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episode.5

مؤلف: 甘寧
last update تاريخ النشر: 2026-02-27 17:00:00

──その後、お洒落なカフェでお洒落なワンプレートランチを注文して、デザートにこれまた可愛らしいショートケーキをご馳走してもらった。

女性の好みドンピシャなセレクトに、スマートなエスコート。完全に女性の扱いになれている男の所作。分かってはいたが、こんなん目の当たりにしたら私なんてまだまだお子様で、隣に並ぶのが恥ずかしくなる。一歩下がって後ろを歩こうとするが、私の気持ちを知ってか知らずか手を繋ぎ隣を歩かせようとする。

「後ろを歩かれちゃ顔が見れないでしょ?」

もう、この人には敵わないなと思った。

「じゃあ、またね」

「はい。ありがとうございます」

アパートまで送ってもらい、笑顔で別れた。次に会うのは収録のある明後日。いつの間にか弱気な気持ちなんてなくなり、もう少し頑張ろうという気になれていた。

「ふんふん~」

鼻歌混じりに階段を上がり、自分の部屋までやって来るとポストに一通の手紙が届いていた。

「へぇ、同窓会か」

それは中学の同窓会の招待状。高校時代は後半の辛くて苦しいかった思い出が強くて、あまりいい思い出がないが、中学はそれなりに楽しかった記憶がある。男女関係なくみんなが仲良く、友達と呼べる人も多くいた。

「行ってみようかな……」

高校の同窓会は毎年ハガキが来るが、毎回欠席で出している。でも、中学は行ってもいいかもしれないと思った。

(優弥も来るかな)

三須優弥みすゆうやは紗千香の幼馴染。家が近所だったこともあり登下校はいつも一緒で、頭の良かった勇也に勉強を教えてもらっていた。高校生になり、学校が別々になった事で疎遠になってしまってそれっきり。

地元を出たことも伝えぬまま、気づけば数年が経っていた。いつか言わなければと思っていたが、忙しさにかまけて後回しにしていた。

「まあ、気にしてるのは私だけかもしれないけど……」

紗千香は出席に印をして、返送することにした。

***

「カット!」

本日は収録日。

先日の失敗を挽回しようと頑張るが、やはりまだ仲佐さんの色気に当てられ上手くいかない。休憩を取る度に長椅子に座り項垂れる私の姿がそろそろ定着しつつある。

「そんな気落ちしなくても大丈夫」

私を気遣って仲佐さんが温かい缶コーヒーをくれた。

「自分が情けないです」

仲佐さんだけじゃない。この場にいる人みんなに迷惑をかけている。もう少し頑張ろうと思った矢先にこれだ。

「ん~……」

項垂れたまま頭を上げようとしない紗千香を見て、仲佐は何やら考えているようだった。

「ねぇ、提案なんだけど」と前置きた上で、とんでもない言葉が放たれた。

「君さえよければ、しばらくうちに泊まってみる?」

「は!?」

「ほら、俺、君に男を教えるって言ったじゃない?口だけだって思われるのも嫌だし、行動で示さないと。それに一緒に住んでれば台本の読み合わせだって出来るでしょ?」

なんだろう。間違ってはいないが、間違っている気もする……いや、言いくるめられるな。仲佐さんと一つ屋根の下で暮らすんだぞ?そんなの絶対無理!心臓がもたない!

(私の精神衛生上不可能!)

「あの──」

「あ、因みにこれは進める為の提案なんだけど?」

物凄い強調された言葉に、断りかけた言葉をグッと飲み込んだ。『仕事の為』なんて言われたら私には断る術がない。

「勿論、断ってもいい。けど、俺は紗千香ちゃんと一緒にいたいな……君はどうしたい?」

「ッ!」

甘ったるい声で甘えてくる。自分の武器を最大限に使って口説くなんて狡すぎる。

「~~~~~~ッ……お願いします……」

蚊の鳴くようなか細い声で返事を返した。卑怯だと思っても、逆らえないのだから同罪だ。

私の答えを聞き、仲佐さんは口角を吊り上げた。その表情を見て「あれ?」と思ったが、既に後の祭り。

「よしっ、じゃあ、サクッと収録を終わらせようか」

「え、ちょっと待っ──!」

「さあさあ!始めよう!」

休憩中のスタッフにも声をかけ、再び収録が開始された。紗千香はその様子を茫然としながら見る事しかできなかった。

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  • その声、独り占めしてもいいですか?   episode.2

    二人が演じる『北風と太陽』は、幼なじみである男女の恋模様を描いた作品。 ふわふわとした愛らしい主人公の杏が、ヤクザの若頭である樹に迫り、脅迫紛いの言葉で付き合う所から物語が始まる。 この手の話は需要があるらしく結構耳にする。 「……これは……」 紗千香は台本を開いて言葉を失った。 「あ、気付いた?」 同じように台本を手にしている小柴さんが嬉しそうに声をかけてくる。 私の記憶が間違いでなければ、この原作は全年齢対象だったはず。だが、台本に書かれている台詞はツラツラと甘い言葉が並べられ、キスシーンや絡み合う場面が多い。 「監督からの指示でね。ギ

  • その声、独り占めしてもいいですか?   episode.1

    私、伊崎紗千香には憧れている人がいる。その人は声だけで人を楽しませたり喜ばせたり、時には感動で涙を誘ったりする。私はその声に心を奪われた。 ちょうどその時は進学か就職か悩んでいた時期で、親と教師の板挟みに疲れ、行き詰まり心が荒んでいたのもあったのかもしれない。『気楽に生きればいい。笑える人生を歩め』と言う台詞が当時の私の心に突き刺さり、耳に響く低音の声が優しくて、とても心地良かった。 私はその声の主のように、心を動かせる人になりたい。そう思った…… *** あれから数年── 私は、憧れの人と同じ声優を選び、今年で二年が経った。 まだまだ下っ

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