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第859話

Autor: 歓乃
気づけば、海斗と知り合って20年以上になる策。長く一緒にいすぎたせいで、ときどき親友のような気さえしていた。

書類ケースを開く。

中に入っていたのは、本当に研究への出資契約書だった。

策は思わず顔をほころばせた。実家に金がないわけではないが、薬の研究に何十億円もの資金をぽんと出せるほどではない。

そんな真似ができるのは、海斗くらいだ。

これだから金持ちは!

「千石先生、嬉しいなら笑っていいんですよ」拓海が眼鏡の奥で楽しそうに目を細める。

策はケースを閉じ、にやりと笑い返した。「森田さんこそ、岩崎さんが好きなら、素直に言えばいいのに」

「……はい?」一瞬、拓海の表情が止まった。

策は愉快そうに笑う。何年も千晴に片思いしてきた策だからこそ、そういう気配を敏感に感じ取っていた。拓海は理央とわざと距離を取っているくせに、結局は彼女に甘いし、頼まれれば断れない。本人は隠しているつもりでも、策から見ればわかりやすすぎたのだ。

拓海はさらりと話題を変えた。「それより、契約書はきちんと確認したほうがいいですよ。社長が何の条件もつけずに出資すると思います?」

「金を出してもらえるだ
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