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第6話夢

last update 最終更新日: 2025-11-22 18:30:46

落ちていく。

 落ちていく。

 落ちていく。

 どんどん。

 どんどん。

 どんどん…と。

 暗い。

 暗い。

 暗い。

 暗い。

 闇の底に……

 いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい、いっぱい……

 分からなくなるくらいまで。

 闇のそこ。

 深い、深い……

 闇の底へと……

 落ちていく所まで落ちていってるいる。

 いや……

 もう既に。

 闇の底にいるのかも知らない。

 だから。

 私は、まだ落ちていく可能性がある。

 それは分からないけれど。

 でも……私は……

 私は……

 あれ……

 なんで……こんな事になってるんだっけ……

 この感覚……

 そういえば……前に……

 そっか……

 思い出した……

 これは……

「へぇ、ここの神様ってほんとにいるんだ」

 何かの道着を着ている紫髪の少女が鳥居の前でいきなりそんなことを言う………

 この人……酷すぎる……

 いや、ものすごく酷い。

「何?あなたウチに用?」

「用って程じゃないよ、ただ倒したくてさ。あんたを」

「やめといたら?」

「なんでさ、だって私はここら一体の神様を除霊してきたんだよ?」

 除霊?除霊って言った?!

 神様を除霊するほどって……この子相当……

「へぇ、ならやってみるか?」

 れいさんの顔が一気に怖くなった。

 多分……

 その相手を殺すんだろう。

 いや……確実に殺そうとしてる、恐らくれいさんが護る土地の危機を防ぐために……

「いやぁ、本気になってくれるんですかぁ…でも、本気で殺し合う前にさ名前…聞いていいですか?」

「澪《れい》、澪だよ」

「へぇ…れいっていうのか…私は愛莉《あいり》っていう嫌な名前だ…だけど…れい…れいかぁ…なら、れい…確実に殺そうよ!!」

 とあいりが霊力も纏わずに突っ込んでくる、

 だめだ…確実な自殺行為なのに……

 それでも自信ありげに来るのはやっぱり……

 それだけ自分の実力が神に挑める程の才能を既に有しているということがよく分かる。

 だけど。

 れいさんは、突っ込んでくるあいりに対して……

「はぁ……はぁっ!」

 防御の陣をノーモーションで?!

 嘘でしょ?!

 いや……流石はれいさんだけど……こんなに凄いだなんて思わなかったよ……

「そんなもの!」

 突っ込んできたのはなんの策略がないってわけじゃなかったみたいだ。

 どうやら、あいりは幻刀術を扱えるようで防御の陣に突っ込んで行った。

 でも、割れることなんてない。

 これはただの防御の陣ではないのだから。

「なんで!なんでなんでなんでなんで!!」

 防御の陣を破壊しようと試みているが全然壊れることがない。

 なんせ、神を倒してきたと言ってもれいさんだけは別格だからこそ壊れることなんてないのだから。

「くっ……」

「どう?諦める?」

「まだまだ……でも、今日は疲れたからまた来るわね!!」

 そう言い去っていった。

 一体なんだったんだろ……

 それにしても、あいりさん……どっかで聞いた事あるような……

「あいりさん……か、可愛い名前なのに」

 あ、れいさんはそこなんだ……

 でもほんとにあいりさんは来るのかな……

 それと……だけど、この夢は終わるのかな。

 確か……その人の印象に残っていることを追体験するはずだから……まだ終わらないはずだ。

 ー翌日ー

「れーいっ、来てやったぞっ」

「え?ほんとに来たの?」

「そりゃあ、当たり前だろう。私はお前を倒すまで何度でも来てやるからな!!」

「はいはい、それじゃあやる?」

「やろう!!」

 と昨日と同じようにれいさんに突っ込んでいく。

 防御の陣を張ったれいさん。

 幻刀術で突破しようとするあいりさん。

 昨日と同じ光景が私の前に広がる。

 でも、やっぱり突破が出来ない。

 何度も

 何度も何度も

 斬りかかっても斬りかかっても

 突破なんて、出来るはずがない。

 当たり前だ。

 相手は神で、あいりさんは凡人の域を少しでたくらいの実力。

 それを相手にしたところで神が勝つのは明白だ。

「また…でも、まだまだ!!また来る!!」

 そう言い。

 また何度も。

 何度も。

 何度も。

 何度も。

 その日も。

 また次の日も。

 そのまた次の日も。

 そしてまた、次の日も。

 ずっとずっと……

 れいさんに挑んでいった。

 諦めることなんてせず。

 同じ技で、れいさんに喰らいついていった

 でも、結局勝てることはない。

 それでも。

 どうして挑むのだろう?

 よっぽど勝ちたいのか、それともそれだけ超えなきゃいけないものがあるのか……

 どうしてもやらなきゃいけない事なのだろうか……

「また……来るね!!」

「ちょっと待って!!あっ……」

 居なくなっちゃった……

 やっぱりれいさんも聞こうとしたのかな。

 どうしてれいさんの事を倒そうとしているのか、どうやって神を倒したのか……

 私も、それが段々と気になってきた。

 あいりさんがどういう人なのかが。

 ー翌日ー

 今日もあいりさんが来てれいさんに挑む。

 今回は幻刀術ではなく真剣だ。

「今日こそ!!」

「今日は本気みたいだね」

「当たり前だよ、今日は勝つもん」

「それはどうかな、私が勝つ」

「それは…無いね」

「言葉はもういらない、全力で行くよ。あいりちゃん」

「うん、れい」

 どちらも引かない様子。

 ピリついた感じはするけれど、どこか楽しそうな感じがする。

 それはどうしてなのかは分からないけれど、私はそんな感じがした。

「私の神力は、これまで相手にしてきたやつらよりも……違う」

 確かに……全然違う。

 私が知っている時よりも遥かに神力が溢れ出ていて圧すらも感じる。

 それでも臆せずに立っていることができているあいりさんはほんとにすごい……

「ふっ……こんなもんですか……」

 と言うといきなり突っ込んで来た。

「全然変わらないね!!」

 と無言で神力の籠った弾を飛ばしてきた。

 それも一つだけでは無い大小様々なやつを飛ばしてきてるものだから避けるにも一苦労だろう……

「乖離!!」

 乖離?!

 この世の全てを無に解き放つ……最強剣技……

 それをすぐ纏えるほどって……

「乖離じゃ追いつかないんじゃない?」

「そんなこと…ない!!」

 そう言うと弾を弾いて確実に距離を詰めていく。

 どんどんと、勢いよく。

 れいさんの予想が追いつかないくらいがむしゃらなくらいに一点突破していく。

「甘い」

「何が!!」

 気付いた時には遅かったのかもしれない。

 あいりさんが切り弾いたものは……

 単なる弾ではなく、···

 それは霊弾のように当たればダメージが出るようなものではあるのだが、霊気弾は自身からぶつかりに行くものではなく自身が霊気…所謂ビームを放つものと言えば分かるだろうか。

 私が使えばビットのようなもの。

 それをれいさんは無数に出し、切り弾かれたから良い射線上にあいりさんが居ることになる。

 実際もう、その霊気が放たれているからこそ遅い。

 当たれば即死。

 でも……どうしてだろう。

 全く避ける素振りをあいりさんは見せない。

 まさか……負けを認めようと?!

「……っ!!」

「ふっ、夢想!!」

 夢想……まさか……

 それは!!

 西園寺家伝統の最終奥義……

 夢想混沌

 自身の死をトリガーとして、全てを無に帰す

 最強、最悪の最強奥義

 それを……放つつもりじゃ……

「まずい……!!」

 すぐ山一帯に防御の陣を張ろうとしたその時……

「全く愚か者が」

「「?!」」

「うがっ……」

 と··········

 撃たれた……?

 誰に?

 なんで?

 何のために……

 どうして……そんなこと……

 それに……なんで……死ぬような事になるの?

 あいりさんは…れいさんと闘ってた、だけなのに……

「あいり!!」

「れ、れい……」

 心臓を撃たれたせいか出血が止まらない。

 いや……人間は心臓を撃たれたら死ぬ。

 だから、遅かれ早かれ死んでしまう。

 もう助からないのだから、しょうがない。

「そこの神、我が西園寺家の陰陽師をよくも殺してくれたな」

「……は?」

「惚けるでない!!我々の大事な大事な愛莉が貴様と戦い、いつもやつれて帰ってくるものだから心配して様子を見たら貴様と戦っている所を目撃してな。だから、貴様にトドメの一撃を放ったら愛莉に偶然当たった!だからこそ、愛莉は貴様が殺したのだ!!」

「……」

「だからなぁ、貴様の山を近々焼き払うことにする!!せいぜい……」

 嘘だって思いたいよね。

 ふざけるなって思いたいよね。

 でも……今は……

 堪えてよ……れいさん……

 ほんとにれいさんが殺したことになっちゃう!!

(あいり……あいり……あいり!!)

 もう、何も考えられなかったのだろう

 れいさんは空に向かって手を伸ばし……

「ふざけるな……ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 と咆哮して……

 襲ってきた西園寺家の誰かを焼いた。

 その刹那光に包まれ私も……

 その光の中に入り。

 完全に意識を失った。

 to be continued

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    『澪《れい》…澪は絶対に人間の前に姿を出しちゃいけないよ』『どーして?おかあさま』『それは、ウチ達が神様だからよ。だから決して人間に姿を見せたらウチ達やその人間にも不幸が降り掛かってしまう。それを避けるためなのよ』『ふーん』『今はわからなくていい、だから大人になったらわかるかもね。だって、うちのれいは凄いんだから』 なんて…昔お母様に言われたことを不意に思い出した。 あの後なんて言ってたんだっけな。 今はもう覚えてない。 だって凄い小さい時だったんだから。 でも、どうしてだろ。 お母様が亡くなった後もこの約束というか契というか… それをずっと守り続けている。 だからこそ、人間がどんなものかなんて今はわかるけれど触れることも見ることも出来ない。 なんせ、神は人間と触れてしまったら消えてしまうのだから。 夜 この暗い暗い夜の帳が降りている中、本来なら誰も居ないと思うはずなのだが。 今は、こんなにも明るくなっていてとても信じられないけれど昔はほんと辺り一帯が暗くなって提灯の灯りがないと山の闇に飲まれてしまうことが多かったのだが…… この、奇っ怪な建物が乱立したこの土地を見て驚きというものが隠せないが今ではもう慣れてしまったものの。 夜のこの暗い闇の中を歩き回る人間たちとそれを照らし出す無数の光がとても当たり前になっているのがほんとに今でも驚きだ。 昔では到底考えることが出来なかったが人々の成長によって生まれたそれらはほんとに凄いと私は今でも思う。 それに、人間同士の大きな争いの後瞬く間にこんなものが出てきたのだから。 ほんとに凄いなとつくづく思う。 そんな事で驚くのも束の間。 もっともっと大きい物も出てきたり、電車と呼ばれる箱のものが人を乗せて動く場面を目撃したり、はたまた空には鳥のような…&hel

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