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第398話

Author: 歓乃
そもそも、この「服」は自分が着るためのものではなかったから、今さら捨てることに何の未練もない。

凛は健吾を見て言い放った。「私がなぜ離れられないと思うんですか?この4年間、私はあなたたちに尽くしてきました。先に、私を裏切ったのは、あなたたちの方ですから。

それに、離婚の原因は、なにも浮気だけじゃないですから。智也が何もしなかったこと、見て見ぬふりをし続けたこと、そしてあなたたち家族に傷つけられ続けたこと……

家もシロアリのせいで崩れるんです」凛は冷めた目で初老の健吾を見た。「意味、分かりますか?」

健吾は、またしても返す言葉を失った。

この瞬間、健吾は理解した。智也に対する凛の未練は、微塵も残っていない。

凛を失ったことは、息子である智也の後悔にとどまらず、谷口家そのものの、取り返しのつかない後悔になるのかもしれない。

「もう智也のために私を説得しに来る必要はありません。あの家を片付けた時に、私は自分の心も一緒に片付けましたから。

智也に会えなんて言う暇があるなら、病院で健康診断でも受けさせてきたらどうですか?」

言うべきことは、もうすべて言った。

健吾も立ち去った
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