تسجيل الدخول「レイ!本当にレイなのね!?久しぶり!なんでこんな所に?」 お互い予想出来なかった再会に、レイの手を握り大はしゃぎするルヴィーネことルヴィ。 レイも同じく内心では歓喜していたが、それと同じ位に困惑しており、思わず口を開いた。「確かに久しぶりね。一目見た時分からなかった……」 そう言いながら改めてルヴィを見ると、ここ数年でかなり大人びた様に思える。 顔立ちは大人の女性という感じに育ちつつ、以前からあった可愛らしさはしっかりと残っている。 どちらかと言うと、綺麗というより可愛いという表現が似合う、そんな印象を受けた。 レイが可愛いよりも綺麗という印象を受けがちな顔立ち故に、それが少し羨ましく感じるのだった。 しかし何よりも羨ましい、いや、寧ろ妬ましく感じるのはその豊満に育った胸だ。 レイも決して小さくは無いのだが、ルヴィと比べると明らかに格差が見受けられる。(でも常に彼女達を見てるからか、そこまで驚きはしないわね) 内心でそう独り言ちて、横目でランシュとフィオを見るレイ。 族獣人だからか、ランシュはレイが出会った女性の中で2番目にスタイルが良く、フィオは人族森故に顔立ちがとても良い。 お陰で、美少女に対する耐性が付いていると自負していた。 まぁ、レイ自身もその美少女の内に入っているのだが……「レイ?」「あ、あぁごめんなさい。あまりに綺麗になってたから思わず見惚れちゃったわ」 しかし自分には無い物には目を惹かれるのが、人間の性というものだろう。 思わず胸に視線が釘付けになっていたレイが、ルヴィの声で我へと帰る。「と、突然何言い出すのよ。美少女が言ったところで皮肉にしか聞こえないわ」 いきなりの賛辞に思わず照れつつ、レイをジト目で見つめ返すルヴィ。 隣の芝生は青いという事だろう。 ルヴィもレイに対して、嫉妬の感情を抱いていたのだった。 そんな些細な事に少し嬉しくなりつつ
最悪の想像に反して、3日後。 天気は今までの荒れ模様が嘘の様に晴れ渡り、無事に北への船が出港した。 レイ達3人は予定通り早朝の便に乗り込み、その日の夕方頃、セプテリオ大陸へと辿り着いたのだった。 現在は北の玄関口と言われる唯一の港町、そこに存在するギルドに居た。「えっと……今居るこの港町を含む、北の大部分を治めているのがノスエラ王国なのよね?そしてその周囲に数か国が存在しているという状況が、今の北の情勢と」「そうだね。だからアタシ達はとりあえず、ノスエラ王国の王都を目指す形になるかな」 ギルドに備え付けられているセプテリオ大陸の地図を眺めながらレイが言い、フィオがそれに同意する。 ノスエラ王国。 遥か昔に北のほぼ全てを掌握し、今尚その統治が続いている大国。 この港町を含め、北の主要な場所はほぼノスエラ王国が支配していた。 更に北のほぼ全ての小国とも良好な関係を築いており、実質セプテリオ大陸の全てを手中に治めていると言っても過言では無い程の王国である。「という事は、あの遠くに見えたお城まで行かなきゃいけないという訳ね……この雪の中だと、結構時間が掛かりそうね」 そう言ってレイは、船から降りた直後の事を思い出す。 目の前に広がったのは港町の喧騒。 そして、その遥か後方に立派に聳え立つ王城が見て取れる。 更にその背を守る様に、城よりも遥かに大きな山脈が並んでいた。(この地図を見る限り、あの山々が北大陸の最北端なんでしょうね。なるほど。確かにあの天然の防壁があれば、後方からの奇襲を警戒する必要も無い訳ね) 地形を利用しながら、最適な場所に王都を置く。 過去のノスエラ王は、確かに賢王だったのだろうとレイは想像する。 しかし、今はそれが仇となった。 現在、レイ達が居る港町は北大陸の南端。 そこからほぼ北端まで縦断するとなると、かなりの時間を要するのは一目瞭然。 幸い、目視出来る事から、北大陸の面積はそれ程大きくは無い。
アーゼストには大小様々な大陸や島が存在する。 その中でも中央に位置し、最大の大きさを誇るメディン大陸を基点とし。 1番西がズィーア大陸だとするなら、今レイ達が目指している大陸は1番北の大陸であった。 名をセプテリオ大陸。 通称、北や北大陸と呼ばれる地である。 特徴としては、人類が生活している中で最北端の場所であり、更に大陸の北側は険しい山々が連なっているという点が挙げられる。 しかし最大の特徴は、常に雪が降り続けるという所だろうか。 その所為で、昔から他の大陸との交易は薄くなり、更に大陸内でも閉鎖的になりがちだった。 だが、今では1つの大きな国がこの北大陸をほぼ掌握し、他大陸の国々とも国交も進んでいる為、船の行き来は定期的に行われている。 しかしそれも通常の時であれば、という但し書きが付く。 だからこそ、レイ達はここで立ち往生を余儀なくされたのであった。「まさか2日間も船を出せないなんてね」 少し意気消沈した面持ちでそう言うレイ。 それに苦笑いしながらフィオが答える。「しょうがないよ、こんな天気じゃね……」 フィオの目線を追いレイも窓の外を見ると、そこは吹雪に覆われた景色が広がっていた。 強風で窓は揺れ、視界はほんの少し先も見えない程に悪い。 レイ達は今、中央から北へ渡る為の船を出している、港町に来ていた。 猛吹雪の中ようやく辿り着き、受付をしようとした所、2日は出せないと言われたのだ。 どうやら運悪く、雪が激しくなる時期に着いてしまったらしい。 まさか北大陸だけでなく、この中央まで影響が及んでいるとは、レイは想像もしていなかった。 毎年の事なので、周りの人々は慣れた様子で受付しているが、初めてのレイには何もかもが驚きの連続である。 そもそも嫌な予感はしていたのだ。 この港町に近付くにつれ、気温はどんどん下がり、終いには雪が降ってくるようになった。 始めは、雪を初めて見るレイもはしゃいでいたのだが、ここに辿り着く頃には、疲労困憊とし
デミーラ共和国での祭りを終えて、翌日早朝。 まだ日も登りきらぬ時間に、街を歩くレイ達4人の姿があった。 旅支度終えた一行が、次なる目的地へと移動していた為である。 何故一行がこんな朝早くから行動しているのか、それには訳が有る。 それは祭りでの事。 レイ達が再び旅に出ると、ディードが国民に口を滑らせてしまったのだ。 これに国民が猛反発。 国を救った英雄が早々に国を発つと聞き、祭りは一時騒然。 ディードの説得の甲斐あって反発は鎮静化したが、それでも見送りはさせて欲しいと多数の声が上がった。 これに、目立つのを嫌うニイルが難色を示した結果である。 流石に見送られるのは恥ずかしいとレイも反対した事から、逃げる様にデミーラ共和国を後にする事となった。 それを予期していたのか、ディードと腹心のベスタだけは見送りに来たのだったが。「それでも、ここまで徹底して逃げる様に去ると……何だか悪い事をしているみたいね」 「そもそも『柒翼』の存在そのものが裏社会の存在。それを追っているとなれば必然、私達も大手を振って旅をするのは難しいでしょう」 苦笑しつつ言うレイに、ニイルが答える。 確かにニイルの言っている事は一理有るが、事情を知らない者達からすればそんな事は関係無い。 国民一同が迎い入れてくれるだろうし、ディードも歓迎するだろう。 理由を上手くすり替えたな、と内心で呆れるレイ。 それを察知したのか、ニイルが半眼でレイを見る。 「どこにルエルの目が有るかも分かりませんし、時間を掛ければ奴が回復する機会を与える事になります。最初は貴女も焦っていたでしょう?」 「そうなのだけれど……だからってこんな風に居なくなっては少し可愛そうじゃない。それに、まだ船だって動いていない時間なのよ?これじゃどちらにしろ、時間に変わりは無いんじゃないかしら?」 ニイルの言葉に、レイも自身の考えをぶつける。 この国を気に入り、もう少し観光したい気持ちは確かに有った。 それ故にレイにしては珍しく、のんびりとした提案だったのだが、しかしそれだけが理由では無い。 レイの言う通り、まだ船が動いていないのだ。 これではどちらにせよ、船場で立ち往生を食らうのは目に見えている。 せめてもう少し遅い時間でも良かったのでは、と思わざるを得なかっ
遥か昔。 永きを生きる吾輩でさえ、そう感じる程の昔に彼奴と出会った。 見た目は、ただの人間の男にしか見えなかった。 しかし、彼奴が纏う雰囲気は我々以上のもので。 生まれて初めて、相手に対し畏怖というモノを覚えたのを記憶している。 そんな彼奴との初邂逅は、中々に最悪なものだった。 何せ初対面の筈が、一触即発の雰囲気を醸し出していたから。 どうやら彼奴が、吾輩の事を因縁の相手と勘違いしていたらしい。 理由を訊くと、彼奴の妹を呪った相手と、吾輩の特徴が似ていたのだとか。 何とか戦いを避けて誤解を解いたのだが、あれ程申し訳なさそうにしていた彼奴を見るのは、後にも先にもあの時しかないだろう。 今、思い返すだけでも笑いが込み上げてくる。 吾輩は全く気にして無いのだが、どうやら彼奴はその時の事をずっと引きずっている様だった。 だからだろうか。 気にする事はないという意味も込めて、奴の力になりたいと思うようになったのは。 そんな彼奴が吾輩に接触してきた理由。 1つは呪いの事だったが、本命は戦力を集めているとの事だった。 とある切っ掛けによりこの世界の仕組みを知り、それを壊す為の戦争を仕掛けるのだと。 確かに、この世界は人間に過酷な運命を強いる。 かつてはそれに同情の念を抱いた事もあったが、しかしそれを改善しようと考えた事は無かった。 何せ他人事であるし、何より相手が強大過ぎたから。 如何に敗北を知らない屈強な戦士である吾輩とて、確実に勝てないと思える相手は存在する。 しかもそれが複数居るのだ。 そんな奴等に戦争を仕掛けようなど、無謀を超えて自殺願望としか思えない。 吾輩も最初は笑った。 そんな与太話には付き合えない、と。 しかし、彼奴の実力を目の当たりにして知ったのだ。 彼奴さえいれば勝てる、そう思わせる程の力を持つ者が存在するのだと。 吾輩を仲間に引き入れた彼奴は、順調に戦力を増やし続けた。 この世界は広いが、吾輩達にとっては狭い。 見知った顔も大勢居ったし、敵方に与する者も居た。 しかしどんなに戦力を増やそうと、彼奴1人で全てが片付くと誰もが考えていたに違いない。 そう、あの時までは。 ある日、とある場所で戦争が起こった。 それ
時は少し遡り、レイ達が初めて『神喰の巨狼』と出会った日の夜。 別室でレイ達が寝静まる中、ふとフェンリルは目を覚ました。【ふぁ〜あ。来ると思ってたよ。早めに寝て正解だったね】 誰も居ないと思われた部屋の中で、1人呟くフェンリル。 しかし、そんな言葉に暗闇から返事が返ってきた。「起こして悪かったな。だが、話すなら今しか無かった。そうだろ?」 そう言いつつ姿を見せるニイルに、確かにと笑うフェンリル。 ニイルの言う通り、フェンリルも他人に、特に森人族に話を聞かれる訳にはいかなかったので、文句を言う事はしない。「それに、お前のそんな姿を見てられなかったというのも有る。お前、魔力が回復した端から使ってるだろう?」 【バレたか……そうだね。この森、いや、この国を守る為に色々してたんだけど、今回は流石に手が回らなかったよ】 ニイルがフェンリルに触れながら言う。 ニイルにはその特殊な眼が無くとも、鋭い洞察力で隠し事は出来ないと、昔からの付き合いで知っていた。 故にフェンリルも正直に打ち明ける。 その瞬間、ニイルから膨大な魔力がフェンリルへと流れ込んで来た。【今までも似た様な事はあったんだけどね。今回は相手が『幻想種』で、しかも本体は海に潜んでるときた。姿を表せば倒せたかもだけど、魔獣を生み出すばかりで、それらを倒してもキリが無い。実の所、多勢に無勢で追い込まれてたんだよね】 「だろうな。そんな状態では索敵もままならんかっただろう?寧ろ、良くここまで被害を抑えたものだ」 魔力を流され、安らかな顔をしていたフェンリルだったが、ニイルの言葉で悲しげに曇る。 そして、首を横に振りながら答えた。 【いや、かなりの人数の亜人達が犠牲になった。僕がもっとしっかりしていれば、こうはならなかったろうに】 「今はもう、この世界を生きている者達がなるべく何とかするべきだろう。俺達の様な人外がしゃしゃり出るべきじゃない」 【それにしては、随分あの人間を気にかけてるみたいじゃないか?相変わらず君は優しいよね】 そう言うフェンリルに、不貞腐れた様な顔で黙り込むニイル。 それにフェンリルが笑った。 【まぁでも、君の言う事も一理有る。だけど彼らは命の恩人でね。そんな風に切り捨てられなかったんだよ】 遠い過去に想いを
「本当にそんな魔法あんのか?俺は魔法には詳しくねぇが、そんなのがあるならあの『傲慢』野郎が黙ってねぇぞ?」「残念ながら、その『傲慢』を追い詰めたのがこの魔法よ。だから威力も保証するわ」 ニイルから作戦内容を聞き、にわかには信じがたいと言うディードに、レイが反論する。 序列大会の時を思い出しながらレイが語ると、それに思わずといった様子でディードが吹き出す。「うはは!マジかよ!?そりゃあの腹黒もテンパったろうなぁ!その時の奴の顔を拝みたかったぜ!」 その様子に、ルエルの嫌われようを垣間見て笑みが溢れそうになるレイ。
ディードが『神性』を解放すると同時に、彼から絶大な圧力が吹き荒れる。 それは共闘している筈のレイにまで影響し、まるで力が抜けていく様な錯覚すら覚える程。(いや違う!これは……!)「レイ、離れますよ!」 それに違和感を感じた時、ニイルがレイへと叫ぶ。 咄嗟に2人がディードから離れ、その違和感の正体を確かめるべくレイはディードを視た。「今まで視えてなかった様ですが、これで分かりましたか?」「えぇそうね……これは、私
「まさか本当にすぐ出発するなんて思いもよらなかったわ……」 呆れを滲ませて言うレイ達が居るのは海上のとある船。 あの後、半ば連行される様に船へと案内され、そのまま即座に出港したのである。「以前屋敷のメイドから聞いた通り、随分と自由奔放な人物の様ですね」 これにはニイルも苦笑しながら答えるしかない。 2人共早期解決を目指して行動していたが、まさかそのまま直ぐに現場に連れ出されると思っていなかった。 しかもこの国の頭首に連れられて、である。 本来なら軍を編成し、国のトップは有事の際の対応の為、国に残るのが必定と考えていただけに、全てが想定外に進んでいる現状に困
レイの叫びと共に瞳が黒く染まる。 それと同時にレイにしては珍しく、空中に魔法陣を展開していく。 その数は次第に増していき、ほんの1分足らずで視界を覆い尽くす程にまで膨れ上がった。「おいおい……こいつぁ……」 魔法に疎い獣人族であるディードでも流石に分かる。 レイが行おうとしているのは『大規模魔法』だと言う事に。 大規模魔法とは、複数の魔法師達で構成する魔法の事である。 その名の通り大規模故、1人では到底処理しきれず複数人を必要とし、各々が作り上げた魔法陣を組み合わせ1つの魔法とする、そのほとんどが広域殲滅用として使われる魔法だ。 遥か昔に起こったとい







