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第43話

作者: 槇瀬陽翔
last update 公開日: 2026-04-05 19:02:41

「んっ」

闇の中に落ちていた意識が戻ってきて、抱きしめられているのに気付いて俺はもっと自分から抱き着いた。その途端にもっと強い力で抱き寄せられた。

それが嬉しくて、もっと強く抱き着いた。そしたらクスって笑われちゃったよ。

「うーっ」

なんだかそれが悔しくて、一人でうなってたら、ますます笑われて、思わず顔を上げて睨んでやった。

「不細工になってる」

なんて言いながら、額に小さなキスが落とされた。

「なっ、なっ」

それがあまりにも突然で、自然な流れで行われてびっくりして変な声が出た。

「ゆいの目が腫れて不細工になってる。ちゃんと冷やしたんだけど、まだ腫れてるな」

そっと、大我の親指が目元を撫でる。

「んー、今回は本当に自分でもびっくりするぐらい涙腺崩壊して、大泣きしてたからなぁ」

「それだけ、唯斗の中では大きな傷になってたってことだからな」

大我の言葉に自然と苦笑が浮かぶ。だって、それは否定できない。中学から今まで大我に支えられてきたのは紛れもない事実だから。

それでも、不思議なことにあれだけ嫌な感情に包まれて、大泣きしたけれど、いつも以上にすっきりしてるし、
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  • 会長様は別れたい   第43話

    「んっ」 闇の中に落ちていた意識が戻ってきて、抱きしめられているのに気付いて俺はもっと自分から抱き着いた。その途端にもっと強い力で抱き寄せられた。 それが嬉しくて、もっと強く抱き着いた。そしたらクスって笑われちゃったよ。 「うーっ」 なんだかそれが悔しくて、一人でうなってたら、ますます笑われて、思わず顔を上げて睨んでやった。 「不細工になってる」 なんて言いながら、額に小さなキスが落とされた。 「なっ、なっ」 それがあまりにも突然で、自然な流れで行われてびっくりして変な声が出た。 「ゆいの目が腫れて不細工になってる。ちゃんと冷やしたんだけど、まだ腫れてるな」 そっと、大我の親指が目元を撫でる。 「んー、今回は本当に自分でもびっくりするぐらい涙腺崩壊して、大泣きしてたからなぁ」 「それだけ、唯斗の中では大きな傷になってたってことだからな」 大我の言葉に自然と苦笑が浮かぶ。だって、それは否定できない。中学から今まで大我に支えられてきたのは紛れもない事実だから。 それでも、不思議なことにあれだけ嫌な感情に包まれて、大泣きしたけれど、いつも以上にすっきりしてるし、気持ちが軽くなっている自分がいる。 いつもならもっと、落ちてるはずなのに…。 「唯斗の心のよりどころがちゃんとできたからだろ。もう一人じゃないっていう安心がゆいの心を軽くしてるんだよ。きっとな」 大我の言葉に「あー、そうかも」って納得しちゃった。今まで、大我が傍にいてくれるって、言葉や態度で示してくれてたけど、心のどこかで疑ってたんだ。大我も、大我の家族も、俺のことを捨てるかもしれないって…。疑心暗鬼になってる部分が心のどこかにあったんだ。 でも、それは俺の思い過ごしで…。大我の言葉も行動も全部、嘘偽りがなくて、大我は俺のことを常に優先に考えて、行動してくれていた。今回のことに関しても、今までのことにしても、俺が考えるよりも先に先にと手を打っていった。 俺よりも俺のことを知ってるこの男が常に傍にいてくれたから、俺はここまでこれたんだ。 「うん、やっぱり、俺は大我の愛情がなかったら死ぬ。大我に捨てられたら廃人になって死ぬな」 自分でブツブツ言いながら確信した。それだけ俺は大我に支えてもらってきたのだ。それこそ依存してると言われてもおかしくないぐらいには…。 「心配しなくて

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  • 会長様は別れたい   第37話

    「んっ」ふわふわと闇の中に堕ちていた意識がゆっくりと浮上してきた。薄っすらと片目だけを開けて部屋の中を確認すればまだ暗かった。この部屋ってこんなに暗かったっけ?なんて思いながら時間を確認しようとゴロって横を向いたら、隣に大我の姿はなかった。いつもだったら、一人で寂しいとか、置いていかれたのかなとか、不安な気持ちが湧くんだけど不思議と今の俺は落ち着いていた。とりあえずベッドから降りようかと思い身体を起こして気が付いた。最小限の明るさにしながら机で何かをやってる大我の後ろ姿を見つけた。極力音をたてないようにと気を使いながら作業をしてるのかもしれない。「たい、が」その背に声を掛けたけど、

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  • 会長様は別れたい   第34話

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