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第429話

Auteur: 星柚子
自分に向けられる視線に気づき、奈穂は思わず笑った。「ほんとに大丈夫だってば。そんなに心配しないで」

少し間を置き、視線を落とす。「少なくともちゃんと歩けるし……ね?それに中島先生も言ってたでしょ、特に問題ないって。それで十分だよ」

本当は、こんな目に遭う理由なんて、どこにもなかった。

でも起きてしまったことは、戻らない。ずっと痛みに浸っていたって仕方がない。

自分のそばには――家族がいて、友達がいて、彼がいる。

だからちゃんと生きていかなきゃ。

ただ、この恨みさえ晴らせればそれでいい。

奈穂の指にわずかに力がこもり、瞳に憎しみが浮かんだ。

突然、温かい腕に引き寄せられ、奈穂は少し呆然とした。顔を上げると、正修の少し赤くなった目元が見えた。

「……奈穂」彼の声にはかすれが混じっていた。「俺は、ずっと君のそばにいる」

この言葉は、彼が初めて口にしたわけではなかった。

しかし、そのたびに、胸に落ちる重みが違う。

奈穂の目元も、じわりと熱くなった。

涙をこらえながら、彼女は手を伸ばして彼を強く抱きしめた。

「うん……知ってる」

……

奈穂を水戸家に送り届けると、
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