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2-70.鬼子とヒダル(2/3)

last update تاريخ النشر: 2025-09-16 18:00:48

 冬凪が草陰の怪しげな姿を指して、

「あの人知ってる」

言った。向こうもそれに気づいて大きな木の後ろに隠れたけれど、あたしにもその顔がハッキリと分かるくらい緩慢な動作だった。まるで見られても平気と言っているよう。

「誰なの?」

そっちをじっと見つめる冬凪に聞いた。

「知り合い。以前は鬼子だった人。あの人はずいぶん前にヒダルに取り憑かれてしまった」

クロエちゃんがさらに付けてして、

「きっと宿主の体がそろそろ死ぬから次の体を探しているんだよ」

クロエちゃんは山道を歩きながら鬼子とヒダルの関係を話してくれた。

行旅死亡人の残留思念と言われるヒダルは、他人の魂を吸い取って体を乗っ取り、その人に成り代わる人外だ。それに対し鬼子の魂は、舟にのる人のように体から体を乗り変えて前世、現世、来世と生まれ変わってゆく。それは鬼子の体が魂の入れ物を意味するけど、ヒダルにしてみれば乗っ取りやすい存在となって鬼子に群がるらしい。これまで多くの鬼子がヒダルに体を乗っ取られてきたため、鬼子の最後はヒダルと諦めてしまって
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  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   エピローグ 鈴風の物語 十六夜との約束(2/3)

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  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   3-117.みんなが優しい世界を(3/4)

     孟宗竹の道をしばらく行くと、爆心地があったらちょうど端のあたりに瓦葺きの古そうなお屋敷があった。腰くらいの高さの垣根に白い花がビッシリと咲いていて甘いクチナシの香りがただよっている。「旧千福家だよ」 冬凪が言った。 水が打たれた石畳を歩いて玄関前まで行くと格子の扉が開いた。玄関の板の間に和服の女性が正座して頭を下げていた。「千福楼へようこそいらっしゃいました」 頭を上げた顔を見たら千福ミワさんだった。「あの千福ミワさんですよね」「はい、私が千福楼の女将、ミワでございます。さ、遠くからお疲れでしょう? お上がりになって我が宿でおくつろぎください」 いそいそとスリッパを並べるミワさんを見ながら、「千福家って旅館だったの?」 冬凪に聞くと、「違うはずだけど」 なんか様子が変だけどノリで付き合うことにする。「みんなあがろう」 それぞれスリッパに履き替えてミワさんに先導されながら長い廊下をすすむ。「辻沢女子高のみなさまには、毎年修学旅行で使っていただいてますんですよ。はい、みなさまのお召し物で分りました」 ミワさんすっかり旅館の女将だ。「京都は人が多いですね」「この時期は特に混雑しておりまして、お客様にはほんとうにご苦労おかけしまして」 と恐縮して言うけれど、思いつきで言った京都がミワさんのツボに嵌まったらしく、それからずっと京都観光案内をしてくれた。「ここ京都?」「辻沢だから」 それからずいぶん歩いたけれど全然部屋に案内されない。どこまでも続く長い廊下をずっと歩いている。その先を見ると点になるほど廊下が続いていた。「ミワさん。まゆまゆさんに会いたいですよね」 本題を切り出してみた。すると周りの音がなくなって色が褪せ始めた。別世界にズレ込み始めたのだ。ミワさんもカチッとした女将姿ではなく、黒髪を垂

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     愛した人には誰もがきっとまた会える、だよね。ユウさん。背中のユウさんの重さを感じながら、前世でも現世でも来世でも、きっとユウさんとあたしは会い続けるんだろうと思った。「夏波、もう歩く」 ユウさんが背中で目を覚ましたようだった。「なんだ、この格好。辻女の制服じゃないか」 あたしの背中から降りたユウさんが自分の服装を見て言った。「いやだった?」「そんなことない。何年ぶりかって思って」「え、ユウさん辻女生だったの。じゃあ、あたしたちの先輩?」 冬凪も知らなかったらしい。「そうだよ。悪いか?」「ううん。学校行ってたんだって」「あれを行ってたといえればだが」 「ユウさんは優等生でしたよ」 今度は冬凪の背中の高倉さんが目を覚ましたようだった。「盗んだバイクで走り出したと思ったら猛スピードで壁に激突して無傷だったんです」 あ、軽いデジャヴュが。それなんか覚えてるっぽい。「あら、私まで女学生にしていただいて」 高倉さんが自分の服装に気づいたよう。「和服のほうが良かったですか?」「いいえ。一度着てみたかったんです。私がデザインしたものなのに着られてなかったものですから」 辻女の制服デザインしたの宮木野だった。それでちょっと古くさ(ry。(死語構文) 冬凪、鈴風、ユウさん、高倉さん、あたしの5人は、古き良き辻沢の街を歩きながら目的地に向った。途中は高倉さんの止まらない面白話でまったく退屈しなかった。やがてあたしたちは辻沢の南に位置する辻沢発祥の地、六道辻に着いたのだった。六道辻のバス停から孟宗竹の中を真っ直ぐに伸びる道の先に、大事な人たちはいる。「行こう。千福|母子《おやこ》の元へ」 冬凪とあたしは、千福みわさん。千福まゆまゆ、茉優奈《まゆな》ちゃんと茉優乃《まゆの》の双子の姉妹。三人を会わせる約束を果たすためにここに戻ってきた。

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   2-45.響先生(1/3)

     響先生の車が停まったのは、来る時に見た小爆心地の屋敷跡の前だった。「行ってみよう」 冬凪が早足でダラダラ坂を降りてゆくのであたしもその後について行く。「ねえ、響先生の車ってあんなだった?」 学校に乗ってくるのは紫色した正直だっさい軽自動車で、エンジンからしてボボボボと重低音のするあんなスポーツカーではなかった。「ちょ、隠れて」 って言われてもこんな高い垣根の間の一本道でそれは無理。それで冬凪と道の端にしゃがんで思いっきり体を縮めた。そうしてから道の先を見てみると、響先生の車が屋敷跡の前で切り返しをしていた。

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   2-44.回復の兆し(3/3)

    陽も落ちて暗くなった道を歩きながら、「とりあえずよかったね」冬凪が言ったけど、「そうなのかな?」順調すぎる気がしてかえって不安だった。そんなあたしを安心させるためだろう冬凪は、「十六夜も喜んでるみたいだし」と右手の薬指を見つめながら言ったのだった。なら心配ないかも。表に出てだらだら坂と反対方向に歩き出した時、前から来た車にクラクションを鳴らされた。別に道の真ん中を歩いているわけでないのにとヘッドライトを睨みつけてやると、その高級国産スポーツカーは、そのまま行ってしまうと思ったのに、スルスルと近づいて来てあ

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   2-44.回復の兆し(2/3)

     高倉さんとあたしのやりとりを聞いていた冬凪が、十六夜の左手に自分の右手を添え目の高さに持ち上げて言った。「エニシ、ちゃんと繋がってる」 あたしには見えないけれど、冬凪の薬指と十六夜の薬指とを結ぶ赤い絆のことを言っているのだ。「十六夜のことが分からなくなる時があったから切れかけてるのかと思って」「エニシって切れることもあるの?」「わからない。前世、現世、来世を越えるって言われているけど」 それって死んでも切れないってことなんじゃ? あたしは自分の手を見てみた。そこにはなんの縛りもないただの薬指がついていた。

  • ボクらは庭師になりたかった~鬼子の女子高生が未来の神話になるとか草生える(死語構文)   2-44.回復の兆し(1/3)

     十六夜の部屋の扉の前で中に入れずにいたあたしの背中を押してくれたのは冬凪だった。 「大丈夫。あたしがついてる」 「ありがとう」  冬凪に付いてきて貰って本当によかった。昨日の夜、高倉さんから連絡を貰ったとき最初は一人で来るつもりだった。でもその選択はよくないことだと心の底の声が言っていたから冬凪の部屋をノックしたのだった。冬凪とあたしは一緒でなければダメだから。  部屋の中は、前に連れてこられた時よりもガランとしていた。あたしが寝かされていたお姫様ベッドがなかった。十六夜の勉強机やモニター類もなかった。主のいない寝室は控え室におとしめられていた。

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