共有

お昼ご飯

作者: はるさめ
last update 最終更新日: 2025-11-30 11:43:10

「そうだ、お昼ご飯食べていこうか」

この村には人気の店がある。その名はジョリアン。モンテナ牛のハンバーグがとにかく美味いのだ

「いらっしゃいませ、こちらへどうぞー」

若い女性のウェイターさん、珍しく人間だ。 

席に座るや否や

「すみません、モンテナハンバーグ3人分ください」

「かしこまりました」

「ここのハンバーグ、本当に美味しいからね、一度食べたらやみつきになる」

「確かに美味いよな」

「匂いだけでパンが食べられそうです」

ここのシェフはエルフで、500年間世界中の料理修行をして結果ハンバーグに辿り着いたらしい。ただのハンバーグ好きだ。

「お待たせいたしました」

鉄板に乗った大きなデミグラスソースのハンバーグとバケットが出された。湯気が上がり、ジューっと焼ける音がする

「いただきます!」

とても熱そうだが、熱いうちに食べなければ美味しさが逃げてしまう。切れ込みを入れただけでハンバーグから肉汁が出てくる出てくる。あむっと口の中に入れると肉汁が飲めるほどに出てきて、それでいてふわふわの食感、デミグラスソースのコクと味の深さ

「んんー!美味っしい、たまんない!」

「ぐ、肉汁がすごいな」

「うわぁ口の中でとろけていきますー!」

固いバケットが油の多いハンバーグとよく合う。3人はそのまま一言も喋らず黙々とハンバーグを食べたのだった。店を出たあともしばらく多幸感に包まれていた

「はぁ…美味しかったなぁ」

「まぁ、ご主人の作った料理には叶わんがな」

「ん、そうですね。マリ様の料理がいちばん美味しいですから!」

「んんー。そう言って貰えると嬉しい…な」

ちょっと照れるマリ。その顔をガン見する2人。そうこうしているうちに日が暮れ、転送魔法で家に帰ってきた

「今日はいろいろあって楽しかったなー」

「本も買えたし、ご主人には思いがけないプレゼントを貰ったしな」

「本当に嬉しいです、ありがとうございます」

「いいよ、いいよ。2人からお返しのプレゼント貰っちゃったし」

何だか、たまに村へ遊びに行くのも悪くないと思えるマリだった

翌日

そろそろ雪が降る頃だろうと、マリ達はある準備をしていた。

「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー」

マリは思わず歌ってしまう。そう、クリスマスだ。クリスマスツリーやリースなどの飾り付けをしていたのだ。サンタさんは来ないから、3人でそれぞれ好きな物をプレゼントし合うのだ。しろも、くろも、もふこのけだまスライム達も出てきた。

「ねぇ、君たち。小さな帽子かぶってみて」

「モキュキュ」

「おや、可愛いですね!3びきともお似合いですよ」

「キュッキュ!」

「ん?ちょうどいいサイズだな」

「キュゥ!」

冬にピッタリなふわふわで愛らしい姿がとても可愛い

空中を舞いながら幸せも運んでくれる事だろう

クリスマスツリーを光らせるには魔光石が必要だ。

魔力で光る石だが、マリは沢山持っているので心配いらない。家の中の光るものは全て魔光石だ

「うん、飾り付け順調…あ、雪だ」

ふわふわの雪が降ってくる。これぞついに冬の始まりだ。

「雪だな」

「これからさらに冷え込みますね」

けだまスライムたちもふわふわ家の中を舞っている。

部屋中をオーナメントで飾り付ける

「よし、出来た!」

魔光石で飾り付けたのでクリスマスツリーがピカピカ光っている。と言うよりかは部屋中が光っている

「わぁ…綺麗ですね」

「そうだな…うん、今日はココアを入れよう」

冬はホットココアがおいしい季節

「はぁ…一気に冬が来たって感じだね」  

「そうだな、体を冷やさないようにしないとな」

「もう私、外には出れません…」

ココアを飲んで落ち着く。冬はやっぱりこの味だ

「クリスマスのお菓子作らなきゃ」

「菓子か!いいな」

マチがワクワクしているのが伝わる

「ジンジャークッキーにシュトレン、バニレキプフェルにスノーボール…考えるだけで楽しいな。ご主人の作るクリスマスケーキも美味いし最高だ」

「ふふ、早速作ろうかな」

マリがキッチンに行っている間、マチとジェイドが作戦を練っていた

「ご主人のクリスマスプレゼント…どうしたものか」

「そうですね…飽きられるのではないかと毎年不安ではありますが」

5000年生きてるハイエルフのマリにクリスマスプレゼントを渡すのは大変難しい。被ったり、前に渡したものをまた渡してしまったり。

「実用性のあるものがいちばん無難か…」

「そうですよね、キッチン用品とか」

 

「ご主人は花も好きだからな」

マリは花瓶に季節の花を一輪の挿して楽しむ。とても風流だ

「とにかくご主人に勘づかれないようにしなければ」

「キュキュ?」

3匹も入ってくる

「あなた達は何か欲しいものはありますか?」

「キュー?キュッキュ…」

首を振るように身体を震わせる3匹

「欲しいものは無いみたいだな」

うーんと頭を悩ませる2人

一方その頃マリは…

「2人のプレゼントは…あれでいいかな」

どうやらプレゼントは決まっているようだ。クッキーもどんどん焼けていく

「うん、美味しそうに出来てる!」

 

マリに迷いは無い。これが5000年以上生きているハイエルフなのか

「キュキュキュ~」

「ん?君たちどうしたの、今お菓子を作ってるんだよ。君たちも食べる?」

「キュゥ!」

 

首を縦に降るように身体を震わせる

「うん、一緒に食べようね」

 

雪はしんしんと振り積もっていく。こうして3人と3匹の冬が始まった

日が暮れるのが早くなった。雪もどんどん降ってくる。マリはロッキングチェアに座りながら編み物をしていた

「編み物も慣れたものだね…」

「何を編んでいるんだ?」

「ふふ、ひ・み・つ」

なにやら楽しそうだ

けだまスライム達はマリの膝で寝ている。大量に作ったジンジャークッキーをつまみながら、マリが何千年も前に書いた魔導書を読むマチ。ジェイドは髪をブラシでとかしている

「明日は何をしようね、…そういえば畑放ったらかしにしてたなぁ…」

「そうだな、毛玉スライム達が雑草を食べてくれたおかげで綺麗なままだぞ」

「そっか、感謝しなきゃ。…植えるならシックキャロットとシルバーラディッシュ…あとはゴールドオニオンかな」

「明日は畑作業ですか。暖かくしないと…」

「大丈夫だよ、対寒気結界を張れば全然寒くないよ」

「そんな魔法まであるんですね、すごい…」

「ご主人は「魔法の神祖」だからな」

「神祖…?」

元々この世界には魔法というものが存在しなかった。この世界に降り立った数多の神である者の1人だけが魔法を使うことが出来た。魔法を使い、世に広めたのは神祖であるマリだ。ありとあらゆる魔法を使えるのだ。え、こんな魔法まで使えるの?とツッコミを入れたくなるものもあるが

「マリ様は本当にこの世界の神様なのですか…」

「神様って言われるとなんか堅苦しいな。…抑止力なのかな」

「抑止力?」

「魔王と敵対して、この世界を守る抑止力」

「なるほど、そういう事ですか!………改めてすごいですね!」

「ご主人はすごいぞ、俺を使い魔として従えてるからな」

「それはどういう意味で…?」

「ひ・み・つ・だ」

「うう、すごく気になります~!」

ジェイドは気になりすぎてこの日は眠れ……た。それはもうぐっすりと

翌朝

朝食を食べ終わるとさっそく畑仕事に取り掛かった。マリが結界を貼ったおかげで寒さはほとんどない。畑を耕し、種を撒く。たまに生えてくる雑草は、けだまスライム達が食べてくれる

「はぁ…大変だけど楽しいね」

土まみれになっているマリ

「ふぅ…そうだな。だんだんスイッチが入ってくるというか」

「…はへ…腰が痛いです…」

ずっと屈んでいると足も痛いし腰も痛くなる。これは歳のせい?

「うん、少し休もうか」

マチがペパーミントハーブティーをいれ、マリはジャムクッキーを出した

「はい、ジェイドの大好きなジャムクッキーだよ」

「わぁ!いただきます、モグッ」

生地はサクサクでバターの風味が広がり、ジャムの部分は甘さが控えめでちょうど良く、甘酸っぱさもある

「はぁ…なんて美味しいんでしょう!爽やかなペパーミントハーブティーとも相性抜群ですね」 

「うむ、甘さが染みる。美味いぞご主人」

「ん、美味しいね!結構上手くできたなぁ」

畑の肉体労働に染みる程よい甘さと美味しさ。小さな幸せを感じるひとときだった

休んだ後、畑仕事も終わり一段落ついた。さて、マリはお昼ご飯作りに取り掛かるが、マチとジェイドは転送魔法でモンテナ村へ行った。マリへのクリスマスプレゼントを買うためだ

「うん、たまにはこんな食べ物も良いよね…皮を剥いで、内蔵を取り出して…にしし」

不気味な笑い方をするマリ。一体何を作ろうというのか…

一方その頃、マチとジェイドは村で一番の調理器具を扱う店に行った。

「邪魔するぞ」

「はい、いらっしゃいませ」

「~はありますか?」

「はい、もちろん!高品質で高純度な~です!この店で一番のおすすめの品ですよ」

マチとジェイドは顔を見合わせ、うん。と首を縦に降った

「それをくれ」

「これもください」

「はい!毎度あり」

満足そうな表情をする2人。これでよし!準備は出来た。さて家に帰ろう

帰宅すると待っていたのは…

「ツチノコの丸焼き!召し上がれ」  

え?ツチノコって言った、このハイエルフ…

「え、ツチノコって東の国の伝説の生き物ですよね?その…食べても大丈夫なんでしょうか…」

「大丈夫、多分」

「ふ、ご主人は面白いな。ふふ、はははっ」

笑うところどこにあったんだ?

「まぁ、食べてみなければわからん。ご主人の作る飯は全部美味いからな。いただきます」

見るとツチノコはテカテカに光ってる。

「このツチノコはね、シルバーガーリックハーブに東の国の調味料と一緒に付け込んでおいたんだよ」

なるほど。ツチノコに切れ目を入れていくとホカホカと湯気を立てる。ジェイドの手が震えている

「っ…い…いただきます。もぐっ」

勢いをつけて口にいれた。噛むとホロホロっと肉が崩れて、とても柔らかい。東の国の和テイストな調味料がよく合っている。

「美味い、ツチノコってこんな食感なんだな。意外と鶏肉に近いのか」

「美味し…い…美味しいです!ビックリしました!臭みがあるかと思ったら全くない!」

「もぐもぐ…ツチノコは珍味って言われてるけど普通に美味しいんだよねー。それに体をたくさん使ったから滋養強壮って事でね」 

これ、普通に鶏肉だ。皮を剥いでいるから見た目もさほど悪くない

「確か、ツチノコの血や皮って魔法薬を作るのに使えましたよね?」

「そうだよ、一石二鳥だね」

「ツチノコは不死の薬を作る材料になる」

「そうだよ、世の中にはとてもじゃないけど出せない」

「そもそもよくツチノコなんて見つけたな」

「何千年も前に東の国へ行って取ってきたんだ。あと9匹地下室に眠ってるよ」

「9匹も捕まえたんですか!?」

なんかこのハイエルフすごい。幻樹の森に引きこもっていた割には意外とアクティブだった

郵便受けにカコンッと何かが入る音がした。開けてみると、そこには一通の手紙が入っていた。

「ご主人、手紙が届いてるぞ」

「ありがとう。手紙なんて久しぶりだな…」

開けてみると

~ご主人様へ

お久しぶりでございます。ダリアです。此度の成果をお伝えします。現在、一点攻撃魔法の習得が終わりました。準備が出来次第そちらにお戻りする予定です。ダリアが居ない間、寂しくなかったですか?寂しいですよね?ご主人様の元へいち早く戻れるように頑張ります!

                                                                              ダリアより~

「ダリアか、そろそろ帰ってくるみたい。5年振りに会えるね」

なぜか険しい顔をするマチとジェイド

「ライバルが」「増えますね」

「まぁ、気長に待つとしよう」

そもそもダリアとは、狼の獣人族で今年16歳の娘。幻樹の森で魔物に襲われ、衰弱し切っていたところをマリが助けた。そしたら物凄い懐いてそのままマリ専属のメイドになった。なぜマリがダリアに魔法を教えないのかと言うと、自分一人よりいろんな人の魔法の使い方を見て回った方が勉強になるから。だそうだ

もうすっかり日は暮れているが

「なんかお腹空かないね」

「そうだな、昼飯たらふく食ったから」

「こういう時って果物とかあっさりしたものだったら入るんですよね」

「そうだ、ザラキアでも食べよっか」

3人で果物をかじる。ザラキアは黄色い果物で水分たっぷり、甘くてそのまま丸かじりできるのだ

「もぐもぐ……熟してて美味しいね」

「甘い!」

「トロトロですね」

マチの大好物だ。ザラキアを食べすぎて腹痛を起こすのがセットだ。

「ご、ご主人…手を握ってくれ…」

ベッドに丸まって横になり、真っ青な顔をしてダラダラと冷や汗をかいているマチ

「もう、いつもこうなるんだから…食べすぎだよ。ほら痛み止め」

真っ黒な魔法薬。強力な痛み止めで瞬時に効く

「大丈夫そう?飲める?」

「う、ん」

マチがゆっくりと起き上がり、とても1人では飲めなさそうなのでマリが飲ませる

「ほら、大丈夫だからね」

「す、まないご主人…はぁ…」

飲んだ。あっという間に腹痛が治まっていく

「は、治ってきた」

「よかったよかった」

言われても繰り返すのだから、まるで小さな子供のようだ。薬が完全に効いて、全力で謝ってくるマチ

「本当にすまなかった、申し訳ない、ごめんなさい」

「うん、わかったよ。大丈夫」

本当にそういう所は子供っぽいとマリも半笑いだ。ジェイドは「自業自得です!マリ様にとんだご苦労を!」と、なぜか不機嫌だった

この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード

最新チャプター

  • ハイエルフと魔法界でのんびりライフ   クリスマスの終わり

    クリスマスパーティーから一夜明けて、片付けをしている。ジェイドは二日酔いで唸りながらベッドで横になっている。さすがに心配なので、マリが何度も様子を見に来る「大丈夫、具合悪い?」「気持ち悪くて頭が痛いです…昨日の記憶がありません…」「二日酔いを治す魔法薬を作らないといけないかな」「ううーん……」ジェイドが酒臭い。1度飲むと止まらなくなってしまうタイプだ。マリが水に砂糖と塩を加えた経口補水液を作って持ってきた。「飲めそうだったら飲んでね、脱水しちゃうから」 「はぁ…い……」和酒だと、あんなに酔ってしまうのか。それにしても昨日は凄まじかった。歌を歌い突然脱ぎ出し、真冬の外に出ていこうとした(昨日の記憶ないのか…面白かったのになぁ)「昨日の夜中は散々だったな、ご主人とダリアの前で脱ぎ出すなんて」しかも下着まで「私は面白かったよ」「私は見ていられなかったです…」「ご主人の前で、だぞ!?自分だけ脱ごうだなんて許せない」 「え…え…?」話が脱線しすぎてダリアが混乱している 「うん、マチもまだお酒残ってるのかな…」「俺は至っていつも通りだぞご主人?」「そっか…そっか………」 頭を悩ませるマリ。大丈夫なんだろうか~クリスマスツリーも装飾も全て片付け終わった「次にくるのは大晦日だね」「今年もあっという間だな」「大晦日は花火があがるんですよね!」そう、ダリアの言う通り新年を祝う為に各地で花火があがる。冬の夜空に散る花火は、星と相まって美しいのだ「今年は頑張って起きていられるように頑張りたいです」 「無理はしないでね」「そうだぞ、育ち盛りなんだからな」クリスマスから大晦日はあっという間に過ぎていく「大掃除しないとね」「そうだな。俺は背が高いからホコリ落としだ」「私、掃除得意なので!任せてください!」一方その頃ジェイドは…トイレから出られなくなっていた「うう……」ドンドン、とマリがドアを叩く「ジェイド!大丈夫?」「気持ち悪くて…トイレから出られないんです」「そうだな…薬作った方が良さそう…」急遽マリは二日酔いに効く魔法薬を作ることにした。ムーンウォーターに賢者の実、時の欠片、月光樹の葉、ブライトニングハーブにハツカヨモギ「それと、マンドレイクの葉に黄金クローバーをいれて…」グツグツと大釜の煮える音がす

  • ハイエルフと魔法界でのんびりライフ   久々のギルドへ

    幻樹の森から西に30分歩くと、光の街と言われるシンシャ街がある。そこの冒険者ギルドへ何年かぶりに顔を出す「久しぶり」ギルドの受付嬢であるエルフが目を見開いた「あらマリ様!お久しぶりでございます!ギルドマスター!マリ様がお越しですよ!」ギルド内がドタバタし、あちらこちらからコソコソ話しが聞こえる「あれって噂の…」「永玖の守護者!?SSランクのパーティーじゃねえか!」扉から出てきたのは茶色い髭を伸ばし、背は低いのに屈強なドワーフだ。「お前たち久しぶりだな!」「久しぶりだね、ゼヒネル」ゼヒネルと言うこのドワーフこそギルドマスターである「今日は何しに来たんだ?」「魔法薬と材料を買い取ってもらいたくてさ」「よしわかった!こっちへ来い」連れてこられたのは買取専門コーナーだ「今日はどんなものを売りに来たんだ?」「回復薬に透明薬、記憶薬、無眠薬…それと」「すごい量だな!」「あと、エンシェントドラゴンの爪と牙ににヘルハウンドの爪、ダイヤウルフの皮…あとミミックから出てきた宝石」「おお…これはすごいな」量が多すぎたのか応接室に案内されたのだった。どれもこれも高額で買取できるほどの品質でこれ以上のものは無いだろう「買取に少し時間がかかるが…それでも良いか?」「うん、街を探索してるからいいよ」ギルドを後にすると魔鉱石店に立ち寄った。マチは鉱石が好きだからだ「どれも良い品だな…」見極めている。特に星写しの魔鉱石に目をつけた「これは高純度の魔鉱石だな…しかも取れる場所がとにかく少ないんだ」(マチは石を見ているだけで楽しそうだなぁ…)マチは星写しの魔鉱石を買った。夜になると石の中に星座が写し出されるものだ。続いて紅茶の茶葉が売ってる店に来た。ジェイドが何かを買うらしい。「食べられるフルーツティー!?こんな物があるなんて…薔薇の紅茶もいい…買います!」こうしてジェイドは紅茶の茶葉を手に入れた。続いて向かったのはダリアの大好きなぬいぐるみの店だ「二ーブールのぬいぐるみ…可愛い…」二ーブールは主に綺麗な川に生息する動物で、カワウソに少し似ているのだ 。ダリアは二ーブールのぬいぐるみを購入し、とても満足そうな顔をした「よし、そろそろギルドに戻ろうかな」「ご主人は何も見なくていいのか?」「私はみんなの幸せそうな顔が見れて満足だよ」そ

  • ハイエルフと魔法界でのんびりライフ   続く体調不良

    翌朝くしゅんっとジェイドが朝から何度もくしゃみをしている「大丈夫?」「はい、これぐらい大丈夫ですよ」ズビッ「具合が悪いなら早めに言え」「いいえ、具合悪いなんてことありませんよ」ズビッなんだか様子がおかしいが、朝ごはんはパンとべーコンエッグに豆スープをしっかり食べたのだが、昼頃…「う、頭が…」「ジェイド、顔赤いよ?熱測るから」マリはおでこに手の甲をくっつける「うん熱がある。ジェイド、寝てなきゃダメだよ」「うう…」ぐすっジェイドは熱を出すとなぜか涙が止まらなくなる「大丈夫だよ、見た感じただの風邪だから。風邪薬作るからね」マリは本を見ながら万能風邪薬を作り始めた「えっと、ムーンウォーター、古代樹の葉、夜行茸、コガネハッカ、ハツカヨモギに巻きサソリっと」鍋に次々と材料を入れていく。ボコボコと泡が立つ音がする「ジェイドさんは大丈夫なのか」「うん、大丈夫だよ。この薬を飲んで1日寝ていれば治るから」「そうか」マチもなんだかんだ言って心配しているようだ。マリはすりおろしたボガルンダをジェイドの元へ持っていき「ジェイド、起きて食べれる?」「うぅ…マリ様…」完全に弱りきったジェイドがゆったりと体を起こした「薬はもうすぐで出来るからね。ほら、あーん」もぐっ…「あ…ありがとうございます」ズビッ赤い顔が更に赤くなった「ご主人…薬が出来たぞ…………食わせて貰いやがって…」ボソッ「あ、マチありがと。ジェイド、全部食べれそうになかったら先に薬飲もう?」「はい…」マリは茶色の薬を飲ませる。とても苦そうだが良薬口に苦し、だ「ゴホゴホッ」「大丈夫?ゆっくりでいいから」なんとか全部飲みきって、マリがまたジェイドを寝かせた「明日には良くなってると思うよ」「すみません…ううぅ…」大粒の涙がジェイドの顔を濡らす。熱を出すとまるで子供のように必ず泣いてしまう。生理現象なのだろ「大丈夫、眠れるまでここにいてあげるよ」 結果、3分くらいで眠りに落ちたジェイド。気づけば朝からどたばたしていた「ご主人は大丈夫か、疲れてないか」「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」絶対に良くなるから頑張れ…ジェイド、あと少しの辛抱だ~「マリ様のおかげですごく元気になりました!昨日はご心配とご迷惑をおかけしました…」「治ってよかったね」「はぁ…よか

  • ハイエルフと魔法界でのんびりライフ   お昼ご飯

    「そうだ、お昼ご飯食べていこうか」この村には人気の店がある。その名はジョリアン。モンテナ牛のハンバーグがとにかく美味いのだ「いらっしゃいませ、こちらへどうぞー」若い女性のウェイターさん、珍しく人間だ。 席に座るや否や「すみません、モンテナハンバーグ3人分ください」「かしこまりました」「ここのハンバーグ、本当に美味しいからね、一度食べたらやみつきになる」「確かに美味いよな」「匂いだけでパンが食べられそうです」ここのシェフはエルフで、500年間世界中の料理修行をして結果ハンバーグに辿り着いたらしい。ただのハンバーグ好きだ。「お待たせいたしました」鉄板に乗った大きなデミグラスソースのハンバーグとバケットが出された。湯気が上がり、ジューっと焼ける音がする「いただきます!」とても熱そうだが、熱いうちに食べなければ美味しさが逃げてしまう。切れ込みを入れただけでハンバーグから肉汁が出てくる出てくる。あむっと口の中に入れると肉汁が飲めるほどに出てきて、それでいてふわふわの食感、デミグラスソースのコクと味の深さ「んんー!美味っしい、たまんない!」「ぐ、肉汁がすごいな」「うわぁ口の中でとろけていきますー!」固いバケットが油の多いハンバーグとよく合う。3人はそのまま一言も喋らず黙々とハンバーグを食べたのだった。店を出たあともしばらく多幸感に包まれていた「はぁ…美味しかったなぁ」「まぁ、ご主人の作った料理には叶わんがな」「ん、そうですね。マリ様の料理がいちばん美味しいですから!」「んんー。そう言って貰えると嬉しい…な」ちょっと照れるマリ。その顔をガン見する2人。そうこうしているうちに日が暮れ、転送魔法で家に帰ってきた「今日はいろいろあって楽しかったなー」「本も買えたし、ご主人には思いがけないプレゼントを貰ったしな」「本当に嬉しいです、ありがとうございます」「いいよ、いいよ。2人からお返しのプレゼント貰っちゃったし」何だか、たまに村へ遊びに行くのも悪くないと思えるマリだった~翌日そろそろ雪が降る頃だろうと、マリ達はある準備をしていた。「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー」マリは思わず歌ってしまう。そう、クリスマスだ。クリスマスツリーやリースなどの飾り付けをしていたのだ。サンタさんは来ないから、3人でそれぞれ好きな物を

  • ハイエルフと魔法界でのんびりライフ   魔族と悪魔

    魔族は主にエルフ、ドワーフ、獣人族など人間の亜種のことを指している。それとは違い、悪魔族また、悪魔は人に罠を仕掛け、悪の道に誘う。時には人を殺すこともある。その中でもいちばん強いのは魔王だ。魔王は「500年に一度の大厄災」と言われている。災害、疫病、餓死を世界中にもたらし、人間を極限までいたぶり殺すのだ「悪魔…もうそんな時期か」「どういう時期なんだ?」思わずツッコミを入れてしまうマチ「悪魔が出てきたって事は魔王もそろそろ出てくる頃だな、と思ってね」「魔王ですか…また大厄災がやってくるんですね」怖がりなジェイドは魔王と言う名が出ただけで今にも泣きそうになっている「大丈夫だよ、私強いから」「あぁ、ご主人の強さは確かだ。それに魔王を倒すのはご主人にしか出来ない技だからな」そうだ。この世界の神話では、赤い瞳を持つハイエルフは不老不死、脅威の再生能力を持ち、唯一この世界の大厄災である魔王を倒す魔法が使えると言うが…それは本当である。実際に500年前、さらに500年前の魔王出現の時もマリが倒している。と、そんな話をしていると「あぁ、お昼過ぎてる。長話しすぎちゃった…ご飯ってうかおやつの時間だね」あっという間に時間が過ぎた。「質のいい野いちごと野ベリー買ったから…パイでも作ろうかな」「いいな、そうしよう」早速マチはオーブンを温める「…甘いの大好きだから動くの早いね」「そ…そうか?」マリはあらかじめ買っておいたパイ生地にカスタードクリームと野イチゴ、野ベリーを並べ、生地を中心に寄せながら内側に被せる。「うん、そろそろいい頃だ」マチが溶かしておいたバターを塗り、焼き始めた「あぁ…いい匂いがしますね」甘い匂いがふわっと部屋中を立ち込める。ぐぅぅ…と3人の腹の音が鳴る「今のうちに紅茶の用意しよう」パイに会う紅茶の茶葉を用意する。焼けるのが待ち遠しい「キュッ…キュキュ!」しろも、くろも、もふこ達がいつの間にか姿を現した「みんなも食べたい?」「モキュ!」「そっか、じゃあみんなで食べようね」そんな話をしていると「パイが出来たぞ!」マチの喜びの声が上がる。パイの上から粉砂糖をまぶして「出来た、野いちごと野ベリーのパイだ!」かなり大きいが、きつね色に焼きあがったパイ生地。キラキラと光り輝く野いちごと野ベリー。6等分にに切り分けて

  • ハイエルフと魔法界でのんびりライフ   幻樹の森

    ここは幻樹の森非常に幻想的な森で、ありとあらゆる魔法動物や植物が生きているここで生活するハイエルフのマリ・レヴァンスもうかれこれ5000年以上生きているのだマリは朝起きると最初に窓を開ける「ふぁぁ…風が冷たいなぁ」ひんやりとする風を受けるこの時、ちょうど秋から冬になる所だマリの真っ白で長い髪が光を受けながらサラサラ動く白くきめ細やかな肌に赤い瞳。真っ白な体に赤が映える。その瞳がハイエルフの特徴でもある体は華奢で、本当に5000年以上生きているのかと疑問に思う者も居るだろう「ご主人、紅茶が入ったぞ」マリに声をかけたのは使い魔フクロウのマチとても大柄な男で、黒く所々青く長い髪をなびかせている。瞳も青く、湖のように澄んでいるマリは椅子に座った「ありがとう、頂くね」そこに寝起きであろう、もう1人の姿がある金髪を三つ編みで束ねた男のエルフだ 名はジェイド・グレイマン瞳の色は緑で、まるでこの森のような幻想的で潤んだ目をしている「マリ様、おはようございます…」「ジェイド、おはよう。よく眠れた?」 「…はい、よく眠れましたよ。ですが今朝は冷え込みが強いですね」3人でテーブルを囲んで紅茶を飲む。3人の沈黙を破るようにパチパチと暖炉の薪が音を鳴らす「ご主人、俺は今日も薪割りをするつもりだ。ご主人達はどうする?」「私はジェイドと一緒に薬草を摘みに行こうかなと思って」「そうかわかった、気をつけてな」そんな些細な会話をして、今日も1日が始まった!~「あ、ここにもハテナ草が生えてる。お?こっちにはフシギ草が」薬草取り。マリは魔法薬を作るのが得意だ趣味でもあるのだ「マリ様ー!あちらにダイヤウルフの群れが!」ジェイドが息を切らして走ってきた「よし、お肉も爪も牙も血も、全部頂こう!」ドドドドーーン!!マリが派手に魔法を使った。だが木々には傷1つ付いていない。そしてダイヤウルフが10頭手に入った「ダイヤウルフは名前と違ってお肉が柔らかくて美味しい…それに爪と牙と血は…薬に使える」マリは目を光らせている「ふふ、研究も捗りますね」ジェイドはその顔を見て嬉しそうだったそうこうしているうちに昼になっていたようだ。マチが帰ってきた「マチ、ただいま」「ご主人、おかえり」薪割りを終えたマチが外の椅子に座っていた 「今日はマリ

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status