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第7話

Autor: ネコのネコ
「鳴海!」凛夏はうろたえながら鳴海の背中に触れ、泣き声を上げた。

「どうしよう、大丈夫?すぐに病院へ行こう!」

鳴海は痛みに眉をひそめ、額に冷や汗を滲ませながらも、彼女をなだめるように言った。

「大丈夫だ。大したことない。せっかく遊びに来たんだから、お前に嫌な思いはさせたくない」

「だめよ!絶対に病院へ行くわ!」凛夏は譲らない。

タイタニックのワンシーンのように演じているこの男女の姿を、千与は見ていて、あまりの皮肉さに息が詰まりそうになっている。

もうこれ以上ここにいることはできないと感じた彼女は、立ち上がって帰ろうとした。

だが、鳴海は彼女の手首を掴んで引き止め、問い詰めた。「どこへ行くんだ?」

「帰るのよ」千与は力を込めて振りほどこうとし、わざと皮肉を込めて言った。

「何?あなたも一緒に来るの?」

鳴海は沈黙し、彼女を掴む手の力がわずかに緩んだ。しばらくして、ようやく硬い声で言った。「……行け」

千与は自嘲気味に笑い、一度も振り返らずに去った。

サークルの人たちが慌てて取りなした。

「牧石さん、淡野さんはきっと焼きもちを焼いたんですよ。追いかけてなだめてあげてください!」

鳴海は出口の方を見つめ、眉を深くひそめたが、最後には突き放すように言った。

「放っておけ。勝手に落ち着くだろう」

千与は一人でマンションに戻った。意外なことに、その夜は鳴海も卓也も姿を見せなかった。

ようやく訪れた、誰にも邪魔されない夜。それでも彼女は眠れず、何度も寝返りを打った。

深夜、スマホが鋭い音を立てて鳴り響いた。鳴海からの着信だ。

「千与、今すぐC病院へ来い!」彼の声は切迫しており、凍りついたかのようだ。彼女の返事を待たずに、電話は一方的に切られた。

何が起こったのか分からないまま、千与はためらいながらも病院へ駆けつけた。

救急外来の入り口に着くや否や、鳴海は彼女の腕を掴んだ。その力は骨が砕けるほど強い。

「凛夏が事故に遭った!大出血だ!彼女は希少血液型で、血液センターの在庫が尽きてる。お前も同じ血液型だろう?今すぐ献血しろ!」

千与は呆然とし、信じられない思いで彼を見つめた。

「……私を呼んだのは、彼女のために血を抜けと言うためなの?」

「当たり前だ!凛夏が死んでもいいと言うのか?来い!」

鳴海は拒絶を許さず、ほとんど乱暴に彼女を引きずるようにして採血室へ連れて行った。

「嫌よ!牧石鳴海、放して!」千与は抗った。恐怖と怒りが入り混じっている。

しかし、彼女の抵抗は鳴海の圧倒的な力の前では無力だ。彼女は採血チェアに押し付けられ、針が血管を貫いた。

看護師は抜かれる血の量を見て、思わず制止した。

「牧石さん、もう1000mLも抜いています。これ以上は無理です!この方が危険です!」

鳴海は隣の、赤ランプが点灯している手術室を見つめ、冷たい決意に満ちた瞳で言った。

「だめだ!凛夏には血液凝固障害がある。予備としてもっと抜け!抜けろと言ってるんだ!」

冷たい針が千与の血を吸い続けた。彼女は激しいめまいに襲われ、全身が凍えるように冷たくなった。やがて視界が真っ暗になり、意識を失った。

再び目を覚ました時、千与は病室のベッドに横たわっている。手の甲には点滴の針が刺さっている。

傍らには鳴海が座っている。

彼女が目を開けるや否や、投げかけられたのはいたわりの言葉ではなく、容赦のない冷徹な叱責だ。

「千与、お前がこれほどまでに悪辣な女だったとはな。よくも凛夏の車のブレーキに細工をしてくれたものだ。そんなに彼女を殺したかったのか?」

千与は絶句し、信じられない様子で尋ねた。

「……そんなこと、してないわ!私がいつ、彼女の車に触れたっていうの?」

「凛夏自身がそう言ってるんだ!前に借りたい物があるって彼女の車に近づいたのはお前だけだって!」

鳴海は千与の話を最初から信じようとせず、その視線は刃のように鋭い。

「証拠は揃ってる。まだしらばくれるつもりか?」

千与はすべてを悟った。

――これもまた、凛夏が仕組んだ狂言だったのだ!そして鳴海は、一分の疑いもなくそれを信じ切っている。

千与は口を開こうとしたが、どんな言葉も今の鳴海には届かないことに気づいた。

彼はとうの昔に、彼女に死刑判決を下していた。

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