言うほどに興奮し、台の上から招待客に向かって叫んだ。「結婚式の直前まで高額な人身傷害保険について相談してたのも、受益者を自分にしたのも捏造か!」

一つ一つの言葉が、証拠となって相馬に叩きつけられた。

相馬は完全にパニックに陥った。「キチガイ!浩史、お前は頭がおかしい!俺を妬んでるんだ!全部お前のでっち上げだ!」

相馬の弁解は、この告発の前ではあまりにも薄っぺらだった。

私はこの騒動の中心に立ち、父が怒りで腕を震わせているのを感じた。

そっと手を握り返し、動かないよう合図した。

これからは、私のパフォーマンスだ。

私は目をわずかに見開き、ゆっくりと相馬の方へ向き直った。

唇を震わせ、瞳には涙が溜まっていく。

唇は動くが、問い詰めたいのに声が出せない。

なんと心が引き裂かれた、絶望的な花嫁だろう。

「妙子、違うんだ!聞いてくれ、浩史は……!」相馬は慌てて、私の手を掴もうとした。

私は深く息を吸い込み、酸欠の感覚が頭に達するのを感じ、視界が暗くなり始めた。

指先から力が抜け、ブーケが床に落ちた。

私は目を閉じ、父の方へ向かって崩れるように倒れこんだ。

「妙子!」父の怒りに満ちた声が響いた。

「医者!医者を呼んで!」母が泣き叫んだ。

相馬の弁解の声が遠ざかっていく。

足音、驚きの声、机や椅子にぶつかる音。

現場は完全に混乱した。

私は父に抱きかかえられ、急いでその場を離れた。

相馬のそばを通り過ぎる時、父は捨て台詞を吐いた。「手塚相馬、妙子が無事でいることを祈っておけ。そうでなければ、俺はお前を許さないぞ!」

相馬は凍りついたように立ち尽くし、招待客たちの様々な視線と、フラッシュの光を浴びていた。

彼の頭の中はキーンと鳴り響いた。

しまった!
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