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第1083話

Author: 雪吹(ふぶき)ルリ
真司はもう舞に目を向けることさえせず、冷然と言い放った。「連れて行け」

舞はそのまま連行されていった。

綾音の心には、もはや舞への同情など一片も残っていない。彼女にとって舞は、自業自得の報いを受けただけの存在となった。

綾音は佳子を見つめ、穏やかに言った。「佳子、舞が連れて行かれたわ。これでようやくすべてが終わったのね」

真司は頷いた。「藤村グループの弁護士団に訴訟を起こさせる。堀田舞は一生、刑務所にいることになるのだろう」

そう言いながら、真司は手を伸ばして佳子のふっくらとしたお腹に触れた。「佳子、大丈夫か?」

佳子は唇を弧にして微笑んだ。「もちろん大丈夫よ。私も元気だし、赤ちゃんも元気だ」

真司は眉をひそめ、低い声で言った。「もともと俺はこの計画には反対だった。君はもう妊娠七ヶ月だ。君も赤ちゃんも、少しの危険も許されないんだぞ」

この「敵の策を逆手に取る」という計画は、もともと佳子の発案だった。最初、真司は断固として反対した。なにせ舞のような精神の歪んだ女が、どんな狂気の行動に出るか分からない。彼はただ、佳子と赤ちゃんの無事だけを願っている。

だが佳子は譲らなかった。どうしても自分でケリをつけたいと言い張る彼女を、真司は尊重し、綾音とともに見事な演技で舞を罠にかけたのだ。

佳子は微笑んで言った。「堀田舞は私を狙って来た。因果応報よ。だからこそ、私の手で決着をつけたかったの。綾音、今回はありがとう」

綾音は佳子の手を握り返した。「佳子、ありがとうを言うのは私のほうよ。佳子がいなければ、私は堀田舞の本性を知ることもなかった。あのままなら、きっと彼女に売られても笑ってたわね」

真司は柔らかく言った。「もういい。この件はすべて終わった。これからは俺たちのことを考えよう」

佳子は首をかしげた。「『俺たちのこと』?どういうこと?」

綾音は口元を押さえてくすくす笑った。「佳子のお腹は日に日に大きくなってるもの。傅先生が言う『こと』って、結婚式の準備に決まってるじゃない!」

真司はその言葉に微笑み、佳子の肩を抱き寄せた。「佳子、もう結婚しよう」

佳子は心の中で甘さが広がっている。「……うん」

……

佳子は家でゆっくりと休み、体力を取り戻した。真司はその間ずっと、結婚式の準備に奔走していた。

その日、真司は会社に行かず、佳子を抱きしめながら言
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