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ピロトーク:揺れる想い⑦

Auteur: 相沢蒼依
last update Date de publication: 2025-07-27 13:48:37

***

 いい加減、機嫌直ってくれないかな。電話から既に30分以上は経過してるのに……周防さんの家から歩いて帰る道すがら、不機嫌上等と書いた顔の郁也さんを、ちらりと横目で見やる。

「手がかりは少ないけど太郎くん、早く見つかるといいね」

「ああ……」

(なにを言っても不機嫌なままか。悶々とムダなことを考えているのなら、吐き出させるのみ!)

「あのさ郁也さん、なにに対して、腹が立ってるの?」

「全部」

 ――あ、あの。それじゃあ僕の質問に、答えていないのでは。

「そのすべての中から、一番って決められない?」

 恐るおそる訊ねてみると、顎に手を当てて一応考えてくれた。

「アイツの存在、そのものがイヤだからな。言われたこと全部が、ムカつくんだよ」

「あのね郁也さん、稜さんは冗談で言ってるんだよ。しかも今回は、周防さんのことを頼んでいるんだから、僕たちは低姿勢でいなきゃダメなんだってば」

「しょうがないだろ。お前に関しての冗談なんて、受け流せるワケないって。絶対にガマンができない」

「でも……」

「あの男が平気で3Pだの、スワッピングだの言うたびに、その絵が頭の中に浮かぶんだ。想像だけで、気が
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  • ピロトークを聞きながら   ピロトーク:絡まる意図②

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     こんなふうに泣くヤツじゃないのに、それだけつらい想いをしているんだろう。「いつもタイミングの悪い、手遅れな恋ばかりして……」 手遅れな恋――俺にも太郎にも、そんな恋をしてしまった周防。なにか声をかけてやりたいのに、またしてもうまい言葉が出てこない。「手遅れなんかじゃない! まだ、はじまってもいないじゃないか!!」「……涼一くん?」 涼一が珍しく声を荒げて、周防に言い放った。「太郎くんのことが好きなんでしょ? 簡単に諦めていいの?」「だってアイツの本名もなにもかも、知らないことだらけんだ。それに――」 俺は周防を助けたい、大事な親友だから。「らしくないぞ周防。お前もっと、ガ

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