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ep37.黄金獣

Author: 理乃碧王
last update Petsa ng paglalathala: 2026-05-17 20:28:43

「今の魔王である、あの『勇者』もそうさ。何であいつは王道的に冒険を進めなかったんだ? 与えられた完璧なシナリオに逆らわず、お人形みたいに歩いていればよかったのに」

「……シナリオ……お前はさっきから何を言っているんだ?」

 俺の追及に、ベルタは自嘲気味な笑みを浮かべた。

 燃え盛る屋敷の炎が、彼女の顔に濃い影を落としている。

 その瞳の奥には、長年抱え込んできた『世界のバグ』としての絶望が渦巻いていた。

「あんたら、本当に何にも知らないようだね。滑稽なほどに盤上の駒を演じきっている。いいわ……教えてあげる。そもそも、この世界も魔王ドラゼウフも――」

 俺は息を呑み、次の言葉を待った。

 この歪んだ世界の根幹。

 勇者が魔王になり、俺のような凡人が呪いの武具で戦場に立つ、この現実の真実が明かされる。

 ベルタが重い口を開きかけた、その時だった。

「お喋りが過ぎるぞ。役割を外れたエラーコードめ」

 夜の冷気を凍らせるような、無機質で平坦な声が庭園に響いた。

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    「今の魔王である、あの『勇者』もそうさ。何であいつは王道的に冒険を進めなかったんだ? 与えられた完璧なシナリオに逆らわず、お人形みたいに歩いていればよかったのに」 「……シナリオ……お前はさっきから何を言っているんだ?」 俺の追及に、ベルタは自嘲気味な笑みを浮かべた。  燃え盛る屋敷の炎が、彼女の顔に濃い影を落としている。  その瞳の奥には、長年抱え込んできた『世界のバグ』としての絶望が渦巻いていた。「あんたら、本当に何にも知らないようだね。滑稽なほどに盤上の駒を演じきっている。いいわ……教えてあげる。そもそも、この世界も魔王ドラゼウフも――」 俺は息を呑み、次の言葉を待った。  この歪んだ世界の根幹。  勇者が魔王になり、俺のような凡人が呪いの武具で戦場に立つ、この現実の真実が明かされる。  ベルタが重い口を開きかけた、その時だった。「お喋りが過ぎるぞ。役割を外れたエラーコードめ」 夜の冷気を凍らせるような、無機質で平坦な声が庭園に響いた。  振り返ると、そこにはターバンを巻いた異国風の男が立っていた。  足音など全く聞こえなかった。  まるで、空間の歪みから唐突に『発生』したかのような、ひどく不自然な現れ方だ。「この男……覚えている……」 俺はこの男に見覚えがある。  屋敷の地下で、あの忌まわしい選別試験が行われていた時、バルザットの執事の傍に控えていた人物だ。「お、お前は……ッ! なぜ、ここに……!」 ベルタは目を見開き、驚愕と恐怖の入り混じった表情で男を見ていた。  先程までの妖艶な余裕も、死を覚悟した達観もそこにはない。  あるのは、ただ絶対的な捕食者を前にした小動物のような純粋な『恐怖』だけだった。  どういうことだ? この男は一体何者なのだ。  単なる人間の護衛などではないことだけは、肌を刺すような異様なプレッシャーから理解できた。「なぜ、だと? 愚問だな。中ボスがまともに戦わずに倒され、あろうことかプレイヤー側に舞台裏の仕様を暴露するなど……大聖師様

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