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第575話

Author: 大落
プールサイドでの出来事は鋭い棘のように、未央の心を深く突き刺した。

彼女は振り返りもせずにリゾートホテルを後にし、タクシーを拾って白鳥家の邸宅へ戻った。車の中で、博人の非難と失望に満ちた眼差しと、綾の涙をしながら密かに得意げな表情をしているのが脳裏に浮かんだ。

心は少しずつ冷たく、硬くなっていく。

彼女が抱いていたわずかな希望、彼の最近の変化に揺らいだ気持ちも、この瞬間に完全に消え去った。

7年もの間、彼は依然として彼女を信じていなかった。

何をしようが、どう説明しようが、他の女が彼の前で涙を見せ、一芝居を打てば彼は迷わず相手を信じ、全ての過失を彼女のせいにした。

そんな男と、彼との結婚は、もううんざりだ。

……

一方ホテルで、未央が去った後、プールサイドの空気は氷点下まで冷え込んだ。

理玖はまだ大声で泣きわめき「ママ」と叫び続けている。

博人の苛立ちは頂点に達していた。息子をなだめながら、隣で「驚いた」ふりをして涙をこぼした綾への対応にも追われた。

「西嶋社長、お助けいただきありがとうございます」バスタオルに包まれた綾の声は、計算された虚弱さと感謝の感情を帯びて
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