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命の対価⑫

last update Dernière mise à jour: 2025-02-14 17:00:51

「ふーん、なるほどな研究所が襲われて命からがらここに逃げてきたと」

「まあ助けられなかった人達のほうが多いけどね」

「んなこたぁどうでもいい。これからが大変だろうが」

そんな話をしている折、我慢できなくなったのか一人の男が叫び始めた。

「一体君達は何者なんだ!!それにあの異形の生物は!あの彼方という青年は何処に行った!」

皆の視線がその男に向けられる。

「あ?何だお前。先に名乗れ」

「私は国家安全保障局の者だ。あの惨劇の説明を求めている!」

国に関わる重要な方のようで、国に説明を求められた際なんと言えばいいか分からず理解できるように説明してくれ、との事。

「そうだね、まずは説明の必要があるか。ボクらの事もあるしね」

そこからは1時間ほど掛けて、一般人に理解できるような説明が行われた。

魔法や異世界、科学では説明できない事象は実際に目の前で見せてくれた為信じるしかなくなってしまった。

その中心に居たのが、彼方だったらしく今は最優先で保護しなければならないとのことだ。

「協力はしてやるが、正直なところたったこれだけの人数で異世界ゲートを取り返せるのか?」

「ま、待て!我々にも戦えというのか!?」

「うるせぇやつだなお前は。俺の仕事は武器商人。この世界の武器ならどんなものでも揃えてみせるぜ」

見た目通りの職業だったが、今はとても頼もしく見える。

「しかし、あの化け物どもは軍人すら相手にならなかったぞ?」

また別の者から、意見が飛んでくる。

「うるせぇなぁ、やるかやらないか。さっさと決めろ。死にたくなけりゃ戦え。嫌なら死ね」

この紅蓮という男は口が悪くそれがまた人を苛つかせる。

「人が死んでいるんだぞ!!」

「協力的な態度を示したらどうだ!!」

紅蓮と記者や国の関係者が言い合いになってしまい、収集がつかなくなってくる。

「茜くん、君はどうするんだい?」

五木は騒いでる連中を無視して、近くにいた彼女に話し掛けた。

「そうですね……戦うなんて平和な日

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