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第7話

Penulis:
恒一の登場は、まるで茶番だった。

直哉が通報し、警察は取り乱した恒一を連れて行った。

私と直哉のパリ行きも、そのせいで水を差された。

帰りの機内で、私はずっと黙っていた。

直哉が私の手を握った。

「怖がらなくていい。俺がいる」

私は小さく頷き、直哉の肩にもたれた。

けれど、胸の中はぐちゃぐちゃだった。

もう吹っ切れたと思っていた。

それなのに、恒一が現れただけで心はあっさりかき乱される。

会社に戻ると、私はさらに忙しく仕事に没頭した。

仕事で自分を麻痺させようとしたのだ。

恒一は、それきり私を探しに来なかった。

私は、もう諦めたのだと思った。

半月後まで。

仕事を終えて帰宅すると、マンションの下にまた恒一がいた。

近づいてはこない。少し離れたところで立ち尽くしているだけだ。

手には、保温ポットを提げていた。

私に気づくと、恒一はどこか気まずそうに、それを軽く持ち上げた。

「……君、胃が弱いだろ。スープ、煮てきた」

声は低く、どこか媚びるようだった。

その姿を見て、私はひどく滑稽だと思った。

「神谷さん、忘れたんですか。私たち、もう離婚してます。

今さらそんなことをしても、無駄だと思いませんか?」

恒一の顔から、さっと血の気が引いた。

「お、俺は……ただ、君に償いたくて」

「償う?」私は笑った。

「何で償うんですか?

あなたに閉じ込められていた日々を?

あなたと、あなたの家族に踏みにじられた尊厳を?

恒一。あなたが私にしたことはこの先一生かけても、償いきれない」

私は彼を避け、建物に入ろうとした。

その瞬間、背後から恒一に抱きしめられた。

「知里、行くな。もう一度だけチャンスをくれ。

俺が悪かった。本当に、悪かったんだ……」

恒一の体は震えていた。声には泣きそうな響きが混じっている。

「愛してる、知里。ずっと愛してたのは君だけだ。

俺は……目が曇ってた。あいつらの戯言を信じて……

頼む、戻ってきてくれ……!」

私は必死に暴れたが、振りほどけない。

力が、想像以上に強かった。

「放して!」

「放さない!この先ずっと、もう二度と放さない!」

引き剥がそうともがいているところへ、直哉の車が入ってきた。

直哉が降りてくる。表情は氷のように冷たい。

「恒一、放せ」

恒一が直哉を見たとき、
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