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第164話

Author: かけるに
海渡は車に飛び乗った。

エンジンをかけ、そのあとを追う。

この辺りの道は、もう何年も通い慣れていた。

近道を使い、礼都の車に追いつくことに成功した。

都北の大通りを、2台の車が一歩も譲らず、激しい追走を繰り広げる。

礼都はバックミラー越しに海渡の車を見据えた。

アクセルを限界まで踏み込む。

車は一気に加速した。

梨沙は唇を引き結び、アシストグリップを固く握った。

急加速による強烈な重力で、身体がシートへ押しつけられる。

2台のエンジン音が重なり合い、怒り狂った2頭の野獣のように、絶え間なく咆哮を上げていた。

礼都は、青ざめた梨沙の顔を一度見た。

「怖いか?」

梨沙は慌てて首を横に振った。

「大丈夫です」

礼都はかすかに口元を上げ、鋭い目つきで前方を見据えた。

「ならいい」

次の瞬間、前方でいきなり車を反転させた。

真正面から照らされる強烈なヘッドライトに、梨沙は目を開けていられなくなる。

衝突寸前。

礼都は突然、海渡の車へ正面から突っ込んでいった。

梨沙は恐怖で唇を噛み、目を固く閉じた。

もう二度と、前を見ることができなかった。

しかし――
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