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第661話

作者: 北野 艾
「じゃあ聞くけど、私がどうして見張ってるのか分かってる?」

「……」

正論を突きつけられると、初恵はぐうの音も出ない。観念したように肩を落とし、大人しく居候生活を受け入れた。

最後の一枚にサインを終えると、詩織は腕時計を一瞥した。「さて、時間ね。病院に行きましょう。今日は術後の定期検診よ」

検査結果は極めて良好だった。詩織は胸を撫でおろし、その足で母の以前のアパートへ立ち寄ることにした。冬物の衣類など、必要な私物をいくつか持ち出すためだ。

マンションのエントランスで、偶然にも隣人の鈴木おばあちゃんに出くわした。

なぜか鈴木おばあちゃんの顔は煤(すす)で黒く汚れており、きな臭い匂いが漂っている。

初恵が驚いて事情を尋ねると、鈴木おばあちゃんは溜息交じりに答えた。

「いやだねえ、台所のコンセントから火が出ちゃってさ、ボヤ騒ぎよ」

幸い、同居している息子夫婦がすぐに消火したため、大事には至らなかったらしい。初恵は心配そうに、「古い配線やコンセントは早めに取り替えないと危ないわよ」と注意を促した。

鈴木おばあちゃんはしきりに頷き、後悔しきりの様子だ。

「本当だねえ。去年、
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