เข้าสู่ระบบ「で、僕のステータスはどうやったら確認できるの?」
「なにそれ、美味しいの?」
え?
「うそうそ、そんな便利機能現実世界にあるわけないじゃない」
だよねー。
「数値が知りたいなら体力測定とかIQ検査でもしてみる?」
「それって実際あてになるの?」
「参考程度には」
だめじゃん、そんなの。
「まぁまぁ。ホラ、そろそろ準備始めなきゃまた木の上で寝ることになるよ」
リリムに言われて気がついた。
お日様がだいぶ西に傾いているらしく、僕の影が僕の二倍以上に伸びていた。 秋の日は釣瓶落としと言いまして、確かにここでただ喋っているのは時間の無駄だ。 僕は村に戻って今日の寝床の準備をすることにした。 焼け跡の村でまずは…………。
あれ?
何か忘れているような?「まさにそんな感じね」 うおっ! また僕の思考を読み取ったな、リリム。「突然声をかけないでくれよ、心臓に悪いじゃないか!」「ごめんあそばせ」 そうか、悪党か……そいつぁいい。 実は僕は幕末より戦国時代より鎌倉末期が好きなんだ。 そうかそうか、フフフ……目標が明確になってきたぞ。 てことはとりあえず赤松則村か楠木正成になればいいんだ。 父の名もはっきりしていて地頭職についていた則村より、辰砂の採掘権を持ち散所の長者をしていたと言われる正成の方が今の境遇的に参考になるかもな。 いいぞいいぞ、オラ、わくわくしてきたぞ! 元々この村は岩塩の採掘とダリプ酒をメインに三つのキャラバンと交易していた。 復興後はジョーのキャラバンだけになった代わりにキャラバンと一体になって、元々の特産品に木炭を加えた三品をメインに商売をする村へと変わりつつある。 これに畜産が軌道に乗れば乳製品が加わる。 専門職化が進めば様々な工芸品、民芸品として売りに出すことも可能になる。 酒はいつの時代もよく売れる商材だ。 今この村はダリプ酒のみだけど、世の中には他にも果実酒・穀物酒は存在しているわけで、この村でも作れるはずだ。 酒の歴史は人類の歴史。 この世界も同様だ。 中世ヨーロッパ風ファンタジー世界の鉄板アルコール飲料とも言える発泡麦酒。 これはフレイラで作る酒がそれに当たるとジョーに聞いている。 小麦のつもりで栽培していたフレイラが大麦の代わりにもなるなら焼酎も作れるんじゃないか? 焼酎が作れるならポモイトやマルルンでだって作れるはずだ。 前世持ちが知識を持ち寄れば酒の種類は飛躍的に増えそうだ。 もちろん発酵には適した酵母が、蒸留には大掛かりな施設が必要なんだけど。「いいことずくめね」 リリムを相手に計画を煮詰めていたらそんな風にいうので「いやいやいいことばかりじゃないぞ」とデメリットにも考えを及ばす。 こんな薔薇色
村は基本自給自足だ。 畑仕事以外のところでは、必要なものは個々の家庭で自力で用意する。 作る物によってやたら時間のかかるものや得手不得手とかあるから村人同士都合を合わせながら物々交換的に融通しあって暮らしている。 辺境の一農村で何事もなく暮らせるのであれば今のままでも十分幸せなんだけど、ホラ、そうも言ってられないでしょ? 町にランクアップするにあたって導入すべきものがある。 職業の専門化だ。 もちろん町になっても農業が基本で、これからも大多数の住民には農業に従事してもらわなきゃいけない。 けど、人口規模が大きくなると必要なものの絶対量が増えるから、効率的に生産する態勢を整える必要性があるんだ。 これは町にする理由と大いに関わる問題だから避けて通れない。 独立自治を勝ち取るための戦略だ。 村がまだ復興中だった一年目からジョーに協力してもらい職人を村人に迎え入れてきてたわけだけど、年が明ける三年目の春からは本格的な生産体制を確立させようと思う。 織機の試作はその第一歩なわけだ。 木工職人のおじさんを始め、牧畜のおじさん夫婦、革職人に弓師矢師。 村で養成した炭焼き、ルンカー職人(最近は土器職人も兼ねている)それに鍛治師のジャリ。 今の所専門職は彼らだけだ。 いや、四十人規模の村には多いくらいかな? 職工に興味を示している村人も何人かいるみたいだ。 今は農閑期ということもあって、それぞれの職人のところに通っている。 畜産農家にならしてあげてもいいけど、今はまだ畑作に手が必要だから今の所こちらから声をかける気はない。 そして職業を専門化するにあたって導入しなきゃいけないのが貨幣経済だ。 今までだってキャラバンが来ていたくらいだし、お金の存在は知っていた。 これはジョーに教わったんだけど、基本的にキャラバンとは物々交換で、キャラバンの欲しいものと村の欲しいものが釣り合わなかった場合に貨幣が支払われていたそうだ。 つまり、村の知識としての貨幣とは物々交換品の一種だったわけだ。
雪の降るまでの間、僕は急ピッチで開墾するように指示を出した。 雪が降ってしまうと土を掘れなくなるからだ。 とはいえ「総動員令」発令から雪が降るまでは四十日もなく、機械にも魔法にも頼れない村の現状では伐根に農耕ホルスを使ったところで開墾できた範囲なんてたかが知れたもんだった。 雪が降ってからの作業はおおむね春の準備だ。 切り出してきた木材の加工。 保存食の仕込み、布を織るなどだ。 そうそう、ルダーと木工職人のおじさんに機織り機の試作品を作ってもらった。 アドバイザーはヘレン。 文化水準からくる話で、機織りは田舎の女の当然のたしなみらしい。 冬は当たり前ながら農閑期なので男は縄をなったり道具を作ったり、女も時間のかかる織物などに当てるのだそうだ。 思い返せば母ちゃんもやってたな。 父ちゃんは…… …………。 仲間と飲んで食って騒いでる印象しかないぞ!? この辺りでは「竪機」といって経糸をすだれのように垂らして緯糸を編んでいく織り方だったのを前世知識の「(鶴の恩返しでおなじみの)水平機」に置き換えようというものだ。 とはいえ構造に対する正確な知識があるわけもなく、前世の実家にあったというルダーの視覚情報知識だけを頼りにまずは一シャッケン幅の布が織れる小型のものを試作した。 完成した試作機にヘレンは大満足だった。「これなら一日中織ってられるよ」 という評は機械化された世界を知っている身としてはなんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 ジップが冬の間に身にまとう毛を春には刈る予定なので、それを糸にする糸車も必要だ。 これはこっちの世界の糸車も構造的になんら劣るところがないから木工職人のおじさんに作ってもらおう。
「そうか……」 実際には後を追ったんじゃなくて(もちろん後を追うという体にしたのは僕の指示)僕の欲しい情報の収集と僕が広めたい情報の拡散のために行動しているんだけどさ。「で、いつ戻るとか言っていたかい?」「はぁ、特には」 手を抜きやがって……。 そこも指示を出していて、雪解けを待って戻っておいでと言ってある。 この村は辺境にあって冬の間は雪に閉ざされる。 村を守るという点ではありがたいことでもあるんだけど、情報も遮断されてしまうという不利益がある。 雪が解けたら突然目の前に軍隊が! なんてなったら目も当てられない。 まぁ、そんな確率は千に一つもないだろうけど。 そこで、冬の間オギンに外界の目になってもらおうと考えたわけだ。 さて、ドブルには悪いけどこうなることは判ってた。 いや、こうなることがそもそもの計画だったわけだから、ドブルの処分は穏便どころか論功行賞ものなんだけど……。 僕は改めてドブルに事の経緯を話してもらい(やっぱりドブルの隙をついて逃げ出したようだ)処罰を決めることになった。「ドブル」「はい」「確かに君はヘマをやらかした。しかし人間誰しも間違いはある。そもそも村の人材不足とはいえ素人の君に護送を任せた僕にも責任の一端があるわけで、仕方がない部分もある。そうは言っても失敗になんの罰則もなしでは他のみんなに示しがつかない。そこで君には春まで僕の稽古相手になってもらう」「稽古相手?」「そうだ。剣の稽古の相手をしてもらう。ただし、受けるだけ。つまり一切攻撃しないこと」「それでいいのですか?」「いいよ」「ありがとうございます」 何度も頭を下げるドブルを解放し、自分の家に戻る後ろ姿を眺めていると、ジョーがにやけた顔で寄ってくる。「なにを考えている?」「いろいろ」「食えねぇやつだ」「お互い様でしょ?」「まあな。……やっぱ気になるぞ。なぜ罰がお前の剣戟
雑木林の管理ってものなかなかどうして大変だ。 もっとも収穫を減らしたのはキノコ類だ。 収穫量で去年の六割に届かないという報告が来ている。 冬の大事な食料なのにやばいな。 西の森にはキノコが多いんだけど、西は断崖になっていて迂回しなければ登れないのとスクリトゥリがいる。 戦闘演習以外ではあまり入りたくない森だよな。 サビー、イラード、ガーブラには北の森で狩猟を。 ザイーダには雑木林で肉食獣に襲われないように護衛を頼んである。 村の留守番にはチャールズと子供達、それから身重のヘレンを残してある。 クレタは収穫班についていきたいと言っていたけど、居残りで子供達に読み書きを教える役を押し付けた。 村が襲われる心配は今の所ほとんどないからできることだ。 ひと月(二十五日)ほど経った頃、ジョーのキャラバンが戻ってきた。 その中に消沈したドブルがいる。 他にふた家族計八人を連れてきていた。「お帰りなさい」 声をかけたジョーは挨拶もなしににやけた顔でこういった。「話はこいつらに聞いたぞ。野盗を殲滅したんだって?」 そこにオギンはいなかったけど、複数形にしたってことは話を聞いた時点ではオギンもいたってことだ。「一人生き残りましたけどね」「それも聞いてる。街の宿で逃げられたそうだ」 予定通りなんだけど、ポーズとして表情は作っとかなきゃな。「え? そうなのか?」 ちょっとわざとらしかったかな? と反省しながらドブルに訊ねると、大きな体を目一杯たたむように小さくなってうなだれた。「で? オギンは?」 と、これも僕の指示で戻ってきていないのを知っていながら訊ねると、「逃げられてすぐキャラバンと出会いまして、オレだけ報告のためにキャラバンに同行しました。オギンは後を追うといって別れました」「そうか……」
とにかく施設の必要性は村の規模拡大にあたって必要なものであるということで、村人を説き伏せていく。 ただの農村にいらないってのは確かだ。 だけど、百二十人規模の街にしようとなったときにどうしても必要になってくる。 必要だと判っていて準備しないなんて都市計画として最低だからなんとしても必要になる前に完成させておきたい。 前世のことわざで「泥棒を捕らえて縄をなう(略して「泥縄」)」というのがある。 「物事に出会ってから慌てて準備をすること(大辞林)」 平時ならともかく有事に際してそんなんじゃ世の中渡っていけない。 サラリーマン時代、よくそんな状況に追い込まれてた。 大抵は先輩や僕らの指摘を上司が無視して、危機が現実になってから理不尽に上司に対策を迫られた。 居酒屋で先輩たちと愚痴ったもんだ。「最初から判ってたべや、な?」 ってな具合だ。 不承不承なところもあったかもしれないけど、この件に関しては村長の権威で押し通し、計画を実行に移すことにした。 あんまり強権的に物事を進めると後々しっぺ返しが怖いんだけど仕方ない。 翌日から村は動き出した。 まず、今年も北の森から木材を切り出す。 ついでに北側を開墾して農地にする計画だ。 去年から随分木を切り出しているので割と拓けた感じになっているけど、その時の切り株が残ってる。 ルダー曰く「根を抜くと地盤が緩む」っていうんでそのままにしていたんだけど、これを抜いてしまわないと畑にならない。 この作業は伐根というらしい。 なかなかに重労働だ。 抜いた根は炭焼きに回す。 こっちの作業は男手の大半を割いて行われた。 女手は雑木林での収穫に当てる。 今年もピサーメ、マルルン、ダリプと豊作だ。 ただ、この二年手入れが行き届かなかったんで味が落ちている。 雑木林が荒れたことで野生動物も近づかなくなって土枯れしたせいもあるだろう。
「じゃあ次は概要ね」 と、リリムは言う。「世界の概要は現世の知識があるから割愛ね」 あらま。「あなたは転生の際にDNAってやつに細工されていてね、神様曰く人よりちょっと優秀になってるそうよ」 え? ちょっと?「そこはとても優秀になってんじゃないの? テンプレ的に」「いくら世界に干渉できる環境にある神様だってそんなことホイホイしたら世の中のバランスが狂っちゃうでしょう?」「異世界転生は世界のバランスを崩さないのか?」「崩すわよ。それなりに。そもそも
村に戻った僕は村人の埋葬をする。 人の死には慣れている。 現世の僕が、だけど。 この世界は前世の世界と違って文明水準が高くない。 当然医療水準も高くない。 田舎だからってのはあるかもしれない。 大きな街はもしかしたらすごく発展しているのかもしれない。 魔法のある世界だから、当然治癒魔法もあるはずだ。 でもそれがどれくらいの効果があるかもわからない。 だからこの村はよく人が死んだ。 子供は特によく死んだ。 僕にも姉と妹がいたらしい。 妹の方はかす
僕は十五歳の朝を木の枝の上で迎えた。 この世界の元服、つまり成人の儀式が行われる日だ。 確かに一生忘れられない日にはなったけど……切ない。 あまりにも切ない。 秋とはいえ、昼頃になればそれなりに暖かくなる。 今日は天気もいいので昼頃にはむしろ汗ばむほどの陽気になった。 慎重にあたりの気配を確認しつつ、木から降り集落に戻ると、まだプスプスとくすぶっている焼け跡の中を歩く。 あたり一面、嫌な臭いが立ち込めているのは、村人の焼けた臭いだろう。 昨日から何も食べてないのに込み上げてくる胃液を吐き出し
「逃げたのはガキ一匹か」 と、僕の真下で傷だらけのごつい男が言っている。 こいつが盗賊団の頭目と見た。「へい、多分」「多分だと!?」「へ、へ……」 あたふたした下っ端が頭目にぶん殴られ、仰向けにぶっ倒れる。 気絶してろ! 盛大に気絶してろよ、でなきゃここにいることがバレる。 僕の祈りは天に通じたのか、そいつは白目をむいて動かない。「このさらに奥に行ったかもしれませんぜ」「ならいい」 頭目は、一言吐き捨てて踵







