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ここは幻樹の森
非常に幻想的な森で、ありとあらゆる魔法動物や植物が生きているここで生活するハイエルフのマリ・レヴァンス
もうかれこれ5000年以上生きているのだマリは朝起きると最初に窓を開ける
「ふぁぁ…風が冷たいなぁ」
ひんやりとする風を受ける
この時、ちょうど秋から冬になる所だマリの真っ白で長い髪が光を受けながらサラサラ動く
白くきめ細やかな肌に赤い瞳。真っ白な体に赤が映える。その瞳がハイエルフの特徴でもある 体は華奢で、本当に5000年以上生きているのかと疑問に思う者も居るだろう「ご主人、紅茶が入ったぞ」
マリに声をかけたのは使い魔フクロウのマチ
とても大柄な男で、黒く所々青く長い髪をなびかせている。瞳も青く、湖のように澄んでいるマリは椅子に座った
「ありがとう、頂くね」
そこに寝起きであろう、もう1人の姿がある
金髪を三つ編みで束ねた男のエルフだ 名はジェイド・グレイマン 瞳の色は緑で、まるでこの森のような幻想的で潤んだ目をしている「マリ様、おはようございます…」
「ジェイド、おはよう。よく眠れた?」
「…はい、よく眠れましたよ。ですが今朝は冷え込みが強いですね」
3人でテーブルを囲んで紅茶を飲む。3人の沈黙を破るようにパチパチと暖炉の薪が音を鳴らす
「ご主人、俺は今日も薪割りをするつもりだ。ご主人達はどうする?」
「私はジェイドと一緒に薬草を摘みに行こうかなと思って」
「そうかわかった、気をつけてな」
そんな些細な会話をして、今日も1日が始まった!
~
「あ、ここにもハテナ草が生えてる。お?こっちにはフシギ草が」
薬草取り。マリは魔法薬を作るのが得意だ
趣味でもあるのだ「マリ様ー!あちらにダイヤウルフの群れが!」
ジェイドが息を切らして走ってきた
「よし、お肉も爪も牙も血も、全部頂こう!」
ドドドドーーン!!
マリが派手に魔法を使った。だが木々には傷1つ付いていない。そしてダイヤウルフが10頭手に入った
「ダイヤウルフは名前と違ってお肉が柔らかくて美味しい…それに爪と牙と血は…薬に使える」
マリは目を光らせている
「ふふ、研究も捗りますね」
ジェイドはその顔を見て嬉しそうだった
そうこうしているうちに昼になっていたようだ。マチが帰ってきた
「マチ、ただいま」
「ご主人、おかえり」
薪割りを終えたマチが外の椅子に座っていた
「今日はマリ様がダイヤウルフの群れを狩りましたよ」
「それはすごいな」
早速3人で会話をしながらお昼ご飯の準備をする
「まずはシックキャロットとグロウマッシュルームなどを一口大に切って火を通したら…あらかじめ毛をはいで血抜きをしたホーンラビットの肉を入れて、そこにレインボーフルーツとハーブ、塩コショウを加えて…完成、ホーンラビットシチュー!」
「それと月光樹の花の蜜パンだ」
「うわぁ…すごく美味しそうです…!」
ジェイドが目を輝かせている
「さ、みんなで食べようか!いただきます」
もぐっ
「うーん、おいしーい!」
トロトロに煮詰めた野菜とほろほろのホーンラビットシチューの肉。ハーブの香りも食欲をそそる
心の底からホッとするシチュー「うむ…ご主人が作るシチューは世界一美味いな」
1口、1口噛み締めているマチ
「はぁ…頬が蕩け落ちそうです」こちらも目を潤ませながらどこか遠くを見ているジェイド
「月光樹の花の蜜パンも美味しいよ!」
マリは月光樹の花の蜜パンを小さくちぎって口に入れた
ふかふかと柔らかく、中はしっとりしている。噛むと花の蜜の味がふわっと香り、優しい甘さのパン
「ふむ…ほのかな甘みで美味い」
「こちらも美味しいです」
2人は満足そうだ
あっという間におかわり分もたいらげてしまった「ふぅ…ご馳走様でした。2人とも、いっぱい食べたね。私のおかわり分ないんだもの」
「すまない、美味しすぎてつい食べてしまった」
「申し訳ございません、あまりにも美味しかったので」マチとジェイドは申し訳なさそうな顔をする
「いいよ、美味しいって食べてくれたら私うれしいもの。また作ってあげるね」
美味しいご飯は心を暖かくする魔法だ
…さて、午後から何をしようか
「午後は私とジェイドで魔法薬作ろうかな、在庫が無いのもあるし」
「俺は町に行って新しい本を探してこよう。魔導書があればうれしいが」
よし、予定決まり!午後ものんびり行きましょう
~
「よし、まずは羽生え薬から作ろうか」
マリは数ある棚から材料を取りだした
「ムーンウォーター、コガネハッカ、シルフの粉、ユニコーンの角の粉、マンドレイクの種っと…」
広い部屋にたくさんの棚と本。そして魔女が使うような大釜。暖炉の焚き火がパチパチとなり、風の音に鳥の鳴き声、ウィンドチャイムが鳴っている。
「結構需要がある薬ですからね、沢山作らないといけませんね」
ジェイドも瓶を両手に持ち、薬を作る準備をしている
さて、これから魔法薬の大量生産が始まる
マリとジェイドは魔法薬である羽生え薬を作ろうとしている
「まずはムーンウォーターをある分全部入れて…」
マリが大釜にムーンウォーターを注ぐ
ちなみにムーンウォーターは天然の水を月の光が当たる場所に一晩置くと得られる「次にコガネハッカを刻んで鍋に投入して」
ジェイドが細かくコガネハッカを刻んで鍋に入れる
大釜からポコポコと音が出るようになった「シルフの粉とユニコーンの角の粉をスプーンいっぱい入れる」
シルフの粉は白く、ユニコーンの粉は銀色にキラキラ輝いている。マリが大釜をかき混ぜると水色の光を放ち始めた
「いい感じですね!マンドレイクの種を3つ入れる」
ジェイドがマンドレイクの種を入れるど大釜が銀色の光を放ち、ボコボコの沸騰する音がした
大釜をそのまま1時間置いている間、2人は本を読んでいた「そろそろいいかな」
マリが鍋を覗くと、銀色の綺麗な魔法薬が完成していた。2人は鍋から小瓶に移し、ラベルを貼る。この魔法薬は明日来る商人に売るのだ。ざっと500瓶分は出来た
「素晴らしい出来ですね…惚れ惚れします!」
ジェイドが小瓶を見て目を輝かせているとキュ…キュウっと何かの音がした
「あれ、もしかして」
マリが振り向くと後ろにいたのは
宙に浮いているフワッフワの毛玉…小さな目が2つ付いている。白と黒の2匹だ「これってケダマスライムですよね?見たものに幸運を与えるっていう」
ジェイドは驚いている。幻樹の森でしか生息できない超スーパーレアスライムだからだ
「そうそう。この前、野いちごと野ベリーを取ってたらこの子達が居たから使い魔にしたの」
キュ…キュ…っと鳴きながらマリの頬にスリスリしている
「こんな貴重なレアスライムを使い魔に!?」
「名前はね、白い方はシロモで黒い方はクロモ」
「ほぼそのままの名前ですね…でも、かわいい…」
今度はジェイドの方にシロモとクロモが頬にスリスリし始めた
「ふふっ、くすぐったいです。こら、やめてくださいってば…ふふふっ」
「キュ…キュ…」
とても微笑ましい光景だ。そろそろマチも帰ってくるだろう。晩御飯を作ろう
午前中に狩ったダイヤウルフの肉が沢山ある。それでなにか作ろう
「まずはダイヤウルフの肉を包丁の背で叩き伸ばして、塩、コショウ、振り小麦粉を薄くまぶす。フライパンにバターを溶かして肉を焼く。」
「うう、美味しそうな匂いですね。あ、マチさんが帰ってきましたよ」
大量の本を抱えて帰ってきたマチ
「ただいま。ご主人、ジェイドさん。大量の魔導書と薬草の本があった」
「おかえり、沢山買ってきたね」
「あぁ、どれもこれも俺の興味を引く本だ」
ダイヤウルフの肉が黄金色になってきた。
「肉が焼けてきたら、フライパンにバターを溶かして、シルバーガーリックとワイン大さじ1入れて煮立てる。そして肉にかける。ハーブを添えたら完成!」
「あぁいい匂いだ」
マチのお腹がぐぅーっと鳴った
ダイヤウルフのソテー、そしてこの世界でよく食べられているパン【ポチカ】それともうひと品
「ベリロアのスープも作ろうかな」
この森付近で取れるベリロアという豆のスープ
「鍋にオリーブオイルを入れて熱し、角切りにしたゴールドオニオン、シックキャロットを加え炒める。そこに水と酒、ベリロアを加える。煮立ったらアクを取り、弱火でじっくり火を通して、野菜が柔らかくなったら、塩コショウで味を整える。そこに5種類のハーブも加えて完成!」
ダイヤウルフのソテー、ポチカ、ベリロアのスープ。全部揃った
「よし、食べようか。いただきまーす」
「ん、このソテー美味いな!ポチカとよく合う」
ダイヤウルフの肉はジューシーで、シルバーガーリックの味が効いている。ふかふかのポチカとの相性が抜群だ
「ベリロアのスープ、美味しいです。体の芯から温まりますね」
ダイヤウルフのソテーの味が濃い分、スープはシンプルな味付け。ハーブの香りもよく、これも合う
「うん、我ながらによく出来てる」
3人の会話が弾んだ。これで今夜はぐっすり眠れるだろう
~
次の日の朝
まだ日は昇って居ない内に3人とも起きてしまうのだ
「紅茶を入れるか」
マチが紅茶を入れてくれる。暖炉の焚き火がぱちぱちと鳴る。ヒューヒューと外から風の音がする。朝のこの時間がなんとも言えない癒しの時間だ
「大丈夫かな、風強いけど」
「あぁ、そうか。今日はあのドワーフが来るんだったな」
商人のドワーフ。幻樹の森までやってきてくれるのだ
そもそも幻樹の森は1度入ると永遠に出られなくなる。 方向感覚が失われるのだ。 マリの家にたどり着く道は知る人ぞ知るものだ「いっぱい売れるといいですね」
ティーカップを両手に持ち、ふわふわのブランケットを羽織っているジェイド。
「キュ…キュ」
何かの鳴き声がする。毛玉スライムのシロモとクロモだ
「あぁ、これが噂の毛玉スライムか」
マチが指で優しく撫でる
「そうそう、すごく人懐っこいの」
丸くふわふわなフォルムについつい目を奪われてしまう
「あれ、この子は今まで居ましたっけ?」
「クゥ…」
金色の毛玉スライムだ。これこそレア中のレアだ
「へぇ…珍しい。あなたも使い魔になる?」
「クゥ!キュッキュ」
嬉しそうなことは伝わってくる。魔獣を自身の使い魔にするには、魔力をお互いに少し交換し、魔獣が主の魔力を受け入れ、最後に魔獣に名前をつけてやる。
「よし、君の名前はモフコだ」
「キュゥ!」
「契約完了だね」
「使い魔がだんだん増えていくな」
空中でふわふわと浮遊している3匹の毛玉スライム。お互いに挨拶しているみたいだ
「金色となると、何やらすごい幸運を運んできそうですね」
「そうだよね、5000年以上生きている私でも初めて見るもの」
今日は何事にも上手く行きそう…そんな気がする
※けだまスライムは突然現れては消えてを繰り返す。幻樹の森にしか生息しない最高ランクのレアスライム。見たものに幸せを運ぶとも言われている※
日が登り、昨日の残り物を食べ終えた3人と3匹。風は少し弱まったらしい
「よかった。日も出てきたみたいだし」
雲の隙間から日差しが差し込む。草木が光に照らされ、幻想的な木漏れ日が降り注ぐ。窓を開けると冷たい空気と共に柔らかな森の匂いがする
「気配がするな。そろそろ来るぞ」
昨日作った羽生え薬と、あらかじめ作っておいた魔法薬、そして魔法薬になる材料をテーブルに置く。チリン…チリン…鈴の音がする、彼は毎回鈴を着けてくる。
あらかじめドアを開けておく「いいよ、入って」
マリよりも小柄な白髭を伸ばしたドワーフが立っていた
「よぉ、マリ。マチにジェイド、元気にしてたか?」
「うん、変わりないよゼンリ」
「久しぶりだな」
「お久しぶりでございます」
ゼンリと言うドワーフは、ドカッと床に重そうなリュックを置くとイスに座り、ホッとした表情をしたと思えば眉にシワを寄せた「そういやマリ。魔族の話は聞いたか?」
「魔族…がどうしたの?」
ゼンリはゴクリと唾を飲む。 「あぁ、パルサバ村が魔族にやられたって話だ」「パルサバ村って、妖精たちが住んでる小さな村か」
マチが眉を上げる
「最近、魔族による被害が増えてきてるようでな」
「なるほどね…」
落ち着いた様子で紅茶をすするマリ
「マリよ。まるで他人事のようじゃないか」
「あまり私には関係ないからね」
「はぁ、全くお前さんは」
深くため息を着くゼンリ
「小さな村が1つ滅んだくらいで何も変わらないよ」
「なんてことを」
「それが歴史ってものだよ」
「ワシも5000年以上生きていればそうなるものなのか…」
ゼンリは理解し難いと言う顔をするが、マチとジェイドはいつも通りだ 「だって、人間から見たら私達も魔族でしょ?」ゼンリは目を見開いた。そして何も言えなくなってしまった
「大丈夫だよ、人間に危害が加わるようだったら大型ギルドが動くから」
「コホン…確かにそうじゃな…。気を取り直して商品の売買をしよう」
テーブルの上に置いてある羽生え薬に透明薬、もちろん普通の回復ポーションを見てゼンリは
「ほぉ…やはりお前さん達が作る魔法薬はどれも高品質じゃのう。ここに出てる分全部買い取らせてもらおう。金貨1枚に銀貨5枚でどうじゃ?」
「え、そんなにいいの?」
「もちろんじゃ。お前さん達の魔法薬は人気が高いんじゃ」
「そっか。それは嬉しいな、ありがとう」
マリもゼンリが持ってきた魔法薬の材料や食料を全て買ったのだった
「それじゃあ、また来るからな」
「うん、またね」
おもそうな荷物を背負って鈴を鳴らしながらゼンリは行ってしまった…と思いきや戻ってきたのだ。何か忘れ物でもしただろうか
「どうしたの?」
「言い忘れていたが…パルサバ村に悪魔族が住み着いたって噂がある。まぁ噂だがな。じゃあ今度こそまたな」
※あとがき
お金
銅片=1円
銅貨=10円 銀貨=1000円 金貨=10万円 大金貨=100万円 白銀貨=1000万円という設定です
翌日、畑に植えていた野菜の様子を見に来た。だいぶ成長し、そろそろ収穫時期を迎える頃だ「あともう少しかな」「収穫が楽しみだな」これらを収穫したら、マリは野菜スープを作る予定だ。もう少しの辛抱だ「ご主人、言いたいことがあるんだ」と、マチが急に話し始めた「俺は悪魔ではあるが、今はご主人の使い魔だ。だから魔王と戦う時は俺も共に戦う」「それでいいの?」「あぁ、これは俺が決めた事だ。それに…俺はご主人の事を好いている。心から」突然自身の胸の内を明かしたマチ。「そっか、ありがとう。私も好きだよ」マリも好きだ、と言い返した。マリの「好き」はどういう意味の「好き」かは分からないが、同じだといいな、と思うマチなのだった。そう思った途端に体がぐわっと暑くなった。「わぁ、マチ。顔真っ赤だよ」「そ、そうか」マチはそっぽを向いてマリの方を見れなくなってしまった。そのまま家に帰ってくるとマチは部屋に籠ってしまった「マチ、どうしたんだろう」「何かあったのですか?」「いや、マチが私の事好きだって言ってから変になった」「え?は?告白ですか…?それって告白ですよね」「そうなのかな?わからないけど」ジェイドは苦しそうな顔をした「私を差し置いて…」ジェイドは真剣な顔をしてマリの手を取った「私、マリ様の事好きなんです。大好きです…だから…」「そっか、ありがとう。私も好きだよ」「マチさん何かより、私の方が好きです…」「そうなの!嬉しい。私も大好きだからね」喜びの表情を見せるマリと恥ずかしさで蒸発してしまいそうなジェイド。部屋の隅で縮こまってしまった。「今日、なんか2人とも変だな…」よくよく思い返してみるとマリとダリアは別のティーを飲んでいたが、マチとジェイドは同じティーを飲んでいた。そういえば、告白薬を作ったポッドで2人はティーを入れていたんだ!と、今になって真実に辿り着いたマリ。「なるほど…そういう事か」すぐに解毒剤を2人に飲ませたが、飲ませた後も様子は変わらなかった「恥ずかしいな…」「はぁ、なんて事を…」(ご主人様、こう言うの結構鈍いんですね…2人は本気で言ってたと思うんですが…)ダリアだけは真実を知っていた。2人は本当のことを、心から思ったことを言っただけだ。それに気づかないマリは鈍感なのだ。そもそも告白薬は思った事を言ってしまう薬だ
さぁ、今日はついに大晦日だ。料理を大量に作って祝わなければならない「ついに大晦日だね」「今日は天気がいいな」雪は降らないようで、年越し花火も見に行けそうだ「豪華なご飯…楽しみですね!」「花火が楽しみです!起きていなくちゃ」ジェイドとダリアは2人揃って今日を楽しみにしていた。マリは友達などに手紙を送った。これが明日届くのだ「明日は元旦か…早いなぁ。年越したの最近のことだと思ってたのに」そう、1年はあっという間なのだ。特にマリにとっては昨日年越たばかり、みたいな感じだろう「あ、正月飾りを出さなきゃ」正月飾りは古代樹の葉と月光樹の葉、それに赤と白が基調のリースだ。これを玄関に飾ると1年間の福を呼び込むと言う。そして朝ごはんと昼ごはんはパンで、あっさりしたものを食べた。夜にたらふく美味いものを食べるためだ「そろそろ夜ご飯の準備するね」「ご主人様、私も手伝います」「俺たちにも手伝わせてくれ」みんな一緒に料理を作る。リクエストがあったシチューにマルゲリータ、カニはもちろん、お刺身やアップルパイ、フルーツの用意もする。料理をしている間にあっという間に日が落ちる。「みんな先にお風呂入っちゃおうか」順番にお風呂に浸かり、温まる。上がったら豪華な料理が待っていた「ほら、みんなが頑張って作った料理だよ!たんとお食べ!」「こうやって見るとすごい量だな!よし、頂こう」「う~ん!このシンプルなピザがたまらないんですよ」「カニ美味しい~!身が詰まってプリプリ!」「ご主人の作ったシチューは世界一美味い!」「うん!アップルパイ美味しくできた。甘さと酸味がちょうどいい」みんなでワイワイ、テーブルを囲んで食べる食事は別格に美味しい「ん!このカニ美味いな」「本当ですね!カニ味噌も美味しいです」「よし、シャンパン開けようか!」大人はシャンパン、ダリアはもちろんジュースで「待ちきれずに食べちゃったけど…乾杯!」「乾杯!!」暖かい部屋で飲む冷たいシャンパンとジュースは即座に体へ染み渡る「くぅ…美味いな」「はぁ、美味しいですね~」「ぶどうジュース美味しいです」ごくごく「1年ももうすぐ終わるね、あっという間だ」年が明けたと思ったら、もう年越しだ。ダリアにとっての1年は長いかもしれないが、マリ達にとっての1年は本当に短い。これが圧倒的な年の差なの
クリスマスパーティーから一夜明けて、片付けをしている。ジェイドは二日酔いで唸りながらベッドで横になっている。さすがに心配なので、マリが何度も様子を見に来る「大丈夫、具合悪い?」「気持ち悪くて頭が痛いです…昨日の記憶がありません…」「二日酔いを治す魔法薬を作らないといけないかな」「ううーん……」ジェイドが酒臭い。1度飲むと止まらなくなってしまうタイプだ。マリが水に砂糖と塩を加えた経口補水液を作って持ってきた。「飲めそうだったら飲んでね、脱水しちゃうから」 「はぁ…い……」和酒だと、あんなに酔ってしまうのか。それにしても昨日は凄まじかった。歌を歌い突然脱ぎ出し、真冬の外に出ていこうとした(昨日の記憶ないのか…面白かったのになぁ)「昨日の夜中は散々だったな、ご主人とダリアの前で脱ぎ出すなんて」しかも下着まで「私は面白かったよ」「私は見ていられなかったです…」「ご主人の前で、だぞ!?自分だけ脱ごうだなんて許せない」 「え…え…?」話が脱線しすぎてダリアが混乱している 「うん、マチもまだお酒残ってるのかな…」「俺は至っていつも通りだぞご主人?」「そっか…そっか………」 頭を悩ませるマリ。大丈夫なんだろうか~クリスマスツリーも装飾も全て片付け終わった「次にくるのは大晦日だね」「今年もあっという間だな」「大晦日は花火があがるんですよね!」そう、ダリアの言う通り新年を祝う為に各地で花火があがる。冬の夜空に散る花火は、星と相まって美しいのだ「今年は頑張って起きていられるように頑張りたいです」 「無理はしないでね」「そうだぞ、育ち盛りなんだからな」クリスマスから大晦日はあっという間に過ぎていく「大掃除しないとね」「そうだな。俺は背が高いからホコリ落としだ」「私、掃除得意なので!任せてください!」一方その頃ジェイドは…トイレから出られなくなっていた「うう……」ドンドン、とマリがドアを叩く「ジェイド!大丈夫?」「気持ち悪くて…トイレから出られないんです」「そうだな…薬作った方が良さそう…」急遽マリは二日酔いに効く魔法薬を作ることにした。ムーンウォーターに賢者の実、時の欠片、月光樹の葉、ブライトニングハーブにハツカヨモギ「それと、マンドレイクの葉に黄金クローバーをいれて…」グツグツと大釜の煮える音がす
幻樹の森から西に30分歩くと、光の街と言われるシンシャ街がある。そこの冒険者ギルドへ何年かぶりに顔を出す「久しぶり」ギルドの受付嬢であるエルフが目を見開いた「あらマリ様!お久しぶりでございます!ギルドマスター!マリ様がお越しですよ!」ギルド内がドタバタし、あちらこちらからコソコソ話しが聞こえる「あれって噂の…」「永玖の守護者!?SSランクのパーティーじゃねえか!」扉から出てきたのは茶色い髭を伸ばし、背は低いのに屈強なドワーフだ。「お前たち久しぶりだな!」「久しぶりだね、ゼヒネル」ゼヒネルと言うこのドワーフこそギルドマスターである「今日は何しに来たんだ?」「魔法薬と材料を買い取ってもらいたくてさ」「よしわかった!こっちへ来い」連れてこられたのは買取専門コーナーだ「今日はどんなものを売りに来たんだ?」「回復薬に透明薬、記憶薬、無眠薬…それと」「すごい量だな!」「あと、エンシェントドラゴンの爪と牙ににヘルハウンドの爪、ダイヤウルフの皮…あとミミックから出てきた宝石」「おお…これはすごいな」量が多すぎたのか応接室に案内されたのだった。どれもこれも高額で買取できるほどの品質でこれ以上のものは無いだろう「買取に少し時間がかかるが…それでも良いか?」「うん、街を探索してるからいいよ」ギルドを後にすると魔鉱石店に立ち寄った。マチは鉱石が好きだからだ「どれも良い品だな…」見極めている。特に星写しの魔鉱石に目をつけた「これは高純度の魔鉱石だな…しかも取れる場所がとにかく少ないんだ」(マチは石を見ているだけで楽しそうだなぁ…)マチは星写しの魔鉱石を買った。夜になると石の中に星座が写し出されるものだ。続いて紅茶の茶葉が売ってる店に来た。ジェイドが何かを買うらしい。「食べられるフルーツティー!?こんな物があるなんて…薔薇の紅茶もいい…買います!」こうしてジェイドは紅茶の茶葉を手に入れた。続いて向かったのはダリアの大好きなぬいぐるみの店だ「二ーブールのぬいぐるみ…可愛い…」二ーブールは主に綺麗な川に生息する動物で、カワウソに少し似ているのだ 。ダリアは二ーブールのぬいぐるみを購入し、とても満足そうな顔をした「よし、そろそろギルドに戻ろうかな」「ご主人は何も見なくていいのか?」「私はみんなの幸せそうな顔が見れて満足だよ」そ
翌朝くしゅんっとジェイドが朝から何度もくしゃみをしている「大丈夫?」「はい、これぐらい大丈夫ですよ」ズビッ「具合が悪いなら早めに言え」「いいえ、具合悪いなんてことありませんよ」ズビッなんだか様子がおかしいが、朝ごはんはパンとべーコンエッグに豆スープをしっかり食べたのだが、昼頃…「う、頭が…」「ジェイド、顔赤いよ?熱測るから」マリはおでこに手の甲をくっつける「うん熱がある。ジェイド、寝てなきゃダメだよ」「うう…」ぐすっジェイドは熱を出すとなぜか涙が止まらなくなる「大丈夫だよ、見た感じただの風邪だから。風邪薬作るからね」マリは本を見ながら万能風邪薬を作り始めた「えっと、ムーンウォーター、古代樹の葉、夜行茸、コガネハッカ、ハツカヨモギに巻きサソリっと」鍋に次々と材料を入れていく。ボコボコと泡が立つ音がする「ジェイドさんは大丈夫なのか」「うん、大丈夫だよ。この薬を飲んで1日寝ていれば治るから」「そうか」マチもなんだかんだ言って心配しているようだ。マリはすりおろしたボガルンダをジェイドの元へ持っていき「ジェイド、起きて食べれる?」「うぅ…マリ様…」完全に弱りきったジェイドがゆったりと体を起こした「薬はもうすぐで出来るからね。ほら、あーん」もぐっ…「あ…ありがとうございます」ズビッ赤い顔が更に赤くなった「ご主人…薬が出来たぞ…………食わせて貰いやがって…」ボソッ「あ、マチありがと。ジェイド、全部食べれそうになかったら先に薬飲もう?」「はい…」マリは茶色の薬を飲ませる。とても苦そうだが良薬口に苦し、だ「ゴホゴホッ」「大丈夫?ゆっくりでいいから」なんとか全部飲みきって、マリがまたジェイドを寝かせた「明日には良くなってると思うよ」「すみません…ううぅ…」大粒の涙がジェイドの顔を濡らす。熱を出すとまるで子供のように必ず泣いてしまう。生理現象なのだろ「大丈夫、眠れるまでここにいてあげるよ」 結果、3分くらいで眠りに落ちたジェイド。気づけば朝からどたばたしていた「ご主人は大丈夫か、疲れてないか」「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」絶対に良くなるから頑張れ…ジェイド、あと少しの辛抱だ~「マリ様のおかげですごく元気になりました!昨日はご心配とご迷惑をおかけしました…」「治ってよかったね」「はぁ…よか
「そうだ、お昼ご飯食べていこうか」この村には人気の店がある。その名はジョリアン。モンテナ牛のハンバーグがとにかく美味いのだ「いらっしゃいませ、こちらへどうぞー」若い女性のウェイターさん、珍しく人間だ。 席に座るや否や「すみません、モンテナハンバーグ3人分ください」「かしこまりました」「ここのハンバーグ、本当に美味しいからね、一度食べたらやみつきになる」「確かに美味いよな」「匂いだけでパンが食べられそうです」ここのシェフはエルフで、500年間世界中の料理修行をして結果ハンバーグに辿り着いたらしい。ただのハンバーグ好きだ。「お待たせいたしました」鉄板に乗った大きなデミグラスソースのハンバーグとバケットが出された。湯気が上がり、ジューっと焼ける音がする「いただきます!」とても熱そうだが、熱いうちに食べなければ美味しさが逃げてしまう。切れ込みを入れただけでハンバーグから肉汁が出てくる出てくる。あむっと口の中に入れると肉汁が飲めるほどに出てきて、それでいてふわふわの食感、デミグラスソースのコクと味の深さ「んんー!美味っしい、たまんない!」「ぐ、肉汁がすごいな」「うわぁ口の中でとろけていきますー!」固いバケットが油の多いハンバーグとよく合う。3人はそのまま一言も喋らず黙々とハンバーグを食べたのだった。店を出たあともしばらく多幸感に包まれていた「はぁ…美味しかったなぁ」「まぁ、ご主人の作った料理には叶わんがな」「ん、そうですね。マリ様の料理がいちばん美味しいですから!」「んんー。そう言って貰えると嬉しい…な」ちょっと照れるマリ。その顔をガン見する2人。そうこうしているうちに日が暮れ、転送魔法で家に帰ってきた「今日はいろいろあって楽しかったなー」「本も買えたし、ご主人には思いがけないプレゼントを貰ったしな」「本当に嬉しいです、ありがとうございます」「いいよ、いいよ。2人からお返しのプレゼント貰っちゃったし」何だか、たまに村へ遊びに行くのも悪くないと思えるマリだった~翌日そろそろ雪が降る頃だろうと、マリ達はある準備をしていた。「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー」マリは思わず歌ってしまう。そう、クリスマスだ。クリスマスツリーやリースなどの飾り付けをしていたのだ。サンタさんは来ないから、3人でそれぞれ好きな物を