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2食目・どうも、異世界転生者です。

Author: 柊雪鐘
last update Huling Na-update: 2025-11-01 08:54:46

目の前に立つ祭祀みたいな人は、『神官』というお仕事の人で、どうやら私みたいに一度死んだ人に現状の説明とか、何があってそうなったのかを教える担当の人みたい。

白いローブは裾に金色の装飾がされていて、手には宝石が付いた長い杖を持っている。

そんな姿でさえ、神聖さを感じる。

優しい声と丁寧さのせいかな。怒りが湧いたりとか悲しい気持ちにもならなくて、寧ろちょっと疲れてそうな雰囲気からお手を煩わせて申し訳ない、と口に出そうだ。

「――ということなんです」

「えっと、つまり……ここはフォス=カタリナって名前の世界にある、エ、エルドアマリナ王国?の王都で、人と魔物が生きてる世界。この世界では魔法があって、召喚術で異世界から人を呼んでたから、その影響で私も呼ばれた……ってこと?」

「ざっくり言うとそんな感じです。いやあ、貴女はお若そうなのに冷静で、理解が早くて助かります」

「そんなことないとは思いますけど……だって、もう死んじゃったし帰れないんでしょ?」

「そうですね……」

「魔法があるからやれ!ってゴネても無理なものは無理でしょ?」

「戻ったとして、死んじゃってますしね……」

「じゃあ、どうしようもない」

「大変申し訳ないです」

神官のお兄さんは深々と頭を下げる。

とは言うけれど、でもこればかりは自分の不注意で、お兄さんが悪いことは何もない。

事故と事故が重なったとか、そう思うしかないような気がする。

強いて言うなら、両親に早く死んでしまったことを私が謝罪したいくらいだ。

「お兄さんはこうして私みたいに呼ばれた人に説明をする係なんでしょ?別にお兄さんが悪いって訳でもないし、謝らなくていいよ」

「うう、貴女みたいに出来た人がこちらに来てしまうことに、心が痛んでしまいそうです……。あ、そういえばちゃんとした自己紹介がまだでしたね。私の名前はクリステフ・アマデイラと申します。貴女のお名前は?分かりますか?」

「切り替え早っ……わ、私は東都とうと明音あかねです」

「明音、ですか。素敵な名前ですね。おいくつですか?」

「17です……でした……?」

「貴女が通った召喚術式は、死んだ状態のまま即こちらに飛ばされますので、継続で大丈夫ですよ」

クリステフさんはちら、と床に大きく広がった魔方陣に視線を向ける。

私も併せて顔を向けたけど、私が来た瞬間に輝いていた魔方陣は、今は床に線を描いただけのような姿になっていた。

私、本当にあそこを通って来たのかな?

「ではこれから、明音には新しい家を準備して生活の登録に移させていただきますね。明音が良ければこの国についてのルールや昔の事など、色々と勉強していただきたいとは思うのですが……いかがでしょう?」

じっと見る視線に、心がうっとなる。

だってクリステフさんの目、透き通った空色がすごく綺麗なんだもん。

どう返事しようか迷った時、お腹がぎゅるるる、と大きな音を立てた。

「えっと、まずはお腹が空いたんですけど……」

「あはは、そうですね。まずは家を準備して、それからですね」

私の腹の虫で納得したように、クリステフさんは笑い声を聞かせて杖を鳴らす。

するとしばらくして優しそうな40代ほどの女性が「お呼びでございますか?」と現れた。

「足を運んでいただきありがとうございます。丁度条件に見合いそうな転生者が来ましたので、いかがかと」

「まあ、ありがとうございます!」

女性は私を見て、「初めまして、よろしくね」と柔らかな笑顔を見せる。

一瞬のやり取りなのに、どうやら私はこの人と生活するのだと察した。

「では明音、私達が出来る事は、今後の貴女達の生活を支えることですが、出来ればこの国を嫌わず、貴女がこれから生活する国として愛して頂ければと思っております。この国には貴女のような沢山の異世界転生者が沢山います。良き、二度目の人生をお過ごしになってください」

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