Share

隠れていた存在③

last update Last Updated: 2025-01-22 17:24:36

一ノ瀬漣から貰った名刺に連絡すると3コールで電話に出た。

暇なのだろうか?

「誰だ、この番号を知っているということはプライベート用の名刺を渡した者だ、カナタか?」

なんだ?プライベート用って。

プライベート用の名刺なんて初めて聞いたぞ。

「一ノ瀬漣さんですか?カナタです」

「やはりそうか。それで?この番号に掛けてきた理由は?」

淡々としているなこの人は。

でも聞かないことには始まらない。

「異世界の事で聞きたいことがあります」

「……………………分かった。明日の12時にレーベでいいか?」

レーベって駅前にある喫茶店の事かな。

えらくお洒落な所を選ぶんだなこの人。

「分かりました」

「一人で来いよ」

それだけ言うと電話が切れた。

一人で来いとはどういうことだろうか。

やっぱり誰にも気づかれず僕を始末するつもりか?

春斗に伝えたほうがいいかも知れないな。

携帯で春斗の番号を探す。

春斗(元気バカ)

なんて酷い名前なんだ。

付けた僕が言うのもなんだが神風春斗に直しておこう。

これから長い付き合いになりそうだしな。

「もしもし、どうしたカナタ」

「春斗ちょっと相談がある」

「なに!?相談だと!待ってろ家に行く!」

何を勘違いしたか分からないが、僕に何かあったと思ったのだろう。

すぐに電話は切れたが、とりあえず家で待っておいたらいいか。

しばらくするとインターホンが鳴る。

「カナター!来たぜー!!!」

速いな、電話してから10分しか経ってないぞ?

魔法か?魔法の力なのか?

そんなの僕も使いたいじゃないか!

扉を開けると満面の笑みを浮かべて立っていた。

「相談だって?何でも聞いてこい!」

僕から相談なんてしたことがなかったから相当嬉しかったらしい。

リビングに上がってもらいお茶を出す。

「それで?何が聞きたいんだ?」

「まずはこれを見てくれ」

一ノ瀬漣から貰った名刺をテーブルに置くと怪訝そうな顔を浮かべる。

「なんだこれ?ん?少し魔力を感じるな。これどこで手に入れたんだ?」

「一ノ瀬漣って人がいるんだけど……」

漣との遭遇、その後会話した内容を細かく伝える。

「なるほどな、確かにこれは異世界絡みだ。俺に相談して正解かもしれんな」

「やっぱり?とりあえず明日会うんだけど一人で来いって言われててどうしたらいいか相談したかったんだ」

「一人で来いってのが怖いところだな。実際漣ってや
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Related chapters

  • もしもあの日に戻れたのなら   隠れていた存在④

    翌日、12時前に駅についた僕は辺りを見回したがどこにも漣の姿は見当たらない。もちろん春斗とその仲間も何処にいるか分からないが何処かに隠れてはいるのだろう。レーベに到着し、中に入るとまだ来ていないようで先にテーブルへ案内された。「すみません、ミルクティーを一つ」「畏まりました」店員と一言二言やり取りし窓の外を眺める。やはり見当たらないな春斗は、魔法の力だなこれは。カランコロンと店のドアが開く音がして、そちらに顔を向けると見知った顔が見えた。一ノ瀬漣が来たようだ。服装がスーツでビジネスマンの風貌をしているな。「すまない待たせたな」「いえ僕もさっき来たところです」社交辞令を交わし漣が席についた。「それで、異世界の話とはなんだ」直球で聞いてきたな。気になっていたようでソワソワしてるようにも見える。「では率直に聞きます。一ノ瀬漣さんあなたは異世界から飛ばされて来ましたね?」その瞬間当たりが凍りついたように音がなくなった。「え?」無意識に口から出た言葉はそれだけ。それ以上に今の状況が理解できない。周りの人が、時計が、音が、止まっている。マズい!核心をつき過ぎたようだ。直ぐに逃げる準備を行おうとするが足が動かない。「逃げることは出来ないぞ」漣がこちらを見定めるようにまっすぐ見つめてくる。「悪いが結界を張らせて貰った。この世界では元の世界に比べるといくらか力が落ちてしまうようだが私にとってはこれくらいは造作もない事だ」時を止める結界なのか?これが造作もない?想定していた以上に漣は強者のようだ。「言葉は発せられるはずだ。お前は魔族の仲間か?」「ち、違います……」絞り出すように声を出す。漣は僕のことを魔族の仲間と思っていたみたいだ。元の世界に帰るために魔族が僕を利用していたと考えているのだろう。「僕は春斗の仲間です……」そう言うと漣は、怪訝な顔を浮かべる。「なんだと?なぜハルトの名前を知っている」僕が答えようとした瞬間。ガラスが割れるような音が響き、薄い板を破るような激しい音と共に春斗が飛び込んできた。「カナタぁぁぁぁ!!」春斗の声だ!いつもならうるさかった大声が今はただただ頼もしい。「春斗!!!ここだ!!!」僕も力の限り叫び自らの場所を伝える。「放て!!ファイアストーム!!」「ま!待て!こんな

    Last Updated : 2025-01-22
  • もしもあの日に戻れたのなら   隠れていた存在⑤

    「ハルトにフェリス、異世界の仲間にこんなとこで会えるとは思わなかった」漣は味方だったようで、一安心したがさっきの一触即発の状況を見ていればそんな呑気なことを言ってられない。「レオン!お前なんで連絡がつかなくなってんだ!てか一ノ瀬漣ってなんだよ!レオンからレンに変えたってことか!?」「す、すまない。私にとってはここが異世界。携帯の使い方もよく分からず飛ばされた当初は皆を探すより先にこの世界に順応しようと努力していたんだ」漣はこの世界の道具に疎いようで、機械という物自体異世界には存在しないらしい。春斗はすぐに順応したみたいだが、個人差があるみたいだった。「それよりも剣聖が見つかってよかったわ。アタシたちだけじゃ正直あれに勝つのは無理だしね」「確かにな、レオンじゃなかったら俺らも何人か死ぬレベルだしな」何か僕のよく分からない話が飛び交っている為、会話に入っていくのが難しい。「ただまあこれで20人全員見つかった訳だ。これなら異世界に帰るゲートが出来ても安心だな」「そうね、まだ完成した訳じゃないからカナタくんは絶対に守りきらないといけないけど」そうだ、僕を守ってくれ。さっきみたいな戦いが敵と遭遇したら起こるんだろう?すぐに死んでしまうよ僕は。「敵は何人生き残っている?私はこっちに来て3体は始末したが」「じゃああと5体だな。意外と少ないな!」全然嬉しくないぞ。あんな戦いができて尚且悪意を持っている奴があと5体もいるんだろ。「あの、すみません一つ聞いていいですか」恐る恐る会話に入ろうと声をかけると漣が真っ先に反応した。「本当にすまないことをした。君が異世界人にとっての救世主とは知らずに怪我を負わせるところだった」「いえ、それはもういいんですけど……剣聖とか火炎魔人?とかってなんですか?」

    Last Updated : 2025-01-23
  • もしもあの日に戻れたのなら   隠れていた存在⑥

    話題は尽きなかったが、喫茶店でずっと話しておくわけにもいかず1時間もすれば解散となった。「カナタくん、今度また会うけどこれ持っててくれる?」フェリスから白い宝石をいれた袋を手渡される。「なんですかこれ?」「これね、一度だけ命の危険が迫ったときに氷の膜が自分を守ってくれるの。貴方には死んでもらっては困るからね。これで少しでも時間を稼いで私達に連絡を頂戴」これは素晴らしい。女性から物を貰うことすら嬉しいが、何より自分の命を魔法という脅威から守ることのできる唯一の道具だ。「ありがとうございます!!めちゃめちゃ嬉しいです!!」「そ、そう?よかったわ」はにかんだ笑顔を時たま見せてくるのはわざとか?可愛過ぎるじゃないか。それは置いといて、漣は春斗達と連絡を取り合えるようにしたみたいだ。僕にとっては一つ肩の荷が降りた気分だ。電車を降りて帰路に着く際、嫌な悪寒を感じた。周りを見渡しても誰もいない。でも確かに視線を感じたんだが、気のせいだろうか。「ただいまー」「おかえりー!!」元気ない声が帰ってきた。今日は姉さんが帰ってくるのが早いみたいだ。「どこに行ってたのカナタ?」どこと言われてもなんて答えたらいいのか。「レーベっていう喫茶店だよ」「一人で?」今日はやけに突っ込んでくるな。さては姉さん、暇だな?僕を相手にして暇潰そうって考えか。「一人だよ。たまには一人でのんびりミルクティーを嗜みたくてね」「私も行きたかったなー、今度連れてってよ!」「いいよ、雰囲気がすごくお洒落だっから姉さんも気に入ると思うよ」他愛もない会話をしているが、頭の片隅には先程の戦

    Last Updated : 2025-01-23
  • もしもあの日に戻れたのなら   忍び寄る悪意①

    2044年1月1日卒業が近くなり実験に関わるのももうじきだ。そういえば春斗から連絡がないが、学校が休みのせいで会うこともほとんどない。一度連絡してみようか。……………………4コール鳴らしても出ない。待っていると「はい、フェリスです」あれ?春斗じゃないのか?「あの、この番号って春斗で合ってますよね」「あ、カナタくん!ごめんねちょっと問題があってね」春斗に問題?何かあったのか。「とりあえずカナタくん、今から会えるかな?」フェリスさんからのお誘いだが、あまり嬉しくはないな。春斗に何があったのか気が気でならない。「分かりました、駅前のレーベに行ったらいいですか?」「そうね!そこに今から来てくれる?」すぐに外行きの格好に着替えて、玄関を出た。また駅までの道のりで悪寒がしたが気にしていられない。何か視線のようなものは感じるが、どこから見られているかは分からない。気の所為と思おう、正直命を狙われる立場にある以上気にした方がいいのだろうが今は春斗のことが気がかりだ。喫茶店レーベに入ると既にフェリスさんは着いていたようで、一番奥の席から手を降っている。「すみません、お待たせしてしまって」「いいわよ、アタシもさっき来たとこだしね」白い髪に白いコートか、白がよく似合う人だ。「それで春斗なんですが、何かあったのですか?」「実はね……」フェリスさんから聞いた内容は驚くべき内容だった。少し前に敵である魔族と出会ってしまったようで、その場で戦闘になったらしい。

    Last Updated : 2025-01-24
  • もしもあの日に戻れたのなら   忍び寄る悪意②

    「この先に工場があって、その近くのゲストハウスみたいな家を数軒借りてみんなで住んでるのよ」「20人皆でってなると楽しそうでいいですね」「そうかしら?アタシ達の世界では割りとシェアすることが当たり前よ」冒険者ってなると、やっぱり漫画やアニメのように行く先々が変わるし住むところも変わるようで、シェアハウスに住むことが一般的なようだ。「伏せて!」突然フェリスさんが叫ぶと同時に僕の足に蹴りを入れてきて強制的に伏せさせられた。「いたぁ!」伏せる前に僕の頭があった位置にナイフが飛んでくる。危ない……フェリスさんの蹴りに感謝だな。「不味いわね、カナタくん狙われてるわ。拠点はすぐ近くだから増援がくるまで2分。守り切ってみせるわ!」「氷の絶壁!」そんな言葉と共に僕らの目の前に巨大な氷の壁がせり立った。「誰かは知らないけどアタシがいるタイミングで襲いかかってくるなんて命知らずにも程があるわね!」頼もしい、なんて頼もしい台詞なんだ。フェリスさんには絶対逆らわないでおこう。数秒沈黙が訪れたが、少し離れたところから声が聞こえてきた。「なるほど……氷の女王でしたか。これは相手が悪かったかもしれませんねぇ」飄々とした態度で高身長な男が歩いてくる。「あなたは何者?魔族のオーラを纏っているから敵には違いないでしょうけどね」「御名答!」長身の男が拍手をしながら近づいてくるが、フェリスさんは両手から冷気を纏ったレイピアを出現させる。「お初にお目にかかります、ワタクシは高位魔族が1人四天王ゾラ・マクダインと申します。ゾラと呼んでいただいて結構」「黒翼の|剣《つるぎ》か、厄介な相手ね……カナタくん、絶対にその氷の壁から外には出ないでね」出ろと言われても出ませんよ、と言わんばかりに僕は首を縦に振る。「ゾラ、あんたのトップはどこにいるの?」「リンドール様ですか?あの御方はまだ表舞台には出てきませんよ。少なくとも異世界へのゲートが完成するまでは、ね」こちらを品定めするような目付きで凝視してくる。恐ろしすぎて腰が抜けそうだ。「アンタの相手はアタシよ!」地面を強く蹴りゾラに向かって駆け出すフェリス。それを見たゾラも何かしら唱えたと思ったら右手が化け物のような腕に変化した。「異世界へのゲートが完成するまでは手を出すなと言われていますが、少しくらい味見させて

    Last Updated : 2025-01-25
  • もしもあの日に戻れたのなら   忍び寄る悪意③

    ――――何分経っただろうか。フェリスとゾラは激戦を繰り広げている。時たま激しい剣戟の音が聞こえてくるから見えない速度で戦っているんだろうな。「やるねぇ、フェリスちゃん。四天王を相手に善戦してるよ」「あのゾラってやつは強いんですか?」「強いよ。少なくとも本気出されたらフェリスちゃんじゃ勝てないね」フェリスも氷の女王とか二つ名がなかったか?たしか異世界では強者に二つ名を付けるって聞いたけど、そんな彼女でも勝てない相手なのかヤツは。「ま、僕なら勝てるけどね。せっかくフェリスちゃんがカナタくんに良いところ見せようと頑張ってるのに横取りはできないしねー」そうなの?フェリスさんそうなんですか?僕にとっては早くそいつを片付けてほしいんですが……。というかこのアレンって人はフェリスさんより強いのかよ。見た目だけなら弱そうなんだけどな。「あ、もうすぐ終わるみたいだよ」アレンがそういうと同時に音が鳴り止んだ。フェリスさんは所々血を流しているがゾラは無傷のようだ。「フェリスさん!大丈夫ですか!」「こいつ!本気で戦えよ!手を抜きやがって!」だめだ、フェリスさんが戦ってるときは声をかけてはいけないな。口調が荒ぶっておられる。「あなたを相手に本気で戦ってしまうと後ろの方が出てこられてしまいますからねぇ」ゾラにそう言われるとフェリスさんが振り向く。「ア、アレン団長!見てたなら助けてくださいよ!」団長?おいおいこの人団長かよ。めっちゃ偉い人じゃん……。「いやーフェリスちゃんがカナタくんに良いところ見せようと思って頑張ってたからさ、手を出しにくくって」笑いながらフェリスさんに話しかける。「な!べ、別にそんな気持ちで戦ってませんよ!!」フェリスさんの顔がみるみるうちに赤くなる。図星だったようだな、聞かなかったことにしておこう。そんな会話をしている間も黙ってこちらを見つめる四天王ゾラ。何言わないから余計に怖い。「そろそろここらでお暇させて頂きましょうか」ゾラは大きな翼を広げると一気に羽ばたき空へと消えていく。「あ!まてこらぁ!まだ決着はついてねぇぞ!!」フェリスさんは相変わらず戦闘の熱が抜けきってなかったようで、レイピアを振り回しながら空に向かって叫んでいた。「とりあえず終わったみたいだしボクらの拠点に行こうかカナタくん」「はい

    Last Updated : 2025-01-25
  • もしもあの日に戻れたのなら   忍び寄る悪意④

    「ここが拠点ですか」眼の前には大きな一軒家が二軒並び立つ。4階建てか?それにしてもお屋敷レベルのデカさがあるな。20人も住んでいるのだからこれくらい大きくないとシェアハウスは無理か。「さ、遠慮しないで入って入って」アレンさんに背中を押されながら拠点の扉を開くと男女複数人が出迎えてくれた。「いらっしゃーい!!」「あー!やっと来たー!」「フェリス血だらけじゃねぇか!」各所からいろんな声が掛けられる中アレンさんが前に出て皆を静かにさせてくれた。「まあまあお出迎えはこれくらいにして、とりあえず中に入ってもらうよ」アレンさんの手招きで建物の奥へと足を進める。「アタシは傷の手当てしてからそっちに行くから団長と先に行っててね」そうだ、傷を負ったフェリスさんは手当てがいる。確か回復魔法を使える人が居るって言ってたな。僕は相槌を打ちアレンさんに着いていった。リビングというか一番大きな部屋に案内されると開口一番アレンさんが声を張り上げる。「さあみんなお待ちかねカナタくんだ!」いきなり僕を皆に紹介してくれたのはいいが、簡単すぎないか?一応自分で挨拶はしておこう。「初めまして城ヶ崎彼方と申します。皆さんは異世界から飛ばされたと聞きました。僕の知識が皆さんの助けになれるよう精一杯協力させて頂きます」そう言うと1人の男が声を張り上げる。「固いぜカナタ!ハルトとは友達なんだろ?ならオレとも友達だぜ!!」体育会系と思われる見た目と言動からして、僕と真逆のタイプと思われる。「オレの名前はゼン・トランセル!ゼンでいいぜ!!」「よろしくお願いしますゼンさん」「だからかてーのよ!タメ語で行こうぜ!それに22だろ?カナタ。オレも22なんだぜ?」なんと、その見た目で同い歳だと?分かるわけないだろう、どう見ても歳上じゃないか。ただここは流れに乗っておこう。仲良くなっておいて損はない。「よろしく頼むよゼン」

    Last Updated : 2025-01-27
  • もしもあの日に戻れたのなら   忍び寄る悪意⑤

    「さ、みんな挨拶は終わったかな?せっかくだしお寿司でも頼もうか」「ピザもー!」誰だ、欲望に忠実な奴は。僕だってどちらも食べたい。そういえばお昼御飯は食べてなかったからお腹が空いているな。「カナタくんも遠慮しないで食べてくれよ」「ありがとうございます」皆が各々喋りつつ席に着いていく中、漣が近付いてきた。「カナタくん、久しぶりだな」「漣さんもここに住んでいたんですね」「ああ、あれから皆と一緒にいるほうが何かと都合がいいと言われてな。私もここに住むことにしたんだ」漣さんは機械音痴だからな。皆と一緒にいないとまた連絡がつかないなんて事になったらとても厄介な事になる。何より貴重な剣聖という戦力でもある。「そういえば、アレン団長と漣さんってどっちが強いんですか?」「ふむ、よく聞かれる事でもあるがそうだな……恐らく本気で戦えば私が負けるだろう」ええ!?アレンさんあんな成りして漣さんより強いのか!?「アレン団長はあれでも殲滅王なんて呼ばれているのよ」僕と漣さんの会話を聞いていたのか、レイさんが追加の説明をしてくれた。「アレン団長はここにいるメンバー、いや異世界でも最強と呼ばれる3人の英雄がいるんだけれど、その内の1人だから多分誰も勝てないわ」あんな見た目だけどね。と少しディスられつつも戦闘能力は誰もが認めるほどらしい。殲滅王と呼ばれるくらいだからな、多分とんでもない魔法とか使うんだろうな。「お寿司が届いたよー」気の抜けたアレンさんの声で皆が玄関まで取りに行く。僕も手伝おうと席を立とうとしたがレイさんに止められた。「貴方はお客様よ、ここに居なさい」そう言われると何も言えず、ハイと返事をして座ったまま準備が出来るまでレイさんと雑談することにした。「そういえば聞いてみたいことがあったんですが」「なにかしら?私でわかる範囲で答えさせてもらうわよ」「僕も魔法って使えるようになりますか?」

    Last Updated : 2025-01-28

Latest chapter

  • もしもあの日に戻れたのなら   使徒と世界樹③

    五人となり割と大所帯となった僕らが街を歩くと相変わらずみんな平伏していく。 もうこの光景も慣れた。 今の僕は神族から見て謎の人物に映ってるだろうけど、仕方のない事だ。街を出歩かず一瞬で次の使徒の塔まで飛べればいいが、僕は翼を持たない故に地道に歩いて転移門までいくしかない。 それはペトロさん達も理解しているようで、何も言わず僕に合わせてくれていた。二度目となる転移門の前までくると、またペトロさんが水晶玉に手を翳す。 しばらくして転移門がぼんやりと光り始めると各々一歩を踏み出し門をくぐっていく。 今度の街は白を基調とはしているが所々に赤色が目立っていた。 血が滾るような戦いを好むって話だから、多分赤色を使っているんだろう。 巨塔はもう見慣れた。 白い巨大な塔。 使徒の家は全部これだ。塔の中に足を踏み入れると今までと違い、一番上に行くまでの廊下も赤色をふんだんに使っていた。 「はぁ〜目がチカチカするわねぇ〜」 アンデレさんはそう言うが、僕からしてみれば貴方の塔も大概でしたよと言わざるを得ない。 だって水晶が至る所にあったんだからギラギラ感でいえばアンデレさんが圧勝だったのだから。「入るよー」 ペトロさんを先頭に部屋へと入室すると、そこはヤコブさんとはまた違った雰囲気だった。 全体的に赤っぽくていろんな武器や防具が地面に突き刺さっている風景が広がっていた。でも使徒毎に個性があって面白いな。 見慣れない剣も突き刺さってて見ているだけでも飽きが来ない。 しばらく眺めていると剣を携えた白い服の男が奥からこちらへと歩いてきた。「吾輩の部屋に無断で入るとは……」 「あ、きたきた。シモン」 「む、貴様はペトロか。何用だ」 「かくかくしかじか」 ペトロさんは掻い摘んで説明した。 うんうんと頷いて聞いていたシモンさんはゆっくりと口を開いた。「内容は理解した。だが、ただで許可は出せん」 「そういう

  • もしもあの日に戻れたのなら   使徒と世界樹②

    「おーい、そろそろいいかな?」ペトロさんの声で僕は瞼を開く。数時間ほど寝てしまっていたようで、視界に飛び込んできたのは見覚えのない天井だった。さっきまでいたはずの図書館ではない。「眠ることすら許されなかったようだね。まあでも許可は貰えたし良かった良かった」ペトロさんは手を叩いて喜んでいたが、僕としては二度とやりたくない交渉だった。ぐっすりとまではいかなかったが仮眠を取れたお陰で多少頭は冴えていた。「じゃあ次ね〜。どの使徒がいいかなぁ?」「あん?そりゃあアイツだろ。万が一力尽くでってなっても使徒の中では一番燃費のワリィやつだ」燃費の悪い使徒なんているのか。あれかな、魔力量があまりない的な感じかな。「確かにそう言われればそうか。よし、決めたよ。カナタ君、次の使徒は恐らく戦闘にはなると思うけど私達がいるから安心するといい」「せ、戦闘になるんですか?」「なるだろうね。彼の望む世界は力こそ全てだからさ。たださっき話してた通り燃費が悪いんだ。初撃さえ防げばなんとでもなる」その初撃がヤバい威力を秘めてるんじゃ……。燃費が悪いって事はどっちかだ。魔法の威力がありすぎて一瞬で枯渇するパターンとそもそもの魔力量が少なすぎて大した魔法も使えないパターンか。後者ならまだいいが、前者だとかなりヤバいのではないだろうか。余波で死ぬなんて事は避けてほしいが。「初撃は俺が防いでやる。ペトロはその人間を守ってな」「ヤコブ、君では防ぎきれないよ。アンデレも一緒に頼んだよ」「はーい、私がいれば百人力ってやつよ!ね!ヤコブ!」「お、おお」一人で抑えられるって意気揚々としてたけどやっぱり女性相手には強くでられないようでヤコブさんは意気消沈していた。

  • もしもあの日に戻れたのなら   使徒と世界樹①

    トマスさんの出した条件は案外緩く僕は快諾した。話すだけだなんてそんな緩い条件を出してくるとは思わなかったのか、ペトロさんも苦笑いしていた。「話をするだけで許可をくれるというのかい?」「それはそうでしょう。別世界の話など望んでも聞けるものではないですから」想像していたより別世界の情報は価値が高いようだ。これなら案外他の使徒の許可を貰うのも楽かもしれないな。ペトロさん達はまた明日迎えに来ると言い残し塔から出て行った。僕はというとトマスさんの部屋で椅子に腰かけ話をすることに。「ふむ、なかなか興味深いものです。動く鉄の馬車に空飛ぶ乗り物ですか。確かにこちらの世界にはない技術です」トマスさんが特に興味を持ったのは自動車や飛行機といった科学の分野だった。こっちの世界は魔法という概念が存在している為科学というものは発展していない。恐らくこっちの世界で飛行機を作ろうと思うと膨大な時間が必要になるだろう。「それに魔法というものが存在しない世界ですか……不便で仕方ないでしょう」「いえ、それが意外とそうでもないんです。さっきも言った通り科学があるので遠く離れた人と顔を見て話す事ができたり新幹線っていう凄く速い地上の乗り物もあるので」「それは是非とも見てみたいものです。カナタと言いましたね、君がこの世界でそれを再現する事はできますか?」原理は理解しているが再現するにはまず部品を作るところから始めなければならない。当然そうなれば精錬技術も遥かに高度な技術が必要となり、まずはそこから始めるとなれば膨大な時間がかかってしまう。やはり知識だけあっても実現には程遠い。「すみません、僕も作り方とか原理は分かるのですがそもそもの前提知識や技

  • もしもあの日に戻れたのなら   神域へ⑩

    トマスさんの巨塔に入ると内装はこれまでと少し変わり、至る所に本棚が置かれてあった。真面目だと聞いてはいるがやはり勤勉タイプのようだ。上階に来ると、いよいよトマスさんの部屋だ。僕は緊張しながら扉の前に立った。「入るよトマス」ペトロさんが両手で扉を開くと、そこは図書館だった。いや、正確には図書館に来たかと錯覚するほどに本棚で囲まれた部屋だ。「うえぇ、いつ来ても相変わらずの本の数だな」「ほんと、これだけの本をよく集めたものよね~」アンデレさんもヤコブさんも大量の本を見て嫌そうに顔を背ける。まあこの二人は本とは無縁そうな雰囲気があるし、当然の反応か。僕としてはどんな本があるのか興味が尽きない。洋風の図書館というのか螺旋階段まであって上階にも本棚が所狭しと並べられていた。しばらく本棚を眺めていると、眼鏡をかけた白い服の男性が螺旋階段から降りてきた。「騒がしいと思ったら……貴方達でしたか」とても理知的な見た目をしているトマスさんは僕らを一瞥しフンと鼻で笑った。それが癇に障ったのかヤコブさんが一歩前に出た。「ああ?来てやったのになんだぁその態度は!」来てやったという表現はちょっとおかしくないかな?どちらかといえば僕らが頼みに来たって感じなんだけど。「来てやった?私は貴方達を呼んだ覚えはありませんがね」まあそうだろうね。だって勝手に来たんだから。しかもアポなんて取ってないし。「まあまあヤコブ、落ち着きたまえよ。トマス、君に用事があってね」「ペトロさん、貴方が用事というとあまりいい思い出がないのですが」過去に何があったんだろう。トマスさんの表情が本当に嫌そうな顔になっているし、凄く気になってきた。「まあまあまあ、それは置いといて。トマス、別世界の人間に興味はないかい?」「置いておくというそのセリフは私の方です。&helli

  • もしもあの日に戻れたのなら   神域へ⑨

    僕を含めた四人で次に向かったのは第二使徒トマスと呼ばれる人の所だ。使徒は全部で十二人。今の所許可をもらえたのは第三使徒ペトロさん、第五使徒アンデレさん、第七使徒ヤコブさんだけだ。後三人もの使徒に許可をもらわなければならないのはなかなか骨が折れる。それに次に会うトマスという方はそれほど懇意にしている使徒ではないらしく、扉でひとっ飛びという訳にもいかないらしい。その為街に繰り出し塔へと向かう転移門へと足を運んだのだが、なかなか辛かった。使徒は他の神族にとって敬うべき存在。つまり、街を歩けば目につく神族がみな膝を突いて頭を垂れるのだ。なかなか経験できない光景だった。それに使徒が三人も一緒にいればあの人間は何者なんだと、声には出してなかったが神族達の表情が物語っていた。「ここだよここ」ペトロさんの案内されたのは転移門と言わんばかりの巨大な門だった。想像していたのは魔法陣の上に立って転移する的なものだったのだが、まさしく門であった。「これが転移門ですか」「そう、ここをくぐる前に行先だけ登録するんだよ。少し待っててくれるかな」そう言ってペトロさんは門のすぐそばまで行き水晶玉みたいな物に手を翳す。「よし、これで大丈夫だ。さあ行こうか」僕は恐る恐る門をくぐる。当然くぐる瞬間は目を瞑ってしまった。目を開けるとこれまた雰囲気がガラッと変わって白を基調としながらも三階建て以上の建物ばかりが目立つ。治めてる使徒ごとに街の雰囲気は変わるようだ。「あの塔に彼はいるよ」ペトロさんが指差す方向には代わり映えのしない巨塔があった。雰囲気が変わるのは街だけで塔の外観は全て同じ造りになっているようだった。「簡単に許可をもらえますかね?」「うーんどうだろうね。トマスは良くも悪くも真面目だから」真面目な使徒なのか。それなら僕と相性はいいかもしれない。一応こう見えて僕は研究者タイプなんだ。真面目

  • もしもあの日に戻れたのなら   神域へ⑧

    部屋全体がとても暑く、何もしていないのに服には汗が滲んでくるほどだった。ペトロさんとアンデレさんを見ればとても涼しい顔をしており、二人は暑さが平気のようだった。数歩進むと更に熱気は凄く、僕の額には大粒の汗が浮かぶ。使徒の特殊な力か知らないが僕だってペトロさん達みたいに涼しい顔でいたいものだが、あまりの暑さにそうは言ってられない。「ん?あ、もしかしてこの部屋暑いかい?」ペトロさんが僕の様子に気づいてくれたようで声を掛けてくれた。それに僕は頷き返すと、ペトロさんはおもむろに指を弾いた。その瞬間、暑く感じていたはずなのに一気に涼しくなった。何か結界のようなものを張ってくれたのだろうか。「悪いね。人間はこの暑さだと辛いというのを忘れていたよ」「結界ですか?」「そう。私達は呼吸をするかのように身体を覆っているけど君達人間はわざわざ発動手順を踏まなければならないのを忘れていたよ。それに君は魔法があまり得意ではないだろう?」その通りだ。得意か否かではなく赤眼のせいであまり魔法が扱えない。ペトロさんはこの短い時間でその事にも気づいていたらしい。「それにしても趣味悪いよね~ヤコブの部屋って」アンデレさんは首を横に振り嫌そうな顔をする。まあ僕も趣味がいいかと問われれば首を振らざるを得ないしな。「あ、来たみたいだよ」ペトロさんが指差す方向を見ると溶岩が盛り上がりその中から白い服を着た男が出てきた。髪は短髪で赤く目も吊り上がっていて不良みたいな見た目だ。少なくとも僕がプライベートだったら話し掛けはしないタイプの見た目だった。「おいおいおい!なんだって二人が俺の所にきたんだ?それにそこの人間はなんだ?」「まあいいじゃん。とりあえずさ、この子が世界樹に行きたいらしいから許可ちょーだい」何の説明もしてないけどいいのだろうか?アンデレさんの問いかけにヤコブさんは数秒無言になると頷いた。「お?まあいいけどよ。って説明の一

  • もしもあの日に戻れたのなら   神域へ⑦

    扉をくぐった先はまた別の光景が広がっていた。周りは宝石のように光り輝く巨大な水晶が散乱している。ペトロさんの部屋とは大違いだ。「ここは私達使徒の求めるものが表現されているんだ。私の場合は果てしなく広がる平穏を望む。だから草原が広がっていただろう?ここの使徒は違うのさ」「水晶……輝かしい生を歩みたい、とかそんなところでしょうか?」「おお、察しがいいね。君、頭いいって言われないかい?」どうやら当てずっぽうが正解だったようだ。輝かしい生を歩みたい、か。言ってはみたけど実際よく分かっていない言葉だ。何をもって輝かしい生といえるのか。「その使徒様はどこにいるんですか?」「私が来たことは気づいているはずだからもうすぐ来るよ」ペトロさんがそう言ったタイミングで目の前の水晶が激しく砕け散った。「ふぅ~お待たせ!」現れたのはペトロさんと同じく白い服を着た女性だった。煌びやかな恰好をしてるのかと思いきや、まさか同じ白い服だとは思わなかった。「来たねアンデレ。ちょっと今日は紹介したい人がいてね」「何かしらペトロ。貴方が紹介したいだなんて珍しい事もあったものね~」ペトロさんは僕の方を見た。挨拶しろって事かな。「初めまして城ケ崎彼方です」「城ケ崎?えらく変わった名前ね~。で?ペトロが紹介したって事は普通の人間ではないのでしょう?」「はい。僕は別世界から来た人間でして――」もう何度目かも分からな自己紹介をするとアンデレさんの目が輝きだした。ペトロさんと同じく僕は興味深い対象であったらしい。話し終えるとアンデレさんは期待に満ちた表情に変わっていた。まるで初めて見た生物を観察するかのように。「へぇ~面白いね~!ペトロ、なかなか面白い子を連れてきたね!」「そうだろう?別世界となれば我々の手が届かない場所だ。だからこそ面白い」「うんうん!それでこの子がどうしたの?」ペトロさん

  • もしもあの日に戻れたのなら   神域へ⑥

    アレンさんが有無を言わせず吹き飛ばされたのを見ていた僕は固まってしまった。他のみんなは視線が下を向いているお陰で今の状況をあまり理解できていないようだが、それで正解だ。意味の分からない力で吹き飛ばされたのを見ていれば、口を開くのが恐ろしくて堪らない。「さあ気を取り直して。カナタ君、世界樹を目指す理由は何かな?」「元の世界を、取り戻す為です」「取り戻す?それは比喩というわけでもなさそうだね。元の世界の話を聞かせてもらえるかな?」まさかとは思うけど僕以外はみんな片膝を突いたままなのだが、その態勢で放置するのだろうか?この状態で話を進めれば少なくとも数十分は身動きできないぞ。「あの、ここで話すんでしょうか?」僕がそう恐る恐る聞くとペトロさんはハッとしたような表情になり、申し訳なさそうな顔で謝罪してきた。「おっと、すまないね。気が利かなくて。ガブリエル、彼らを部屋の外へ」「ハッ」神族のリーダーであるガブリエルさんは吹き飛ばされてどこに行ったか分からないアレンさん以外を部屋の外へと連れて行った。アレンさんはもうどこまで吹っ飛んでいったのか見当もつかないな。「よし、これでいいかな。さあ、これでも飲んで話を聞かせてくれるかな?」僕はペトロさんと同席する事を許されテーブルに着くといつの間にか用意されていた紅茶を一口頂く。少しだけ気持ち落ち着いたな。「僕のいた世界は――」そこから一時間ほどかけて今までのあった事を丁寧に話した。ペトロはニコニコしたり悲しそうな顔をしたりと表情が豊かだった。「なるほどなるほど……それで世界樹に願いを叶えて貰って元の平和な時を取り戻したいという事だね」「はい。……時間を戻すなんて願いは難しいのでしょうか?」「いや、そうではないさ。この世界に干渉する願いでなければ恐らく誰も文句は言わないと思うよ。ただ……世界樹へのアクセスは過半数の使徒の許可がいる。まあ私は許可し

  • もしもあの日に戻れたのなら   神域へ⑤

    巨大な扉が数秒かけて開かれる。使徒様とはどんな見た目をしているんだろうか。部屋の中はどんな風になっているんだろうか。出会った瞬間バトルにならないだろうか。色んな不安が押し寄せてくる。緊張しながら一歩部屋の中に入ると、そこは部屋ではなかった。いや、正確には部屋の中だ。ただのどかな草原が広がっていて、その真ん中にポツンと椅子とテーブルが置かれてある。そこで優雅にティーカップで何かを飲んでいる白い服の男性がいた。「ペトロ様、少々変わった人間を連れて参りました」神族のリーダーが膝をつき、頭を垂れる。それと同じくして他の神族も膝をつくのかと思って周りに視線を向けてみるとそこには誰もいなかった。神族のリーダー以外部屋の中に入っていなかったようだ。これは僕らも膝をつくのが正解かと思い、しゃがむとアレンさん達も同じように膝をついた。流石にここは空気を読んでくれたらしい。ペトロと呼ばれた使徒が立ち上がるとゆっくりとこちらを向くのが気配で分かった。下を向いていても使徒から放たれ圧は凄まじいものだった。何もしていないのに流れ落ちる汗が物語っている。「君の事かな?」誰に話しかけているのか分からないが、多分僕に話しかけている。というのも声が僕の頭上から降りかかってきているからだ。ここは頭を上げていいタイミングなのか?どういう動きをすればいいのか、何が無礼に当たるのか分からず僕が黙っていると、再び頭上から声がかかる。「えーっと、君は……カナタというのかな?」何も言っていないのに名前を当てられた。使徒ってのは心でも読むのだろうか。いや、とにかく返事をした方がいいのかもしれない。「は、はい」顔を上げて言葉を返すと、頭上で見下ろしている使徒と目が合った。ニコッと微笑むと、手を差し出してきた。これは手を取れという合図だろうか。

Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status