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第707話

Penulis: 落流蛍
バルコニーに出ても、商治はしばらく無言だった。

我慢できなくなった時也が口を開いた。

「僕を呼び出して、何を話したいんだ?」

商治は時也を見て、ふっと笑った。

しかし時也の顔色はさらに沈んだ。

「時也、自分の今の顔、鏡で見てみろよ」

商治は冗談めかして言った。

「今の君の顔を見たら、長年君の側にいる小早川ですら、人違いするかもしれないよ」

時也は唇を引き結び、無言のままだった。

しばらくして、「今は冗談を言う気分じゃない」と言った。

商治は手すりに寄りかかり、遠くを見ながら言った。

「わかってる。俺も冗談で言ってるわけじゃない。君のおじさんが死ぬ前に、トラブルの種をまいたことを知ってから、君はずっと情緒不安定だ。

君が認めなくてもいい。けど、認めないからって、それが存在しないってことにはならない」

「結局、何が言いたいんだ?」

商治は振り返って時也を見た。

「時也、君は優秀な経営者で、それに頭もいい。俺が何を言いたいか、わからないとは言わせないぞ」

時也は唇を真一文字に結び、黙っていた。

しばらく沈黙が流れ、やがて彼は重々しい声で口を開いた。

「わかってる。今こそ冷静にならなきゃいけない時だって。でも......華恋の隣で横になっていて、何か物音がするたびに心臓が締めつけられるんだ。

また悪夢を見てるんだって、すぐに分かる。

あの無力感は......

僕はずっと、すべてをコントロールできると思っていた。だけど華恋と出会って、初めて気づいたんだ。僕には、何一つコントロールできないって」

すぐに失ってしまうかもしれないという恐怖が......

時也は今まで誰にも語ったことがなかった。でも商治にだけは、心を開けた。

商治は深く息を吐いた。

「本物の愛は生死を共にするもの、だ。

時也、友人として、そして同じように恋に悩む者として、俺からアドバイスはできない。でも医者としてなら、一つ忠告をする。

マイケルは、最高の心理学専門医だ。もし彼でも華恋の病を治せないなら、他の誰にも無理だ。

それに、治療において一番やってはいけないのが、外からの干渉だ」

時也の目は暗く沈み、しばらくしてからようやく強く握っていた拳をゆっくりと緩めた。

商治はそれを見て、彼の肩を軽く叩いた。

......

腹を割って話してから、時也はすぐに
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