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第88話

Author: タマタツ
絃葉が返事をするより早く、悠がすかさず口を開いた。

「ぜひお願いします。絃葉は運転がすごく遅くて、高速道路が苦手なんです。送ってあげてください」

絃葉は目を丸くし、彼女の袖を引っ張る。

「悠!」

悠は彼女の耳元に顔を寄せ、小声で囁いた。

「私のタイプだけど......彼の本命はあんたよ」

絃葉の顔は一瞬で真っ赤になった。

「!!!」

悠は意味ありげに微笑み、彼女の手の甲を軽くつねる。

前の席に座る男は、二人のやり取りをかすかに耳にしたらしく、気づかれないよう口元をわずかに緩めた。

その時、絃葉のスマホが鳴った。

表示されたのは見覚えのない番号だった。

電話に出ると、聞き慣れた声が響く。

「絃葉、どうして電話に出てくれないんだ?今どこにいる?」

「あなたには関係ないわ」

「もう意地を張るのはやめてくれないか?」

凪杜の声は少し柔らかくなる。

「外はこんな大雨......絃葉のこと、俺は本当に心配なんだよ」

本当は、絃葉が景の車に乗る姿をぼんやり見かけたことのほうが気になっていた。

しかし確証がなかったため、そのことは口にしなかった。

「雨に濡れたく
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