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10.私が手放してはいけないのは彼だ。

last update Date de publication: 2025-07-26 12:49:14

 王宮に到着するなり謁見申請をしたが、名前を告げるなり待機する貴族たちを飛ばしてレイフォード王子は私に会ってくれた。

 馬車にいた間に呼吸を整えることには成功した。

 深呼吸をし、レイフォード王子の執務室をノックする。

 窓際に立っていた、彼が部屋に入ってきた私を見るなり笑顔で迎えてくれた。

 窓から差し込む陽の光に照らされたプラチナブロンドの髪が美しい。

 

「レイフォード王子殿下に、ルミエラ・モリレードがお目にかかります」

「ルミエラ、よく来てくれたね」

 呼び捨てにしてきたのは、今この部屋に私と彼の2人しかいないからだ。

 そして、名前を呼ばれて違和感を感じつつも私の心臓が跳ねたのは彼に恋心を抱いているからだろう。

(クリフトの言う通り、私はスタンリーから彼に乗り換えようとしてるの?)

 言いようのない罪悪感に襲われる。

 話をしてくれたら、きっとクリフトとも分かり合えると思っていた。

 でも、その会話自体が私を今混
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  • 何度殺されても愛してる。   16.狂ってたかもな⋯⋯。(スタンリー視点)

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  • 何度殺されても愛してる。   7.本日はお招き頂きありがとうございます

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  • 何度殺されても愛してる。   13.もう、一生この夢の中で過ごしたい⋯⋯。(スタンリー視点)

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