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れいな、回想す①

Author: 藍沢咲良
last update publish date: 2026-09-25 19:32:50

高校の教員は狭き門だ。高校の数自体、小中学校よりも少ない。そして年配者が引退しない。よって私達若手の席は限られる。

それでもこの翠嶺高校に家庭科教師として採用された。私がよっぽど優秀に見えたのか、可能性を信じてもらえたか、どちらかだろう。

彼氏の涼介は祝ってくれた。「れいななんかが高校教師になれるなんて世の中どうかしてる」と言いながらだけど。私が作った渾身のハンバーグをはじめとしたディナーを全部平らげてくれた。いつもは野菜を残すのに。この日だけは全部食べてくれた。嬉しかったな。

初めての家庭科の授業。この高校は偏差値の高い名門校なんだって、採用されてから知った。事前にググッとけば良かったのかもだけど、沢山面接受けてたんだからそんなことまでやってられなかった。困ったらいつも涼介が調べてくれるし。涼介は私に何でもしてくれる。

高偏差値の高校3年生が私に注目してる。私の話を静かに聞いている。何という高揚感。この子達は、私には到底入れないであろう、馬鹿みたいに高い偏差値の大学に行くんだろうに。なのにこの私の話を静かに聞くとか。ウケるんですけど。

この子達の成績、私がつけるんだって。私、やりた
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  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   れいな、回想す①

    高校の教員は狭き門だ。高校の数自体、小中学校よりも少ない。そして年配者が引退しない。よって私達若手の席は限られる。それでもこの翠嶺高校に家庭科教師として採用された。私がよっぽど優秀に見えたのか、可能性を信じてもらえたか、どちらかだろう。彼氏の涼介は祝ってくれた。「れいななんかが高校教師になれるなんて世の中どうかしてる」と言いながらだけど。私が作った渾身のハンバーグをはじめとしたディナーを全部平らげてくれた。いつもは野菜を残すのに。この日だけは全部食べてくれた。嬉しかったな。初めての家庭科の授業。この高校は偏差値の高い名門校なんだって、採用されてから知った。事前にググッとけば良かったのかもだけど、沢山面接受けてたんだからそんなことまでやってられなかった。困ったらいつも涼介が調べてくれるし。涼介は私に何でもしてくれる。高偏差値の高校3年生が私に注目してる。私の話を静かに聞いている。何という高揚感。この子達は、私には到底入れないであろう、馬鹿みたいに高い偏差値の大学に行くんだろうに。なのにこの私の話を静かに聞くとか。ウケるんですけど。この子達の成績、私がつけるんだって。私、やりたい放題じゃない?なんでだろう。なんか、うまくいかない。家庭科の授業、私が授業で説明する度に化粧の濃い女子達が茶々を入れる。授業が無いときは馴れ馴れしく話しかけてくるのに。授業になった途端、悪魔に思える。その取り巻きの男子も一緒になって騒ぐ。授業が進まない。一時間で終わるはずの内容なのに、もう3時間もかかっている。まずいと思う。教材研究が進まない要因のひとつが、鈴木先生だ。先生なんて付けたく無いけど、先輩教師だからしょうがない。この鈴木の執拗な長い長い嫌味と長い長い説教を喰らわされて、私の貴重な時間が削られる。30分で終わるときはまだマシだ。1時間も延々と説教を喰らわされたときは殺意を抱いた。ダメよ、ダメ。こんな鈴木みたいなゴミの為に、私の人生を棒に振ってはいけないわ。そう、私はじっと耐えるシンデレラ。じっと耐えていれば、いつか私のもとにも王子様が……。え?涼介は王子様じゃないのかって?王子様は姫の財布からお金抜かないでしょ。もう3度目だ。今朝、涼介が私の財布から万札を抜いている現場を押さえた。一緒に暮らしてるけど、もう限界なのかもしれない。モラハラ製造機って言われ

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   お蔵入りの危機?①

    うーん……。今回、これじゃ記事にならないわ。つまり、桐生くんの話をまとめるとですね。新卒ホヤホヤの可愛い家庭科の先生が生徒からも同僚教師からもいびられた。それを桐生くんが表に裏に助けていたと。彼女の愚痴も、家業の中華料理屋で一緒にご飯食べながら聞いていたと。だめだ。今回、だめだ。だって健全なんだもん。麻子さん達レベルの、あのドロドロ。あそこまでいかないと、ネット記事のPVは上がらない。そんな尊い青春エピソード、少女漫画の界隈ぐらいでしかウケないって。私の戦場はね、Yahoo!のネットニュースなの。そんな、砂糖菓子みたいな清い話、そもそもYahoo!に載らないって。ていうか週刊誌の記事としては清らか過ぎてアウト過ぎる。桐生くんだけから話を聞いているからダメなんだろうか。お相手にはまだこれからインタビューをするんだけど、そのれいな先生に聞いたら何か芳《こう》ばしい話が出てくるんだろうか。見た目は最高なんだけどな。長身の韓国風イケメンの高校3年生。家業の中華料理屋を手伝う健気さあり。そしていびられる新卒教師を鮮やかに助ける、もう少女漫画のヒーローじゃん?だめだ。考えれば考える程、今回の件は週刊誌に向かないじゃんよ。編集部はどうして、私にこの無双イケメン高校生にインタビューをさせたのだろうか。「檀れいなです。翠嶺《すいれい》高等学校で家庭科を教えています」「あ、あの。高校名まで仰って頂かなくて良かったんですよ」どうしてインタビューされる側ってこうも無防備なんだろうか。そういえば岳さんも大学名言っちゃってたな。「インタビュアーの里崎です。ええと……桐生絢斗さんとは」「高校の教師と生徒の関係です」ですよね。知ってる。「教師と生徒の関係なのに、人様に言えない関係になってしまいました」新卒で、お局様にいびられ。生徒に舐められ。更に生徒と恋愛関係とは。格好のスキャンダルよね。病んじゃう一歩手前じゃないの?「桐生さんから、仲良くなったきっかけまでは伺いました。今日は檀さんの視点をお伺い致します」今日もアフタヌーンティーだ。また?と思われてそうだけど、ホテルのラウンジの個室を取るにはアフタヌーンティーを注文するシステムにこのホテルはなっていた。つまり、こないだ桐生さんと食べたお肉のコース付きのアフタヌーンティー。そろそろ私、太るかも。産後の胃袋はいく

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   青春の1ページ?⑤

    「どうぞ。お疲れさまでした」 はいズッキュン‼︎何これ。れいなちゃん、首傾げと微笑みのダブルの攻撃で俺を殺しにかかってんの⁈可愛いだろ。あああ、動画撮りてえ。今の永久保存版だろ。『お疲れさまでした』って毎日れいなちゃんに言われたい人生だった。いや、その人生、実現できるか?「はい炒飯。お前、早めに上がってテスト勉強しろよ」「そのテスト前の受験生に店手伝わせてただろが」「ゔっ……し、心臓が」「そこ、押さえてんの頭な」くすくすと笑いながら餃子をほうばり、ぐびぐびとビールを飲んでいくれいなちゃん。思ってたより、飲みっぷりいいな。唇、エロいな。餃子を食べてるだけなのにそれを連想するとか俺が溜まってんのかな。それともれいなちゃんが誘ってんのか。このまま、酔い潰して……なんて妄想は、妄想の中だけにしないとな。俺は狼じゃない。紳士だ。少なくとも、れいなちゃんの前では。でも妄想の中なら許されるか?その服の中のホック外してえ……。柔らかいんだろうな。先は硬くて。揉みしだいて咥えて吸って。れいなちゃんのいいところ、全部探してやりてえ。「仲良しなのね」「悪くはないですね。れいなちゃん、この店初めて?」俺が知る限り、れいなちゃんは今までこの店に来たことが無い。俺が彼女を紳士的な表情で見つめながら、脳内で服を全て剥いでるなんて伝わらない。全身舐め回したら、どんな声を出すんだろうか。「うん、初めて。でも前から通りかかる度に気になってたの」「美味しいでしょ、ねえちゃん」親父、馴れ馴れしいな。れいなちゃんは俺がロックオンしてんの。彼女を脳内で裸にしていいのも、俺だけなの。「親父、れいなちゃんは先生だよ」「えっ!おま……先生にちゃん付けって」「いいんですよ。私がまだ頼りないから」れいなちゃんは困ったような顔で笑った。その笑顔も保存したい。「らっしゃいせー!あ、れいなちゃん!」「こんばんは」あれかられいなちゃんは、ちょくちょくうちの店に来るようになった。れいなちゃんが来るかもしれないなら、と俺は可能な限り20時まで店を手伝うことにした。勿論時給ありで。20時前後にれいなちゃんはやってくる。俺が手伝い上がってまかないを食べる時間もほぼ同じ。れいなちゃんが来る日、俺はちゃっかりれいなちゃんの隣で賄いを食べた。瓶ビール一本で少し酔ってしまうれいなちゃんは、授業中よ

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   青春の1ページ?④

    ──まただ。今日は清也も龍樹もしつこいな。授業中、れいなちゃんが表情を曇らせることが増えた。それに気付いた化粧の濃い……えっと……駄目だ、興味の無い女達の名前って、本当に覚えられないな。とにかくそいつらが、れいなちゃんの表情が曇ったことに気付いてしまい、更に騒ぐようになった。れいなちゃんの言葉が止まった。まずい。れいなちゃん、泣くかも。「早く授業続けてくださいよー」「あれえ?せんせー、ちょっと泣きそうじゃん?」もう我慢の限界だ。「うるせえ‼︎」教室内に静寂が訪れた。誰も声を発しない。半泣きのれいなちゃんは目を丸くして俺を見ている。そんなのどうでもいい。「お前らさ……」俺史上、一番低い声が喉奥から響いた。「高校3年にもなって何やってんの?先生いびって授業止めるとか、意味の無い時間強制的に作んのほんとやめて。不愉快」化粧の濃い女達と清也と龍樹に、またしても俺史上一番冷たい視線を喰らわす。「本気で軽蔑するわ。俺、お前らと友達やめた方がいい?」「ご、ごめ、なさ、い……」化粧の濃い女が──やっぱりどうしても名前が思い出せない──俺に向かって謝ろうとする。「謝る相手違うだろ‼︎」声を荒げる俺に、化粧の濃い女達の目から涙が出た。マスカラが溶けてる。余計不細工じゃん。顔洗えよ。「ありがとうございましたー!」「おう!絢斗くん勉強頑張れよー!」丼を下げ、皿を重ねる。油っぽいテーブルを拭くのは慣れている。小学生の頃から手伝わされているからな。俺高校3年生で受験生なんですけど。受験生に店手伝わせるってうちの親はどうなってんだ全く。「絢斗、5番さんの餃子ね」カウンターに置かれた餃子2人前を5番テーブルに運ぶ。「なあ、親父。俺来週テストなんだけど」「あ、ああ……。うーん、8時までは頑張ってくれんか」「……時給上乗せね」「けっちいこと言うなよ」「どっちが」俺の家は町中華を営んでいる。母親は俺が小学生の頃に病気で亡くなった。再婚する気は無いらしい親父と俺だけで店を回している。繁盛してるんだから、バイトぐらい雇えばいいのに。店の引き戸が開いた。「らっしゃいせー!」おやっさんばっかりが常連のこの店には珍しく、若い女性が入ってきた。ひとりで。一瞬、店中の客が色めきだったのがわかった。「え……?」れいなちゃんだった。客がおっさんばっかであ

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   青春の1ページ?③

    ──あれ?視線の先にれいなちゃんと食物科の教師の鈴木が話し込んでいた。この学校は普通科と理数科と食物科がある。鈴木は食物科の女子達からものすごく評判の悪い教師だ。鈴木に睨まれたとか、嫌味言われたとか、ネタは豊富だ。れいなちゃんと鈴木は話し込んでいたというよりは、鈴木がれいなちゃんにガミガミ……じゃないな、ねちねち言っているように見えた。「だからあなたはダメなのよ。出来てると思ってるんだろうけど、出来てないんだよ……」うわー。鈴木はキツくてワガママなくせにすぐ泣く、めんどくさいので有名なおばさんだ。どうやらバツイチらしい。化粧の濃い女達の情報だ。泣きそうな顔をしながらも、涙をぐっと堪えてるれいなちゃんは、もう限界かもしれない。「檀せんせー、俺ちょっと聞きたいことがあってえー」顔をあげたれいなちゃんはきりっと先生の顔になっていた。何だよ。さっきまで泣きそうだったのに。でもれいなちゃんを鈴木から救出するのが先だ。「……じゃあ、家庭科教官室へ」「えー、でも俺の教科書教室にあるからさ」「わかった。教室ね。では、鈴木先生」「いいから早く行きなさい」面白くなさそうな鈴木は、しっしっとでも言うように、顎で教室のある方向を示した。「……で。聞きたいことって?」「えーっと。何だったっけな」れいなちゃんを鈴木から救出したいだけだった。聞きたいことか……。うーん。どうしようか。神妙そうに俺の隣で廊下を歩くれいなちゃんは可愛い。自分の身長が伸びていくと、世の女の子達がこんなに小さく可愛かったのかと気付いた。れいなちゃんは特に、先生であるはずなのに可愛い。他の先生達より歳が近いからか。「れいなちゃんは投資とかやってんの?」「へ?」しまった。質問おかしかったか。眉を上げ、目を見開き、少し気の抜けたこの顔も、頬をそっと撫でたいぐらいの可愛さだ。「やってないけど」「投資語ってたじゃん

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   青春の1ページ?②

    桐生くんは瞬く間に前菜の皿を空にした。私、まだ1皿目をもぐもぐしてるんですけど。もしかして、アフタヌーンティーって女同士じゃないと成り立たないのか?そういえば健次郎をアフタヌーンティーに誘ったら渋い顔をされたことがある。お腹がいっぱいにならないかも疑惑か。「ええと。桐生さんは壇さんとは……」「俺が高校の生徒で、れいなちゃんが家庭科の先生」今回の対象者、桐生絢斗さんのお相手は壇れいなさんという方で、高校の教師と生徒。うわー、またドラマ出来そうなやつ。てか、れいなちゃんって呼んでるのね。でも相手が高校生って、淫行扱いされるよね?「桐生さんは高校生ですか、もう少し小さい声で言われた方が」「俺が、一昨日誕生日だったから18。18ならセーフでしょ?」18。淫行疑惑。セーフ……なのか?慌ててスマホでググる。『18歳との性行為は同意があれば基本的に犯罪ではない。成人を迎えた18歳との性行為は、基本的に犯罪にはならない』そうか、成人は18歳になったからか。ん?誕生日が一昨日……。そのふたりは一昨日より前に身体の関係が……あった……のか?うーん、追及するのはやめておこう。私、警察でも弁護士でもないし。しかし、迫ったのが桐生さんからだったらセーフなのか?「れいなちゃんは、4月に先生になったばかりでさ。家庭科の先生なんだけど、何か舐められててさ」新卒の先生か。大学出たて。高校生の扱いなんて出来るものなのか?ストレートで採用されてて、誕生日来てれば23歳。で、この桐生さんが18歳。え?5つしか変わらないじゃん。そりゃ舐められるわ。「桐生さんとは、5歳差、ということでいいですか?」「はい。もうね、皆全然れいなちゃんの話聞かなくてさ。泣きそうになってたからちょっとシメてやったんだよ」シ、シメる、だと……?発言怖いんですけど。「シメる、とは……?」恐る恐る尋ねる私に桐生さんはわかりやすいドヤ顔で私に言った。

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