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105食目

Author: はるくぼ
last update publish date: 2026-08-23 11:00:53

 リビングへ戻った蓮は、テーブルの上に開きかけた本を一度閉じ、先にスマートフォンを手に取った。

 検索欄へ打ち込む。

 ――発熱 食事 おかゆ

 出てきた情報を上から順に確認する。

 消化負担を抑えること。

 水分量を多めにすること。

 味付けは薄く。

 必要な情報だけを抜き出し、すぐにキッチンへ立つ。

 鍋に水を張り、米を入れる。

 火加減を弱め、蓋を少しずらす。

 静かなキッチンに、鍋の中で米がほどけていく小さな音だけが残る。

 その間にも、意識は何度も隣の部屋へ向いていた。

 熱。

 呼吸。

 意識。

 蓋をずらすたび、耳は鍋の音より先に隣の寝息を拾おうとしていた。

 椿の状態は、さっきより少し落ち着いているように見えたが、安心するにはまだ早い。

 蓮は時折部屋を覗きながら、鍋の中身を木べらでゆっくりとかき混ぜる。

 思っていたより時間がかかった。

 
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