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長と七人の村人-後篇-

Author: 結城慎二
last update publish date: 2026-06-11 18:00:02

 売買が成立すると、キャラバンはそそくさと店仕舞いを始める。

 例年だともう二、三日留まるんだけど、こんな村じゃこれ以上は商売になんないし、仕方ないね。

「じゃあな、少年。一応来年も来るからな」

 一応か。

 来るって言ってくれただけマシかもね。

 ここは襲われた村だし(もう半年も前だけど)ここに居続けるより移動した方がいいという判断なんだろう。

 去り行くキャラバンを手を振って見送る八人の村人。

「さて」

 と言ったのはジャリだ。

村長むらおさを決めよう」

 たった八人なのに?

「ジャンでいいだろ」

 と言ったのはルダー。

 なんで?

 年かさから言って代表やるならルダーだろ。

「ここはジャンの村だったんだからジャンが長で問題なかろう?」

 む・理屈ではある。

「そだねー」

 相変わらず軽いなカルホ。

「私もそれでいいと思います

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  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    窯の入れ替え

     一人で出来る事はたかが知れている。  僕が冬の間にやっていたことといえば、食うことと寝ることとリリムを相手に冬の夜長に時間を潰すことだけだったと言っていい。  まさに生きるのに精一杯ってやつだ。  協力者が増えると出来る事が増える。  たった七人増えただけで出来る事は飛躍的に増えた。  けれど人間にできる作業量ってのはやっぱりたかが知れていて、やりたい事はたくさんあるのに時間がない。  そこで大切になるのが作業に優先順位をつけて時間を管理する事なわけだ。 二日目の農作業は午前中に切り上げて、午後からは炭焼きの窯から炭を出して空いた窯にルンカーを並べて焼く作業にあてる。「これが炭ってやつか」 ジャリが炭を運びながら興味深そうににおいを嗅いだりしている。  この辺りの住民だとせいぜいが木材が燃え残った消し炭くらいしか知らないだろう。「水に濡らしちまうと、火付も悪くなるから雨露しのげる場所にしまわなきゃならないぞ」 とりあえずの保管場所は僕の住む小屋。  今回の分は入り切るだろう。  他に保管場所がないから仕方ないけど、自分の部屋が自分のもの以外に占領されるのはちょっとモヤっとする。  まあ、炭には脱臭効果があって最近こもってきた臭い対策になるかと期待するのも気休め程度。  ほんと、寝るスペースしか残りそうにない。  地震なんか来て炭が崩れてきたら間違いなく下敷きだな。 …………。 そういえば、現世で地震にあったことがない。 窯から炭を出した後は役割分担だ。  ルダーとジャリでルンカーを窯の中に積み、残りは炭を小屋に運ぶ。  小屋の中で積むのは僕とヘレン。  この作業が夕暮れ時までかかって、ヘレンとクレタがそれぞれに一抱えの炭を持って村に晩飯作りに戻ってもルンカーの方はまだ終わらない。  窯の中は狭いから手伝いたくても邪魔になるだけと、手持ち無沙汰の僕たちが水車小屋での片付けなんかをしていると、低く長く森の奥から音が聞こえてきた。

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  • 僕だってチートがあれば苦労なんてしていない    新しい仕事

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