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日記03:はじまりの事件①

مؤلف: 久遠遼
last update تاريخ النشر: 2025-10-09 15:03:09

「相沢! 漫研の部長さんが来てるよ!」

教室の後ろの方から聞こえてきた。

そちらを見ると、入り口付近の女子生徒が相沢を呼んでいた。

教室のすぐ外に、メガネをかけた上級生の男子生徒が教室の中を伺っていた。

「三ツ屋先輩が? わかった」

先程まで上機嫌に話をしていた相沢だが、先輩の急な訪問に少しだけ緊張したのか、急いで廊下へと出ていった。

話の中心にいた相沢がいなくなったことで、工藤は教室の真ん中辺り、倉本は窓側一番後ろのそれぞれの席へと戻っていった。

そしてちょうどそのタイミングで――

「お喋りはそこまでだ、ホームルーム始めるぞ」

担任の榊原 一誠(さかきばらいっせい)先生が、冊子だろうか、なにやら両手に抱えて教室の中へと入ってきた。

身長180センチ超えのがっしり体型に、猫背気味の姿勢。無精ひげにゆるんだネクタイ、そしてシャツの袖は例によって適当にまくり上げられている。

見た目は完全に“やる気のないサラリーマン”だが、ちゃんと教員免許を持ってるというのだから驚きだ。

「茉莉花、そろそろエリカから離れて自分の席につくんだ」

未だにエリカにくっついている茉莉花に視線を向けてから、そう言って促す。

「へーい」

やや不満げな様子で茉莉花は自分の席へと戻ったのを見届ける。

「相沢! 中入ってこい! 三ツ屋もホームルームまだだろ? 自分のクラスへ戻れ!」

そのタイミングで、榊原先生の声が聞こえてきて、そちらに振り返る。

「よいせっと」

廊下にいる相沢に声をかけ直した後、榊原先生は冊子の束を重たそうにしながら持ち直し、教卓へと運び出していた。

あわてて帰ってきた相沢が自身の席へついたが、机の下や中を覗き込んだかと思うと、鞄の中を焦った様子で確認していた。

榊原先生は教卓の横に冊子の束をどさりと置き、ネクタイを緩めながら話し始めた。

「よーし、んじゃこいつを配っとくぞ」

束を軽く叩きながら言う榊原先生の声に、相沢はしぶしぶと身体を起こして、座り直したように見えた。

「新しく刷り上がった学校案内パンフレットだ。来月、中学生向けの学校説明会で使うやつなんだが、在校生にも配ることになった。……まあ、保護者に見せろってやつだな」

「えー、“いっちー“それ要るの?」

エリカが不満を言うと、榊原先生はため息をつきながらぼやく。

「誰がいっちーだこら。エリカ、学校では榊原先生って呼べって何度言ったら分かる」

「はーい、榊原先生」

実は俺たちと榊原先生は、彼が学生の頃からの昔馴染みで、エリカは昔から“いっちー“と呼んでいたため、それが未だに抜けきれていない。

「たく……お前らにとっちゃ進路の参考にもなる。行事予定や模試のスケジュールも載ってるんだぞ。

それに、教頭のハゲが運ぶ前にパンフレットをまとめていた帯を外すもんだから、バラバラにならねーように運ぶの大変だったから、ありがたーく見ろよ」

「いっちー先生いいのかよ、教頭先生のことそんな風に言って」

「誰がいっちー先生……はぁ、もういいめんどくせぇ。いいからさっさと回せ」

榊原先生は束を廊下側の列から順に二、三部まとめて前列の生徒に気だるげな様子で雑に渡した。

パンフレットは列ごとに次々と後ろへと回され、束が減っていくごとに机に小さな音を立てていく。ざらりとした紙の感触、刷りたて特有のインクの匂いが教室に漂った。

最後に受け取った生徒たちが鞄へしまい終えると、榊原先生は手をパンと打った。

「はい、配布終わり。説明は以上。……職員会議が控えてるから、今日のホームルームはここまでな。忘れ物すんなよ」

それだけ言うと、教卓の上の書類を片づけ始める。

チャイムが鳴り響き、椅子を引く音、クラスメイトの会話に包まれ、教室は一斉に帰り支度のざわめきに包まれた。

このまま穏やかに各々放課後の予定へと移っていくのだろうと思っていたが、次の一言でその空気は霧散し、静まり返ることとなった。

「誰だよ! 俺のファイルを取ったやつは!」

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  • ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮   日記08:決意

    家に着いてから、俺たち二人は、母さんが家の一階で営む喫茶店「アンサンブル」で、飲み物を飲みながら過ごしていた。 俺の対面に座るエリカは、いつもなら明るく元気で、テンションが高い。だが今は、まるで世界の音がすべて遠ざかったみたいに、黙ってグラスに入った氷をストローでくるくると回していた。 ……何を、考えてるんだ? 沈黙のあと、唐突に彼女が立ち上がった。 「よしっ! 決めた!」 「……え?」

  • ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮   日記07:はじまりの事件(解決)

     それに三人は合点がついたという表情になった。  だが、ずくに朔真は顔を険しくさせた。 「そこまでは分かったけど、そこからどうして僕の鞄に?」 その問いかけにエリカは確認するように返す。 「いっちーはどうやってパンフレットを配ったか覚えてる?」 「どうって普通に一番前の席にまとめて何冊か置いて後ろに回してたよな?」 工藤の言葉に二人は頷いた。

  • ひらめき探偵エリカは毎日が新鮮   日記06 はじまりの事件④

    「はぁ?」 三人が同時に声を出した。 突然、榊原先生が犯人だと言われてもなんのことだとなるのは当然だ。 「エリカ、なぜそう思ったのか教えてくれないか?」 「うん、任せて! 倉本くん、ちょっとそのパンフレット貸してくれる?」 エリカは、倉本の鞄を指差して言った。 「パンフレット? う、うん、い

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