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3食目・転生者、名前をもらう。

Penulis: 柊雪鐘
last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-01 08:56:44

どうやら私が居る場所は、エルドアマリナ王国の王都、スカイクートの王城内らしい。

なのでこれから城下町に降りるのかな……と思ったけど、どうやら違ったみたい。

「明音。まずはこの世界を知り、楽しんで」

優しい笑顔と一緒にそんな言葉をクリステフさんにかけられて、再び杖が振られた時には……知らない場所に居た。

煉瓦が積み上がった壁、木製の作業台には大きな桶と鍋が置かれていて小さいながらキッチンだと分かる。

ダイニングテーブルは私がよく知るものだけど、野菜が置かれた棚や壁際に積まれた木製の箱は完全に私が知らない文化だ。

どうやら、本当に異世界に来ちゃったみたい。

辺りをキョロキョロとしていると、「ちょっといいかしら?」と背後から声が聞こえた。

振り向けばさっきのご婦人が立っている。

「えっと、もう一度挨拶させて頂くわね。初めまして、私はエリザ・サイファって言うの。貴女の名前、聞いてもいいかしら?」

「あ、東都明音と申します」

「明音ちゃん、ね。クリステフ神官長からかるーくお話は聞いたと思うのだけど、私ね、宿主制度に登録してたから貴女を引き取ったの」

エリザさんは「よろしくね」と柔らかい微笑みを見せた。

白っぽい金色の髪、目は黄緑色で毛先がくるんとした髪を後ろに纏めている。

少し丸っとした頬や体型がなんだか可愛らしい人だ。

……でも、その前にツッコミたいことがある。

クリステフさん、神官長なの?……ああいや、そこじゃないか。

「宿主制度?」

「そう、クリステフ神官長も言ってたと思うけど、この国には貴女みたいに別の世界から人が呼ばれてくるの。そんな人達には家を用意しないといけないでしょ?でも、だからってお宿を準備するとかだとお金も無いのに大変でしょう?だから希望者がお家を貸してあげますよーって制度があるの。勿論それにも条件を設定できるのだけど……」

「つまり、私はエリザさんが宿主制度で引き取る条件に合ってたってこと?」

確認をすると、エリザさんは両手を合わせてぱぁと輝くような笑みを見せる。

ふわっとした声も相まって、可愛いお母さんだなあって印象がつきそう。

「そうなの!私ね、長年子供が出来なくて、夫とも離婚しちゃって一人暮らしなんだけど……よかったら明音ちゃんに、私の娘になってくれないかなって。明音ちゃんが良ければこれで条件も達成されて、明音ちゃんも気兼ねなく生活できるわ」

娘……ガチの親子になるってこと?私の世界で言う養子ってことかな?

エリザさんは期待の表情で「どうかしら?」と首をかしげる。

どうと言われても、返事なんて、当たり前のように決まっている。

「まあ、両親とももう会えなくなってしまいましたし、前の世界に戻れないならどうしようもない。断っちゃったらご飯も食べられないし、住む場所もないですよね?」

「そうね……。ごめんなさいね、選択肢の無い脅迫みたいで……」

「いえ。クリステフさんも言ってましたけど、この世界を楽しんでみようと思います。なので、ご厄介になってもいいですか?」

「ええ、もちろんよ!」

しゅん、とするエリザさんはぱっと花開いたように、 喜怒哀楽がしっかりしたお義母さんのようだ。

そして再び両手を合わせると、「そうだわ」と口を開く。

「お名前、お名前を決めましょう!この世界には名前にルールがあるの。この世界の名前に宿主制度利用者の苗字、そして転生者の名前を入れるのよ」

「へえ……私の名前、どうなるんですか?」

「うーん、そうねぇ……。ルシェット、ルシェットなんていかがかしら?ルシェット・サイファ=明音よ」

「ルシェット・サイファ=明音……」

「転生前の名前を隠すこともできるけど……」

「いえ、気に入りました。このままでいいです」

どうやらこれで、正式にエリザさんと親子になることが決まったようだ。

エリザさんは「じゃあ早速ご飯を準備するわね」と微笑み、キッチンへと向かっていった……。

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