Mag-log in魔族は主にエルフ、ドワーフ、獣人族など人間の亜種のことを指している。それとは違い、悪魔族また、悪魔は人に罠を仕掛け、悪の道に誘う。時には人を殺すこともある。その中でもいちばん強いのは魔王だ。魔王は「500年に一度の大厄災」と言われている。災害、疫病、餓死を世界中にもたらし、人間を極限までいたぶり殺すのだ
「悪魔…もうそんな時期か」
「どういう時期なんだ?」
思わずツッコミを入れてしまうマチ
「悪魔が出てきたって事は魔王もそろそろ出てくる頃だな、と思ってね」
「魔王ですか…また大厄災がやってくるんですね」
怖がりなジェイドは魔王と言う名が出ただけで今にも泣きそうになっている
「大丈夫だよ、私強いから」
「あぁ、ご主人の強さは確かだ。それに魔王を倒すのはご主人にしか出来ない技だからな」
そうだ。この世界の神話では、赤い瞳を持つハイエルフは不老不死、脅威の再生能力を持ち、唯一この世界の大厄災である魔王を倒す魔法が使えると言うが…
それは本当である。実際に500年前、さらに500年前の魔王出現の時もマリが倒している。と、そんな話をしていると
「あぁ、お昼過ぎてる。長話しすぎちゃった…ご飯ってうかおやつの時間だね」
あっという間に時間が過ぎた。
「質のいい野いちごと野ベリー買ったから…パイでも作ろうかな」
「いいな、そうしよう」
早速マチはオーブンを温める
「…甘いの大好きだから動くの早いね」
「そ…そうか?」
マリはあらかじめ買っておいたパイ生地にカスタードクリームと野イチゴ、野ベリーを並べ、生地を中心に寄せながら内側に被せる。
「うん、そろそろいい頃だ」
マチが溶かしておいたバターを塗り、焼き始めた
「あぁ…いい匂いがしますね」
甘い匂いがふわっと部屋中を立ち込める。ぐぅぅ…と3人の腹の音が鳴る
「今のうちに紅茶の用意しよう」
パイに会う紅茶の茶葉を用意する。焼けるのが待ち遠しい
「キュッ…キュキュ!」
しろも、くろも、もふこ達がいつの間にか姿を現した
「みんなも食べたい?」
「モキュ!」
「そっか、じゃあみんなで食べようね」
そんな話をしていると
「パイが出来たぞ!」
マチの喜びの声が上がる。パイの上から粉砂糖をまぶして
「出来た、野いちごと野ベリーのパイだ!」
かなり大きいが、きつね色に焼きあがったパイ生地。キラキラと光り輝く野いちごと野ベリー。6等分にに切り分けて
「食べよっか、いただきます」
あむっと口の中に入れると、サクサクのパイ生地に程よい甘酸っぱさとカスタードクリームが合わさり美味しさが増していく
「んん~!美味しいです!」
ジェイドが頬を抑えて味を噛み締める
「あぁ…甘さが体中に染み渡る。美味い」
マチはとても幸せそうだ。これにさっぱりとしたハーブティーがよく合うのだ
「紅茶と会うね、君たちは?美味しい?」
「キュ!」「キュッキュ!」「クゥ!」
どうやら、けだまスライムにも美味しさが伝わったようだ
3人と3匹はとても幸せなひとときを過ごしたのだった
大きいパイをご飯として食べたせいで夜になってもお腹は空かない。お風呂に入ったあとは3人ともハーブティーを飲みながら、思い思いの夜を過ごす。ジェイドはアロマを焚き、マチは読書。マリは日記を書いている。毎日の日課だ。夜はこうしてのんびりとした時間が流れる
「今日は満月ですね」
窓の外には大きくて真ん丸な月が浮かんでいる。星も綺麗に輝いている。暖炉の焚き火の音以外に耳を澄ませるとフクロウの鳴き声が聞こえてくる
「鳴き方が下手なフクロウがいるな」
フクロウの使い魔であるマチだからわかる事だ。「ねぇ、明日は秋の「食料採り」に行かない?」
「いいな、行こう」
「いいですね!楽しみです」
明日の楽しみができた。3匹はすでに夢の中だ。よし、そろそろ寝よう。
大きい特注のベッド。実は3人同じベッドで川の字になって寝るのだ。マリがもちろん真ん中。「2人に挟まれると温かくていいんだよね」
「寝心地は大丈夫ですか?」
「このベッド、大きいから全く問題ないよ」
「毎日ご主人の隣で寝れるからな、幸せだ」
「私もふたりと一緒にこうして眠って生活出来て幸せだよ…」
いつの間にか3人は夢の中に落ちていた
~
そして3人揃って日が昇る前に目が覚める。朝はとにかく冷え込むから、目が覚めてからすぐに薪に火を付ける。
「はぁ…寒いね」
「今紅茶入れるからな」 マチが紅茶の準備をする。綺麗な鳥のさえずりが聞こえる「さ、寒い」
ジェイドがいちばん寒さに弱い。ふわふわのタオルケットを羽織って1番暖炉に近い所に座っている。日が昇るまでの辛抱だ。紅茶も入れ終わった
「この紅茶美味しいね、カモミールだ」
「いい匂いですね、癒されます」
まろやかで非常に口当たりのいい紅茶。マチは角砂糖を3つ入れて飲む
「うん、美味い」
徐々に日が登り始める。今日の朝ごはんは、パンの上にチーズを乗せて暖炉で溶かしたものと、ビックホーンピッグのベーコンとソーセージ、目玉焼きとサラダ。「いただきます」
パンにチーズはシンプルで何にでも合う。とろりとチーズが溶け、程よい塩気が良い。
「うん、どれも美味い」
「ベーコンにチーズパンが合いますね!」
マリ達の朝ごはんはシンプルだ。朝からそんなに食べないのだ
朝ごはんが終わると早速、「食料採り」の準備をする。マジックバックに切れ味のいいハサミを入れて
「よし、行こうか」
家を出て幻樹の森を歩くと、紅葉も終わり葉が散り始めていた。今のうちに食料などを貯めておかなければならない。冬は暗く、降雪量も多くとても寒いのだ。
冬ごもりの準備、と言ったところか「あ、ボガルンダが生ってる!」
ボガルンダとは木になっている桃色の果物で、熟すととろけるように柔らかく甘いのだ。皮ごと食べることが出来る
「熟しているみたいですね、取りましょうか」
ボガルンダの木は比較的低いので取りやすい
「ザラキアも生ってるぞ」
ザラキアはボガルンダに似ている黄色の果物。こちらも甘くて美味しい。どちらもマチの好物だ。3人それぞれのマジックバックに果物を詰める。あらかた果物は取り終えて、再び歩く
かさっかさっと枯葉を踏めばいい音が鳴る
「あ、ドクモタケが生えてますね」
ドクモタケ。いかにも毒がありそうな名前だが無毒である。スープに入れて食べるもよし、出汁を取るのもよし、魔法薬の材料にもなる
「ん、何かの気配がする」
後ろを振り返ると大きな翼を広げたワイバーンが。マリが手を振りかざすと、ヒュッと縦真っ二つに切れた
「すごいな、こんなにでかいワイバーンはなかなか居ない」
「マリ様流石です!」
ワイバーンを血抜きしている間に、森のど真ん中にあった宝箱(ミミック)も倒し食料にする。グロウハニービー(暗闇で光るミツバチ)の巨大な巣からもはちみつを頂く。マリはこの森の守護者なので蜂もそれに従い、刺すことは無い。
「結構取れたね、穀物はゼンリから買ったから後は大丈夫かな」
半日でたくさんの収穫を得た。こんなに大量の食材をどう保管するのかと言うと、マリの家には大きな地下室がある。ひんやりと冷たく、年中一定の温度に保たれている。さらにマリの魔法でいつでも新鮮な食べ物が食べられるようになっているのだ
「地下室の食料庫もこれでいっぱいですね」
満足気な3人。大量に取ったボカルンダを昼食にしながら帰り道を歩くと、足元に
「野生マンドレイクだ」
幻樹の森に生えている野生マンドレイクは毒がなく、苦味もない。皮を剥げばそのまま食べることも出来る。ついでに、野生マンドレイクも収穫する。もちろんマリが強い睡眠魔法をかけて、だ
「あちこちに生えてるな」
野生マンドレイクも30個ほど収穫し、家に戻る。地下室に食料を置いて一安心する。四方八方、食料で埋まっている地下室。これで冬は問題なく過ごせる
「よかった、これで蓄えは充分だね。ゼンリにも感謝しないと」
「そうだな、いいタイミングで来てくれた」
「冬になるととてもここまで来れませんからね」
今頃ゼンリはくしゃみをしている所だろう…
~
昼をすぎて、マチは薪割りをし始めた。薪割りも終盤に差し掛かる。ストン、と真っ直ぐ振り下ろされた斧。パカッと綺麗に割れる薪。薪割りはもう慣れたものだ
マリはクッキーを焼いている。丸いものや四角いものチョコチップが入ったクッキーもある
ジェイドは薬草や毒草の種類を書き記す。これは人間にとってとても有益なものになる
3人それぞれの時間を過ごしておやつの時間だ
「マチ、クッキー焼けたよ」
「お、クッキーか。俺の好物だ」
家の中に入ると甘い匂いがふわっと立ち込める。ハーブティーの香りもいい
「では、頂こうか」
サクッと、中はホロホロの焼き立てクッキー。程よい甘さだ
「うん、美味いな。ありがとうご主人」
「みんな頑張ったからご褒美だよ」
「マリ様美味しいです」
「ふふ、よかった」
頑張った身に染みるおやつとハーブティー
「夜ご飯も豪華なもの用意するから待っててね」
「それは楽しみだな」
「ええ、気になりますー!」
楽しい時間、最高のひととき。これが生きる活力になったりする
マリはすでに夜ご飯を決めていた。2人が作業をしているうちに調理に取り掛かる
マチは薪割り、ジェイドは焚き付け用の小枝を集めている。
マリは調理が大好きだ。あれこれ考えて今日は何にしようとか、これを食べて喜んでもらえたとか全部覚えている。流石に5000年全部とまでは行かないが記憶している。
(5000年より前なんて、そこら辺に生えてる得体の知れない果物やら草やら食べてたな…調理するってことが頭になかった。まぁ私は不老不死。何も食べなくても死なないけど…食べる喜びに浸るのが最高なんだよね)
そう考えてながら料理しているとあっという間に出来てしまった
(後はお楽しみで…2人はどんな反応するかな)
2人の反応が楽しみで仕方がない
そうしているうちに日が暮れた。夕飯の時間だ
2人に目隠しをして夜ご飯をテーブルに運ぶ「今日の晩御飯はなんだ?」
「すごくいい匂いがしますね…」
「2人とも、目隠し外していいよ」
2人が目隠しを外すと…歓声が上がった
「はい、ホーンラビットの丸焼きとビックホーンポークのひき肉スープ召し上がれ!」
「ご主人す、すごいな!1人で作ったのか!」
「マリ様!これは随分と豪華ですね!」
「みんな頑張ったからね、いただきます」
ホーンラビットに切り込みを入れると、肉汁がジュワーっと溢れてくる。切り分けるだけで肉のやわらかさが伝わる。切り分けて早速食べてみると
「んん~!外はパリパリなのに中がジューシーで美味しいです!」
「全然油っこくないな、すごく美味いぞご主人!」
「うん、これは美味しいね!ハーブの香りがいい」
ひき肉スープも飲んでみると、野菜のうま味に肉のうま味もギュッと凝縮されてこれはまた美味いのだ
「スープも美味しいよ」
「うん、美味いな!すごいぞご主人」
「んー!美味しいですね!」
たまにはこんな豪華な食事もいい。頑張った自分を褒めよう
(5000年以上生きている中で、今日が一番幸せだな)
「幸せ」が更新されるマリなのだった
~
翌朝
起きた頃にはすでに日が昇っていた。昨日たらふく食べたからか、3人ともゆっくり起きた。
朝ごはんは昨日の残りのスープとポチカ(パン)を食べた。
さて、今日は街に行って魔導書や魔道具を買う予定だ。マリの転送魔法を使って早速3人は村に行く
「モンテナ村に来たの久しぶりかも」
「ご主人はそうだな」
モンテナ村はこの辺の村でいちばん大きな村だ。エルフやドワーフが多く、人間は少ない傾向にある。人間は隣町のカルテ村に多い。魔族が多くの店を開いているので魔導書や魔道具を買うにはうってつけだ
まずは古本屋に行く
「いらっしゃい…おや?マリ様じゃないか」
赤髪で男のエルフがマリに声をかける。この店の店主だ。
「久しぶりだね、タナス。元気にしてた?」
「ぼちぼちって所かなぁ、随分と長い間会ってなかった気がするが…」
「うーん、言っても5年ぶりじゃない?」
「そうか、5年か」
マリが店主と喋っているとマチがかなり古そうな魔導書に目をつけた。
マチがかなり古そうな魔導書に目をつけた。
(これは…)
「おお、マチさんいい本に目をつけたねぇ」
「あ、それ私の書いた本だ」
「やっぱりご主人が書いたものか。これをくれ」
「あいよ」
「私の魔導書を買ってどうするの?神代古代の魔法なら教えてあげるのに」
「何千年も前のご主人の直筆ってところが引かれるんだ」
「うん?ちょっとよくわかんないけど…」
マチはマリがおよそ4000年前に書いた魔導書を買った
「うむ、東の国の薬草について書かれている本…珍しい。これください」
ジェイドも薬草の本を買った
「マリ様はお目当ての本はなかったかい?」
「うん、ほぼ家にあるからね」
「そうかそうか、また近いうちに来ておくれ」
「わかった、ありがとう。じゃあね」
店主のタナスに挨拶をして店を出た
~次は魔導具店
「いらっしゃい、おう、マリ様じゃねぇか!」
こっちの店主は皮膚に鱗があり、瞳孔が縦長でおまけにしっぽも生えている。鮮やかな青い髪の竜人族だ
「ひさしぶりラング、元気?」
「おうよ!元気してたぜ!最近見ねぇから心配したぞ!」
「それはごめん。ずっと森に引きこもってたから…」
「で、何をお探しだ?」
「マチとジェイドの髪留め用の魔道具ってない?」
「あぁ、いいのあるぜ」
そんなこと聞いてない!と2人はマリに詰め寄る
「ご主人俺は何もいらない、大丈夫だぞ」
「マリ様、私もですよお気遣いは嬉しいですが…」
マリはまるで聞いていなかったかのように、「いいのあるってよ」と、勧められたものを手に取った
「どうだい?お二人さんの目の色に合ってるだろ!」
「うん、すごく綺麗。高魔力を探知すると防御魔法が勝手に発動するんだね。買った」
こうしてマリは2人の魔道具(髪留め)を購入した
「毎度あり!また来いよ!」
「うん、またね」
こうして魔道具店を出た
~
「ご主人、本当にいいのか?」
「マリ様…私、気が引けますっ」
「買っちゃったもん。ほら、早速付けてみてよ」
2人は言われるがままにマリから貰った髪飾りを付けた
「光に当たるとすごく綺麗だね!」
髪留めに着いているクリスタがキラッと輝く
「似合ってるよ」
「っ…ご主人、俺からも贈り物をさせてくれ」
「私も!何か返させてください!」
そう言うと2人に手を引かれてさっきの魔道具屋に戻った
「いらっしゃ…あれ、また来たのか」
「ご主人に似合うものを」 「ください!」
「お、おう、わかったぜ」
2人の圧がすごい。
「このブレスレットなんてどうだ?綺麗だろ。小さいがダイヤモンドが埋め込まれてる。こっちはルビーだ」
「これをくれ!」「ください!」
「高いもの買ってくれてありがとよ!マリ様へのお返しか?」
「まぁな」「そうですね」
「そうかそうか、じゃあな!気をつけろよ!」
今度こそ魔導具店を出た
「もう、お返しなんていいのに」「いや、ご主人になにか貰ってばっかりじゃ俺たちの気が済まん」
「そうですよ、いつもお料理作ってもらってますし…」
「ほら、どうだご主人」「どうですか?」
付けてみると白い肌に映えるダイヤモンドとルビーの輝き
「うん。気に入ったよ、ありがとう…2人とも大好き」
二人をギュッと抱きしめる
「そ…そうか。それは良かった」
「気に入っていただけたみたいで…良かったです」
何となく2人とも顔が赤い気がするが気のせいだろうか
更新いたしました、ご覧下さい。
翌日、畑に植えていた野菜の様子を見に来た。だいぶ成長し、そろそろ収穫時期を迎える頃だ「あともう少しかな」「収穫が楽しみだな」これらを収穫したら、マリは野菜スープを作る予定だ。もう少しの辛抱だ「ご主人、言いたいことがあるんだ」と、マチが急に話し始めた「俺は悪魔ではあるが、今はご主人の使い魔だ。だから魔王と戦う時は俺も共に戦う」「それでいいの?」「あぁ、これは俺が決めた事だ。それに…俺はご主人の事を好いている。心から」突然自身の胸の内を明かしたマチ。「そっか、ありがとう。私も好きだよ」マリも好きだ、と言い返した。マリの「好き」はどういう意味の「好き」かは分からないが、同じだといいな、と思うマチなのだった。そう思った途端に体がぐわっと暑くなった。「わぁ、マチ。顔真っ赤だよ」「そ、そうか」マチはそっぽを向いてマリの方を見れなくなってしまった。そのまま家に帰ってくるとマチは部屋に籠ってしまった「マチ、どうしたんだろう」「何かあったのですか?」「いや、マチが私の事好きだって言ってから変になった」「え?は?告白ですか…?それって告白ですよね」「そうなのかな?わからないけど」ジェイドは苦しそうな顔をした「私を差し置いて…」ジェイドは真剣な顔をしてマリの手を取った「私、マリ様の事好きなんです。大好きです…だから…」「そっか、ありがとう。私も好きだよ」「マチさん何かより、私の方が好きです…」「そうなの!嬉しい。私も大好きだからね」喜びの表情を見せるマリと恥ずかしさで蒸発してしまいそうなジェイド。部屋の隅で縮こまってしまった。「今日、なんか2人とも変だな…」よくよく思い返してみるとマリとダリアは別のティーを飲んでいたが、マチとジェイドは同じティーを飲んでいた。そういえば、告白薬を作ったポッドで2人はティーを入れていたんだ!と、今になって真実に辿り着いたマリ。「なるほど…そういう事か」すぐに解毒剤を2人に飲ませたが、飲ませた後も様子は変わらなかった「恥ずかしいな…」「はぁ、なんて事を…」(ご主人様、こう言うの結構鈍いんですね…2人は本気で言ってたと思うんですが…)ダリアだけは真実を知っていた。2人は本当のことを、心から思ったことを言っただけだ。それに気づかないマリは鈍感なのだ。そもそも告白薬は思った事を言ってしまう薬だ
さぁ、今日はついに大晦日だ。料理を大量に作って祝わなければならない「ついに大晦日だね」「今日は天気がいいな」雪は降らないようで、年越し花火も見に行けそうだ「豪華なご飯…楽しみですね!」「花火が楽しみです!起きていなくちゃ」ジェイドとダリアは2人揃って今日を楽しみにしていた。マリは友達などに手紙を送った。これが明日届くのだ「明日は元旦か…早いなぁ。年越したの最近のことだと思ってたのに」そう、1年はあっという間なのだ。特にマリにとっては昨日年越たばかり、みたいな感じだろう「あ、正月飾りを出さなきゃ」正月飾りは古代樹の葉と月光樹の葉、それに赤と白が基調のリースだ。これを玄関に飾ると1年間の福を呼び込むと言う。そして朝ごはんと昼ごはんはパンで、あっさりしたものを食べた。夜にたらふく美味いものを食べるためだ「そろそろ夜ご飯の準備するね」「ご主人様、私も手伝います」「俺たちにも手伝わせてくれ」みんな一緒に料理を作る。リクエストがあったシチューにマルゲリータ、カニはもちろん、お刺身やアップルパイ、フルーツの用意もする。料理をしている間にあっという間に日が落ちる。「みんな先にお風呂入っちゃおうか」順番にお風呂に浸かり、温まる。上がったら豪華な料理が待っていた「ほら、みんなが頑張って作った料理だよ!たんとお食べ!」「こうやって見るとすごい量だな!よし、頂こう」「う~ん!このシンプルなピザがたまらないんですよ」「カニ美味しい~!身が詰まってプリプリ!」「ご主人の作ったシチューは世界一美味い!」「うん!アップルパイ美味しくできた。甘さと酸味がちょうどいい」みんなでワイワイ、テーブルを囲んで食べる食事は別格に美味しい「ん!このカニ美味いな」「本当ですね!カニ味噌も美味しいです」「よし、シャンパン開けようか!」大人はシャンパン、ダリアはもちろんジュースで「待ちきれずに食べちゃったけど…乾杯!」「乾杯!!」暖かい部屋で飲む冷たいシャンパンとジュースは即座に体へ染み渡る「くぅ…美味いな」「はぁ、美味しいですね~」「ぶどうジュース美味しいです」ごくごく「1年ももうすぐ終わるね、あっという間だ」年が明けたと思ったら、もう年越しだ。ダリアにとっての1年は長いかもしれないが、マリ達にとっての1年は本当に短い。これが圧倒的な年の差なの
クリスマスパーティーから一夜明けて、片付けをしている。ジェイドは二日酔いで唸りながらベッドで横になっている。さすがに心配なので、マリが何度も様子を見に来る「大丈夫、具合悪い?」「気持ち悪くて頭が痛いです…昨日の記憶がありません…」「二日酔いを治す魔法薬を作らないといけないかな」「ううーん……」ジェイドが酒臭い。1度飲むと止まらなくなってしまうタイプだ。マリが水に砂糖と塩を加えた経口補水液を作って持ってきた。「飲めそうだったら飲んでね、脱水しちゃうから」 「はぁ…い……」和酒だと、あんなに酔ってしまうのか。それにしても昨日は凄まじかった。歌を歌い突然脱ぎ出し、真冬の外に出ていこうとした(昨日の記憶ないのか…面白かったのになぁ)「昨日の夜中は散々だったな、ご主人とダリアの前で脱ぎ出すなんて」しかも下着まで「私は面白かったよ」「私は見ていられなかったです…」「ご主人の前で、だぞ!?自分だけ脱ごうだなんて許せない」 「え…え…?」話が脱線しすぎてダリアが混乱している 「うん、マチもまだお酒残ってるのかな…」「俺は至っていつも通りだぞご主人?」「そっか…そっか………」 頭を悩ませるマリ。大丈夫なんだろうか~クリスマスツリーも装飾も全て片付け終わった「次にくるのは大晦日だね」「今年もあっという間だな」「大晦日は花火があがるんですよね!」そう、ダリアの言う通り新年を祝う為に各地で花火があがる。冬の夜空に散る花火は、星と相まって美しいのだ「今年は頑張って起きていられるように頑張りたいです」 「無理はしないでね」「そうだぞ、育ち盛りなんだからな」クリスマスから大晦日はあっという間に過ぎていく「大掃除しないとね」「そうだな。俺は背が高いからホコリ落としだ」「私、掃除得意なので!任せてください!」一方その頃ジェイドは…トイレから出られなくなっていた「うう……」ドンドン、とマリがドアを叩く「ジェイド!大丈夫?」「気持ち悪くて…トイレから出られないんです」「そうだな…薬作った方が良さそう…」急遽マリは二日酔いに効く魔法薬を作ることにした。ムーンウォーターに賢者の実、時の欠片、月光樹の葉、ブライトニングハーブにハツカヨモギ「それと、マンドレイクの葉に黄金クローバーをいれて…」グツグツと大釜の煮える音がす
幻樹の森から西に30分歩くと、光の街と言われるシンシャ街がある。そこの冒険者ギルドへ何年かぶりに顔を出す「久しぶり」ギルドの受付嬢であるエルフが目を見開いた「あらマリ様!お久しぶりでございます!ギルドマスター!マリ様がお越しですよ!」ギルド内がドタバタし、あちらこちらからコソコソ話しが聞こえる「あれって噂の…」「永玖の守護者!?SSランクのパーティーじゃねえか!」扉から出てきたのは茶色い髭を伸ばし、背は低いのに屈強なドワーフだ。「お前たち久しぶりだな!」「久しぶりだね、ゼヒネル」ゼヒネルと言うこのドワーフこそギルドマスターである「今日は何しに来たんだ?」「魔法薬と材料を買い取ってもらいたくてさ」「よしわかった!こっちへ来い」連れてこられたのは買取専門コーナーだ「今日はどんなものを売りに来たんだ?」「回復薬に透明薬、記憶薬、無眠薬…それと」「すごい量だな!」「あと、エンシェントドラゴンの爪と牙ににヘルハウンドの爪、ダイヤウルフの皮…あとミミックから出てきた宝石」「おお…これはすごいな」量が多すぎたのか応接室に案内されたのだった。どれもこれも高額で買取できるほどの品質でこれ以上のものは無いだろう「買取に少し時間がかかるが…それでも良いか?」「うん、街を探索してるからいいよ」ギルドを後にすると魔鉱石店に立ち寄った。マチは鉱石が好きだからだ「どれも良い品だな…」見極めている。特に星写しの魔鉱石に目をつけた「これは高純度の魔鉱石だな…しかも取れる場所がとにかく少ないんだ」(マチは石を見ているだけで楽しそうだなぁ…)マチは星写しの魔鉱石を買った。夜になると石の中に星座が写し出されるものだ。続いて紅茶の茶葉が売ってる店に来た。ジェイドが何かを買うらしい。「食べられるフルーツティー!?こんな物があるなんて…薔薇の紅茶もいい…買います!」こうしてジェイドは紅茶の茶葉を手に入れた。続いて向かったのはダリアの大好きなぬいぐるみの店だ「二ーブールのぬいぐるみ…可愛い…」二ーブールは主に綺麗な川に生息する動物で、カワウソに少し似ているのだ 。ダリアは二ーブールのぬいぐるみを購入し、とても満足そうな顔をした「よし、そろそろギルドに戻ろうかな」「ご主人は何も見なくていいのか?」「私はみんなの幸せそうな顔が見れて満足だよ」そ
翌朝くしゅんっとジェイドが朝から何度もくしゃみをしている「大丈夫?」「はい、これぐらい大丈夫ですよ」ズビッ「具合が悪いなら早めに言え」「いいえ、具合悪いなんてことありませんよ」ズビッなんだか様子がおかしいが、朝ごはんはパンとべーコンエッグに豆スープをしっかり食べたのだが、昼頃…「う、頭が…」「ジェイド、顔赤いよ?熱測るから」マリはおでこに手の甲をくっつける「うん熱がある。ジェイド、寝てなきゃダメだよ」「うう…」ぐすっジェイドは熱を出すとなぜか涙が止まらなくなる「大丈夫だよ、見た感じただの風邪だから。風邪薬作るからね」マリは本を見ながら万能風邪薬を作り始めた「えっと、ムーンウォーター、古代樹の葉、夜行茸、コガネハッカ、ハツカヨモギに巻きサソリっと」鍋に次々と材料を入れていく。ボコボコと泡が立つ音がする「ジェイドさんは大丈夫なのか」「うん、大丈夫だよ。この薬を飲んで1日寝ていれば治るから」「そうか」マチもなんだかんだ言って心配しているようだ。マリはすりおろしたボガルンダをジェイドの元へ持っていき「ジェイド、起きて食べれる?」「うぅ…マリ様…」完全に弱りきったジェイドがゆったりと体を起こした「薬はもうすぐで出来るからね。ほら、あーん」もぐっ…「あ…ありがとうございます」ズビッ赤い顔が更に赤くなった「ご主人…薬が出来たぞ…………食わせて貰いやがって…」ボソッ「あ、マチありがと。ジェイド、全部食べれそうになかったら先に薬飲もう?」「はい…」マリは茶色の薬を飲ませる。とても苦そうだが良薬口に苦し、だ「ゴホゴホッ」「大丈夫?ゆっくりでいいから」なんとか全部飲みきって、マリがまたジェイドを寝かせた「明日には良くなってると思うよ」「すみません…ううぅ…」大粒の涙がジェイドの顔を濡らす。熱を出すとまるで子供のように必ず泣いてしまう。生理現象なのだろ「大丈夫、眠れるまでここにいてあげるよ」 結果、3分くらいで眠りに落ちたジェイド。気づけば朝からどたばたしていた「ご主人は大丈夫か、疲れてないか」「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」絶対に良くなるから頑張れ…ジェイド、あと少しの辛抱だ~「マリ様のおかげですごく元気になりました!昨日はご心配とご迷惑をおかけしました…」「治ってよかったね」「はぁ…よか
「そうだ、お昼ご飯食べていこうか」この村には人気の店がある。その名はジョリアン。モンテナ牛のハンバーグがとにかく美味いのだ「いらっしゃいませ、こちらへどうぞー」若い女性のウェイターさん、珍しく人間だ。 席に座るや否や「すみません、モンテナハンバーグ3人分ください」「かしこまりました」「ここのハンバーグ、本当に美味しいからね、一度食べたらやみつきになる」「確かに美味いよな」「匂いだけでパンが食べられそうです」ここのシェフはエルフで、500年間世界中の料理修行をして結果ハンバーグに辿り着いたらしい。ただのハンバーグ好きだ。「お待たせいたしました」鉄板に乗った大きなデミグラスソースのハンバーグとバケットが出された。湯気が上がり、ジューっと焼ける音がする「いただきます!」とても熱そうだが、熱いうちに食べなければ美味しさが逃げてしまう。切れ込みを入れただけでハンバーグから肉汁が出てくる出てくる。あむっと口の中に入れると肉汁が飲めるほどに出てきて、それでいてふわふわの食感、デミグラスソースのコクと味の深さ「んんー!美味っしい、たまんない!」「ぐ、肉汁がすごいな」「うわぁ口の中でとろけていきますー!」固いバケットが油の多いハンバーグとよく合う。3人はそのまま一言も喋らず黙々とハンバーグを食べたのだった。店を出たあともしばらく多幸感に包まれていた「はぁ…美味しかったなぁ」「まぁ、ご主人の作った料理には叶わんがな」「ん、そうですね。マリ様の料理がいちばん美味しいですから!」「んんー。そう言って貰えると嬉しい…な」ちょっと照れるマリ。その顔をガン見する2人。そうこうしているうちに日が暮れ、転送魔法で家に帰ってきた「今日はいろいろあって楽しかったなー」「本も買えたし、ご主人には思いがけないプレゼントを貰ったしな」「本当に嬉しいです、ありがとうございます」「いいよ、いいよ。2人からお返しのプレゼント貰っちゃったし」何だか、たまに村へ遊びに行くのも悪くないと思えるマリだった~翌日そろそろ雪が降る頃だろうと、マリ達はある準備をしていた。「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー」マリは思わず歌ってしまう。そう、クリスマスだ。クリスマスツリーやリースなどの飾り付けをしていたのだ。サンタさんは来ないから、3人でそれぞれ好きな物を







