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2・理想のモデルはどこに?

Auteur: 泉南佳那
last update Date de publication: 2025-06-08 08:26:04

「ネットにアップしてたプロモーション用の写真があったでしょう? リンク張ったメールを手当たり次第送っておいたら、なんとMOGAの編集長の目に留まったみたい」

彼女はさらに眼を輝かせて、おれを見つめる。

「ちょうど日本特集を組むので、まだ世間にあまり知られてない有望な日本人写真家を探してたんですって。オリジナルの写真を提供してほしいそうよ。ブランド縛りとかもなしで、好きに撮ってくれって」

「……詐欺じゃないよな。その話」

「まあ、そう思うのも無理はないけど、日本法人の事務所から来た電話だったし、確認でかけ直してみたけど、ちゃんとオフィスに繋がったから大丈夫よ。とりあえずスケジュールが聞きたかったみたい。締め切りは3カ月後の2月末」

「すげー……、すげー話だよな……なっ、紗加」

「ええ、おめでとう。瀧人」

 紗加はすっと立ち上がり、おれの横に立った。

 そして肩に手を置き、腰を屈めて耳元でささやく。

「さすが、わたしが見込んだだけあるわね。ただのグラビア撮りで終わらせる気ははじめからなかった」

「みんな、紗加のおかげだよ」

紅色に染まった爪先がおれの頬をすべり、その
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  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

    「あ……っ」 「こんなに感じてくれてるんだ……。嬉しいな。でも、そんなに固くならないでリラックスしてごらん」 少し掠れたぞくっとする声でつぶやく。「文乃が行ったことのないとこまで、連れてってあげるから」  それから、指と唇でさんざん弄られて…… もう声を抑えることなどできずに、わたしは快楽の波に翻弄されるまま、あられもない声をあげていた。 頭が真っ白になって、気が遠のいていきそうになったとき、安西さんがわたしのなかに入ってきた。   「……はあっ、あや……の」  彼も抑えきれない欲望に声をあげてわたしを突き上げる。 好きという気持ちが心から溢れだして、わたしの全身に漲っていく。  その想いを注ぎ込みたくて、わたしは自分から彼の唇を求めていた。   「す、き……あなたが……好き」    発火しそうなほどの熱い口づけで、彼はその想いに応えた…… *** ふと目を覚ますと、窓の外が白んでいた。 新聞配達のバイクの音が遠くから聞こえてくる。  その音さえ、まるで祝福の鐘の音のように聞こえる。 隣で眠る安西さんの安らかな寝息も聞こえる。 わたしはそっと、彼の背中に口づけ、また微睡(まどろみ)のなかに引き込まれていった……〈the end〉*お読みいただきありがとうございました😊

  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

     ふわふわと宙に浮き上がっているような覚束なさに全身が支配される。 彼の唇はしばらくそこに留まっていたが、顔をあげて、今度はじっと見つめてくる。「頬が上気して薄紅色に染まってる。ああ、カメラに収めたいぐらい綺麗だ」  そんなことを言いながら、彼の手はわたしの足をさすりあげてくる。「でも……やっぱり誰にも見せたくない」  太腿に置かれていた手に力が加わって、左右にゆっくりと押し開かれた。   「あっ……いや……」  思わず閉じようをすると、さらに強い力で押さえられてしまう「そう? そんな蕩けそうな声出してるのに?」  そして、少し意地悪な口調でそんなことを言われる。  「……だって、恥ずかしい……です。そんなふうにじっと見られたら」   「商売柄かな。いつでも見ていたいんだ。美しいものは特にね」  安西さんはわたしを見つめたまま、内腿に舌を這わせていく。そして言った。「……今度は時間をかけて、たっぷり愛してあげるよ」    彼の舌がわたしのもっとも敏感な部分に触れた。「……!」  これまで味わったことのない快楽の波が襲ってくる。   「い、や……やめ……」  わたしは安西さんの髪をかき乱しながら、執拗なその舌を引き離そうとした。    彼の唇が離れた。  ほっと息をつくと、今度は彼の指がわたしのなかを弄りだす。

  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

     「ありがとう……。嬉しいです。そう言ってもらえると」 そう呟くわたしの髪を耳にかけて、露わになった耳たぶに戯れにそっと歯を立ててきた。 噛まれたと言っても、ほんの軽く触れられた程度だった。 でも、心も身体も敏感になっているわたしは、それだけのことでも思わず声をもらしてしまった。   「あ、うんっ……」 「……その声も好きだよ。そんな声を聞かされたら」 少しかすれた色めいた声で安西さんがつぶやく。「また……欲しくなってきちゃうじゃない」  安西さんの手がわたしの肩に触れ、静かに押し倒される。    彼の舌が首筋をさまよいはじめる。  そっと、舐めあげられたり、ときおり少し強く吸われたり。   そんなことをされると、背中がぞくぞくしてきて、思わず身をよじってしまう。 そんな反応が彼をまた刺激して、今度は指先が胸乳を弄りはじめる。 尖った先端をさすられると、身体の奥深くで得体の知れない何かが蠢きだす。 わたしは思わずびくっと身をこわばらせる。   「こうされると、気持ちいい?」  恥ずかしさに震えながらも、わたしは小さくうなずいた。 安西さんはふっと微笑みをこぼし、「じゃあ、これは?」と言って、  今度は右胸の乳暈を舌でやさしく舐めあげてきた。「……あん」  指とは違う湿った感触に、新たな快楽を掘り起こされて、自分とは思えないような声を出てしまう。

  • たとえ、この恋が罪だとしても   エピローグ

     彼の部屋で、安西さんはありったけの情熱を注ぐかのようにわたしを抱いた。「安西……さん」 獣のようにわたしを貪る彼にこたえて、いつしか、わたしもあらぬ声をあげていた。   「まだ夢みたいだ。文乃とこうしているなんて」 「わたしも……同じこと、考えてました。今」 情事の余韻に浸ってぼんやりしているわたしに安西さんがつぶやいた。 彼の腕がわたしの身体の下に滑り込んできて、そのまま引き寄せられる。  背後から抱きしめられて、肩口にそっとキスされる。 こわれものを扱うように優しく。  そうした態度のすべてがわたしを幸福の極みに連れて行ってくれた。 あのときは、その幸福が怖かった。でも、今は違う。  そのことが心の底から嬉しかった。「なんで保育士になったの?」  わたしの髪をもてあそびながら、安西さんが尋ねる。「歌にかかわる仕事がしたくて。保育士になれば毎日子供たちと思い切り歌えるなと思って、それで通信で資格を取って……」「文乃らしいな。おれ、文乃の歌、好きだよ。とっても美しい澄んだ声をしてるから。子供たちが羨ましいよ」 そんなふうに褒められたのは初めてだ。  他でもない安西さんに言われたことも相まって、嬉しさがふつふつとこみあげてきた。

  • たとえ、この恋が罪だとしても   15・3年後

     そう言うと、今度はこれ以上ないほど真剣な表情に変わった。「会いたかったよ。文乃がどう思ってるかわからないけど、おれは今でも文乃が好きだ。その気持ちは少しも変わっていない」 もう、我慢できなかった。  堰を切ったように涙が頬を伝っていく。    店はほぼ満員だし、店員さんも近くにきそうだし、こんなところで泣いたらおかしいと、自分をいさめるのだけど、どうしても止まりそうになかった。「ご、ごめんなさ……い、お、おかしいですよね……こんなところで」 安西さんは優しい眼差しでわたしを見つめながら、ハンカチを差し出した。 そして、「出ようか」と言った。  それからすばやく立ち上がると、わたしをかばうように肩に手を回して歩き出した。 表に出て、駐車場に向かう途中の壁際で抱きすくめられた。「文乃……会いたかった……おれのあやの……」 そう言って、わたしの顎をすくいあげる。  懐かしい彼の唇の感触がわたしの心に灯りをともしていく。「文乃は? おれを好きでいてくれた? 今も変わらない?」  少し不安げにそう尋ねる彼の顔を、わたしは見あげた。「……変わって……ません。ずっと……ずっと好きでした。ずっと、会いたかった」 唇が重なる。  深く、激しく。 まだ、宵の口だし、誰か通りかかるかもしれない。  そんな考えが、ちらっと頭をよぎったが、それでもかまわない。  そう思った。 名残惜しげに唇を離すと、彼は切羽詰まった声音でささやいた。「もう、死んでも離さないから、覚悟して」  

  • たとえ、この恋が罪だとしても   15・3年後

     あのとき、自分は俊一さんへの罪悪感を少しでも薄れさせることしか、考えていなかった。 安西さんの、わたしを想ってくれる気持ちを軽んじたつもりはまったくなかったけれど、結果的に彼の気持ちを踏みにじってしまった。  結局、わたしは自分のことしか考えてなかった。  ひどいことをした。  安西さんの顔がまともに見られない。俯いたままで、わたしは言った。「ずっと、ずっと、あなたのことはもう忘れなければいけない、と思ってました。安西さんにとってわたしは、もう遠い過去になっているはずだって。 それに、本当に、わたし、安西さんみたいなひとには、ぜんぜんふさわしくないし……」    言葉が終わらないうちに、安西さんの手がわたしの頬に伸びてきて、軽くつねられた。 思わず顔を上げると、目が合った。  慈しみに満ちた表情でわたしを見つめている。 初めて会ったときから、わたしを惹きつけてやまない瞳。 その美しい瞳と見つめ、ようやくふたたび安西さんに会えたことの喜びが、わたしの心を満たしはじめた。「何言ってるんだよ。ふさわしいかどうかなんて、おれが決めることだろう」  そのまま、わたしの髪を優しく撫でながら、続けた。「おれが愛する女は、文乃だけだよ」  そう言ったとたん、安西さんはあわてた顔をして、自分の口を両手で押えた。  急にどうしたのだろうと思っていると……「うわ、やば。まじで歯が浮いてきた」と真面目な顔で言う。  本気であわててる姿が可笑しくて、思わず吹き出してしまった。 そんなわたしを見て、安西さんは嬉しそうに言った。 「やっと、笑ってくれたね。その顔が見たかったんだよ」

  • たとえ、この恋が罪だとしても   9・紗加の企み

     ずっと気にかかっていたので思い切って聞いた。  紗加さんは何をいまさら、言いたげに少し眉をしかめた。「安西があなたでなくてはだめ、と言うのだから自信を持ってくれればいいわ。それにやっぱりできません、なんて軽々しく言わないでね。一旦引き受けたからには責任を持ってくれないと困るわ。素人だろうがプロだろうが、そんなことは関係なくてよ」 いつもよりもさらにきりっとした表情でそう言われた。 安西さんにとって、そして紗加さんにとっても人生をかけるほどの大仕事なのだ。 わたしにもちゃんと自覚を持ってほしいということだろう。「わかっています。引き受けた以上は投げだすようなことはしません」「あ

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-26
  • たとえ、この恋が罪だとしても   8・秘めたる想い・重ねる嘘

    「うーん、口紅の色がどうも違う」5着目のワインレッドのドレスを撮影しているとき、安西さんはライトのなかに入ってきて、わたしの目の前に立った。「紗加、クレンジングと口紅持ってきて」 安西さんは化粧道具を受け取ると、ちょっとごめん、と言って、指先でわたしのあごをすくい上げた。あっ、と思わず声を上げそうになって、すんでのところで飲みこんだ。 こんなところで声を上げたら変に思われてしまう。口紅をカット綿でぬぐうと、安西さんは紅筆を使って私の唇に別の色の口紅を塗っていった。わたしの全神経は、唇一点に集中した。息がかかるほどの距離に安西さんがいる。 そう意識しただけで身体から力が

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-25
  • たとえ、この恋が罪だとしても   8・秘めたる想い・重ねる嘘

    わたしが答えるまえに、紗加さんが安西さんの隣に来て、そう言った。 「ひどいなあ、紗加まで」「さあ、そろそろはじめましょう。今日は忙しいわよ」 「ああ、そうだな。おふたりとも、今日はよろしくね」安西さんはカメラのほうに向かっていった。わたしも最初の衣装を着るために紗加さんの後に続いて、事務所に入っていった。 ******   各衣装それぞれをほんの10分ぐらいの短時間で撮影した。無理に意識しなくても、すっかり着せ替え人形の気分だ。撮影自体は2度目だったので、少しだけ慣れた。 安西さんの指示にできるだけ添えるように、それだけを気をつけた。それでも右を向いてと言わ

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-25
  • たとえ、この恋が罪だとしても   8・秘めたる想い・重ねる嘘

    「やっぱり今日はいつもと違うな。どうしたの? 最近、忙しくて会えなかったから? 寂しい思いをさせてすまなかった」例年でさえ年末は忙しいのに、転勤のための準備や引き継ぎで、俊一さんは寝る間もないほど忙しい日々を送っていた。プロポーズされたあと、ふたりでこうして過ごせたのはほんの2日ほどしかなかった。今日は1月3日。多忙の俊一さんも三が日だけはなんとか休みが取れた。でも明日はもう仕事はじめ。 休み最後の日を俊一さんの部屋で過ごしていた。昨日はわたしの実家をふたりで尋ねた。うちの両親は、俊一さんのご両親以上にこの結婚に大賛成だった。食卓には見たこともない豪勢なおせち料理が並んでい

    last updateDernière mise à jour : 2026-03-24
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