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第18話

last update 最終更新日: 2025-07-23 11:00:00
(つい……じゃないよ。しんどいって、これ……)

息を整えながら、そんなことを思う。

体が、妙に熱い。自分の弱点を知られてしまったことだけが原因ではない。確実に、本宮さんの妖艶で甘い声音のせいだ。

抗議しようとしたけれど、後ろを振り向くことができない。本宮さんに抱きしめられているからというのもあるけれど、あれだけで昂ってしまった自分が恥ずかしすぎるからだ。今、本宮さんの顔を見たら、確実に彼を求めてしまう。でもそれは、彼の『優樹を大切にしたい』という言葉を蔑《ないがし》ろにしてしまう気がした。

「俺な、優樹がうちに泊まりに来てくれるなんて、思ってなかったんだ」

と、本宮さんが突然、そんなことを話しだした。甘い声音だけれど、先ほどの妖艶さは鳴りを潜めている。

「じゃあ、どうして誘ったの?」

平静を装いながら僕がたずねると、本宮さんは軽く笑った。

「どうしてだろうな? ……優樹に呼び出されて、一緒にいた男は誰だって聞かれた時、別れ話を切り出されるんじゃねえかって……正直、怖かった。優樹がそれを望むんだったら、大人しく身を引こうとまで考えてた」

「そんな、別れるだなんて――! たしかに、あの時は嫉妬したし、本宮さんにイラッとしたのも事実だけど。でも、だからって別れたいなんて思ったことないよ!」

僕は、反射的に本宮さんの方に体ごと向き直って言った。

いつの間にか、体の妙な熱さは消えている。

「そっか。ありがとな」

と、本宮さんは優しく微笑んだ。

僕たちは、どちらからともなく口づける。触れるだけの軽いキス。それだけで、心が満たされる。

「ねえ。本当に、僕が本宮さんのベッド使っていいの?」

僕がそうたずねると、本宮さんはもちろんと言うようにうなずいた。

「でも、じゃあ本宮さんは?」

「俺は、床で寝るから大丈夫だよ。使ってない布団もあるしな」

「そんなの悪いよ! 僕が布団で寝る!」

そう言ったのだけれど、

「大丈夫だから、ベッド使え」

と、言われてしまった。

納得はできないけれど、このまま言い争っていても平行線のままなのは明白で。僕は渋々、本宮さんのベッドを使わせてもらうことにした。

リビングの隣室は、思った通り寝室だった。ベッドと本が多く収められた棚がある。タンスは見当たらなかったので、洋服類は壁に備えつけられているクローゼットにしまってあるのだろう。

閉め切られたカーテンと白っぽ
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