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助手とクリスマスを過ごすために、夫が子供に睡眠薬を飲ませた

助手とクリスマスを過ごすために、夫が子供に睡眠薬を飲ませた

By:  橘野遥旅Completed
Language: Japanese
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助手とクリスマスにデートするため、夫は子供のミルクに睡眠薬を混ぜた。 子供が高熱を出し続けているので、私は焦って病院に連れて行った。 しかし病院で夫が助手を抱きかかえて階段を上る姿を偶然見てしまった。 「幸乃が足を捻挫したから、俺が付き添いに来たんだ!」 子供が手術室で救命措置を受けているのに、彼は一瞥すらしなかった。 私はポケットの中の二億円の当選券をきつく握りしめた。 もうこの7年間の結婚を終わらせる時が来た。

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Chapter 1

第1話

結婚して四年、まだ「七年目の浮気」なんて言葉さえ縁のない頃に、周防京介(すおうきょうすけ)はすでに外に愛人を囲っていた。

立都郊外の高級別荘。

その門の前で、周防舞(すおうまい)(旧姓:葉山)は高級車の後部座席に座り、夫が女と密会する光景を静かに見つめていた。

あの女はまだ若く、白いワンピースに身を包み、清らかで人目を引くような美しさがあった。

二人は手を繋ぎ、まるで深く愛し合っている恋人のようだった。京介の顔には、舞が一度も見たことのない優しさが浮かんでいた。

女が顔を上げ、甘えるように声を上げた。「足、痛い……京介、抱っこして?」

舞は思った。京介が応じるはずがないと。彼は感情を表に出さず、気難しい男だ。どれだけ新しい相手を可愛がっていたとしても、そんな甘ったるい要求に応えるような人ではない、と。

だが次の瞬間、舞の予想は無惨に打ち砕かれた。

夫は女の鼻先をそっとつつき、その仕草には抑えきれない優しさが滲んでいた。そして腰に手を回し、彼女を軽々と抱き上げる。まるで壊れ物を扱うかのように丁寧に、大切そうに。

女の白く細い手は自然と男のたくましい首筋へと伸び、黒く艶やかな髪を撫でていた。

京介のその首筋には赤い痣がある。見た目はどこか艶っぽく、触れると敏感に反応した。かつて、舞がベッドの中でうっかりそこに触れたとき、京介は彼女の細い腕を押さえつけ、恐ろしいほど激しくなった……

そして今、京介はもはや抑えきれず、女の子の身体をあずまやの太い柱に押しつけた。その目は輝いていた。

舞はそっと目を閉じた。もう、これ以上見ていたくなかった……

舞は、京介がこんなふうに誰かを想い、狂おしくなる姿を今まで一度も見たことがなかった。

なら、自分は何だったのだろう?

結婚前、自ら追いかけてきたのは他でもない、京介の方だった。「舞、お前は俺の権力の場で最も適したパートナーだ」

そのたったひと言に、舞は愛してやまなかった芸術の道を捨て、何のためらいもなく周防家に嫁ぎ、名声と利益の渦巻く世界へ飛び込んだ。まるで炎に惹かれて飛び込む蛾のように、恋に焼かれるように。

そして四年の歳月が過ぎ、京介は一族の実権を手にした。

舞は、あってもなくてもいい存在、切り捨てられる駒に成り下がった。彼は舞が堅すぎる、女らしさに欠けると嫌がり、外で女を囲い、愛人遊びにふけるようになった。

舞、あなたは本当に甘かった。滑稽なほどに。

……

目を再び開いたとき、舞の瞳には、もはや愛も、憎しみも残っていなかった。

感情が消えた今、残るのは金の話だけだ。

京介が愛人と密会しているこの別荘、実は、夫婦の共有財産だった。

舞はこの不倫カップルに甘い思いをさせる気にはなれなかった。前の席に座る秘書・安田彩香(やすだあやか)に、ほとんど吐息のような声で尋ねた。「この三ヶ月、京介はずっと彼女と一緒だったの?」

彩香は素早く答えた。「その女の名前は白石愛果(しらいしまなか)です。京介様の幼馴染みですが、あまり賢い子ではありません。三ヶ月前、京介様が周囲の反対を押し切って彼女を会社に入れてから、徹底的に庇ってきました」

一束の資料が舞の前に差し出された。

舞は資料をぱらぱらとめくりながら、ふと思った。自分は、彼らを許すことができるかもしれない。

もちろん条件付きだ。京介がきちんと夫婦共有財産を分けてくれるなら、舞はその金と株を受け取って、きっぱりとこの関係に幕を下ろすつもりだった。

車窓の外、秋の葉は黄金にきらめき、夕日がさらに一層の輝きを添えていた。

舞は気持ちを整え、京介に電話をかけた。数回の呼び出し音のあと、ようやく彼が出た。おそらく、愛人との甘い時間を過ごしていたのだろう。その声は相変わらず、上から目線で冷ややかだった。「何か用か?」

舞はまつげを伏せ、静かに問いかけた。「今日、私の誕生日なの。家で一緒に夕食、どう?」

電話の向こうで、京介はしばらく黙っていた。

男というものは、帰りたくない時にはいくらでも理由を見つけるものだ。たとえば「外せない接待がある」だの、そんなありふれた言い訳を。

けれどその時、舞の耳に、あの女の甘えた声がはっきりと届いた。「京介、まだ終わらないの?彼女と話すなんて許さない……」

京介は一瞬言葉に詰まった。少しの間を置いて、彼は気まずそうに淡々と口を開いた。「他に用がないなら、切るぞ」

ツーツ……通話終了の音が舞の耳に響いた。

それが京介のやり方だった。いつだって迷いはない。情を引きずることもない。

彩香が怒りをあらわにした。「京介様、あんまりです!忘れてしまったのですか……」

しかし、舞は気にしなかった。

むしろ内心では、こう呟いていた。——ごめんなさいね、京介様。甘い恋と可愛い女の子に夢中なところを邪魔しちゃって。でも仕方ないわね、法律上の周防夫人の機嫌を損ねたんだから。

舞はふっと微笑んだ。「忘れたんじゃない。気にも留めてないだけよ。彩香、この別荘の水道と電気、それからガスも全部止めてちょうだい。そうすれば、あの男も帰る場所を思い出すでしょう」

彩香は思わず感嘆の声を漏らした。「本当に見事なやり方ですわ」

けれど舞は何も答えなかった。顔を横に向け、静かに車窓の外へと視線を向ける。

黄金の落日が地平を染め、夕雲は幾重にも重なって、空に厚い壁を築いていた。

あの年の夕暮れも、同じように空は赤く染まっていた。

あのとき舞は京介に問いかけた。

「私たちの契約は一生もの?絶対に裏切らない?」

京介は力強く頷き、言い切った。

「舞は俺にとって、何よりも大切な存在だ」

けれど、今の彼は違った。

その言動が突きつけてくるのはただ一つ。金さえあればいい、という現実。

舞の目尻を伝い、涙が一筋落ちた。

一滴の涙が、舞の目尻を伝って落ちた……

……

舞はロイヤルガーデンの別荘へ戻った。

半時間後、秘書が離婚協議書を持ってきた。

舞が求めるのは、財産の半分。

シャワーを浴びたあと、服を身に着けようとしたはずなのに、いつの間にかドレッサーの前に立ち、真っ白なバスローブを脱ぎ捨てた。水晶のシャンデリアの明かりの下、鏡に映る裸の自分を静かに見つめ、舞は言い知れぬ感情に胸を締めつけられた。

働き詰めの年月に削られ、身体はふくよかさを失っていた。をだが白く透き通るような肌はなお冷ややかな気品をまとっていた。

だが、それは痛いほど明らかだった。舞の身体には、男を惹きつけるだけの魅力が足りなかった。そうでなければ、京介が他の女に心を寄せることなどあるはずもなかった。

舞はあの若い女の姿を思い浮かべた。京介がその瑞々しい身体と絡み合い、自分とは比べものにならぬほど激しく求め合っている——そう考えた刹那、舞は眉をひそめ、そんな想像に囚われた己を深く恥じた。

そのとき。クローゼットの扉が、静かに押し開けられた。

京介が帰ってきたのだった。

彼はクローゼットの入口に立っていた。

高級ブランドの黒いシャツにスラックス、その洗練された装いが、すらりとした体を際立たせている。明るい照明の下、上品で立体的な顔立ちは、大人の男だけが持つ魅力に満ちていた。

舞は思わず考えてしまう。この男は、たとえ兆を超える資産がなかったとしても、この外見ひとつで女を惹きつけるに違いない。

四年もの間、共に眠った自分はある意味、損をしてはいないのかもしれない。

二人の視線がふと交わった。何も言わずとも、互いに心の奥を読み取っていた。

京介はゆっくりと歩を進め、舞の背後に立つ。そして、ふたりは並んで鏡の中の姿を見つめた。舞はすでに衣服を整えていた。滝のような黒髪はきちんとまとめられ、湯上がりとは思えぬほど、隙のないキャリアウーマンの姿を保っていた。

京介の脳裏に蘇るのは、新婚の夜の光景。まだか弱さを残した彼女が、男の体を前にして小さく震えていた。

新婚の夜、彼らは何も起こらなかった。そして半月後、仕事上のトラブルが起きたあの夜。舞は京介の胸に身を縮め、震える声で彼の名を呼んだ。京介は彼女をしっかりと抱きしめ、その晩、ふたりはようやく「本当の夫婦」になった。

彼らの夫婦の営みは、本当に数えるほどしかなかった。

家では舞は尊い奥様。栄光グループでは権力を握る社長。どこにいても彼女は完璧で、冷たく、隙を見せない女だった。

たとえベッドの上でさえ——京介ははっきりと言い切れる。舞は一度たりとも心を解き放ち、快楽に身を委ねたことはなかった。

やがて時の流れとともに、京介の胸には虚無だけが静かに広がっていった。

そんな彼が、からかうように舞へと歩み寄り、言葉を投げた。「別荘の水道と電気、止めたのはお前だろう?ただの親戚の娘にちょっと世話を焼いただけで、不機嫌になるなんてな」

舞は鏡の中で彼と目を合わせた——

京介の脳裏をよぎったのは、冷たい算段だった。この数日、舞は排卵期のはずだった。

彼はそっと手を伸ばし、舞の耳たぶを撫でながら、顔を近づけて低く囁いた。「誕生日だから?それとも……欲しいんだろう??奥様、まだ二十六だってのに、随分と強いじゃないか」

口にする言葉は下品だったが、舞にはわかっていた。京介が何を望んでいるのかを。

彼は子供を欲しがっている。

周防祖父は今も栄光グループの株を10%握っている。京介は子供を手に入れ、その存在を交渉の切り札にしようと目論んでいた。

しかし、京介は知らなかった。彼らには子供ができる可能性は低いのだ。あの事件の時、舞が彼を突き飛ばして外へ出たその直後、何者かに腹を強く蹴られた。それ以来、彼女の妊娠の可能性は限りなく低くなっていた。

舞はそっと目を閉じ、胸の奥に広がる悲しみを押し隠した。

だが、京介は珍しくその気になっていた。

彼は舞の身体をあっさりと抱き上げ、主寝室の柔らかな大きなベッドへと横たえた。そのまま、彼の身体が覆いかぶさってくる。

舞はどうして承諾するだろうか?

舞は京介の胸を押さえ、黒い髪が白い枕の横に半分広がり、浴衣が少し緩んでいた。「京介!」

けれど京介は舞の顔を見据え、魔法に囚われたように顔を寄せてきた。触れ合った瞬間、その体は今にも溢れ出す衝動に飲み込まれようとしていた。

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第1話
仕事を片付けた後、私は小林修平に電話をかけた。「あなた、今日はクリスマスだから家に帰るの忘れないでね!良い知らせがあるの!」電話の向こうから修平の慌ただしい声が聞こえた。「茉奈、会社のプロジェクトで急なトラブルがあったから、急いで確認しに行かないと!」「杏奈はもうミルクを飲んで寝てるから、安心して!」たった二言で私は不安でいっぱいになった。娘の杏奈はまだ1歳ちょっとで、家に一人なんて安心できるはずがない。だが、夫にかけ直した時にはもう電話は繋がらなかった。クリスマスに出かける人が多すぎて、私は焦りながら渋滞の中に閉じ込められ、杏奈が無事であることを祈るしかなかった。慌てて家に戻ると、家の中が異様に静かだった。ベビーベッドに駆け寄ると、杏奈は気持ちよさそうに寝ていて、思わずその頬に手を伸ばした。触れると杏奈の額は熱く、明らかに高熱を出していた。私は急いで杏奈を車に乗せて病院へ向かい、その途中で夫に電話をかけた。「修平、杏奈が急に熱を出したの!」「すぐに市立病院に来て!」夫は一瞬だけ緊張した声を出した。「どうして熱なんか出るんだ?」「お前のせいだ。俺が何度も早くベビーシッターを探せって言ったのに、なんで聞かなかったんだ?」「今会議中だ。後で話そう!」私は歯を食いしばり、ハンドルを強く握り締めた。以前杏奈のためにベビーシッターを雇ったことがあったが、そのベビーシッターは私たちが仕事に出ている間に杏奈をこっそりつねり、監視カメラに撮られてすぐに解雇された。この出来事があってから、私はベビーシッターの選定に一層慎重になり、なかなか適任者を見つけられなかった。それがまさか修平に責められる口実になるとは思わなかった。しかし、今は修平に怒っている場合ではなかった。私は赤信号を三つ無視して市立病院に駆け込み、杏奈を抱えて救急室へ向かった。普通の風邪や熱だと思っていたが、検査の結果、医師から杏奈が睡眠薬を誤飲したと言われ、すぐに胃洗浄が必要だと言われた!その言葉は晴天の霹靂だった。杏奈の飲食はすべて私と修平が直接面倒を見ていたのに、どうして睡眠薬を誤飲することなんてあり得るのか?杏奈が真っ赤な顔で手術室に運ばれていくのを見ながら、娘の代わりに私がその苦しみを引き受けたいと思った。混乱の中
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第2話
一晩中バタバタしていたが、杏奈は翌日無事に退院した。家に帰ってから、私は杏奈にミルクを作り、寝かしつけた。一晩中眠れなかった疲れが一気に押し寄せ、服のままソファで眠りについた。目を覚ました時にはもう昼になっていて、料理を作ろうとしたその時、昨日医師が言ったことを突然思い出した。彼は私に、家の監視カメラを確認するようにと言っていた。どういう意味?杏奈が睡眠薬を誤飲したのは偶然ではなくて?人為的なものだったのか?そう思うと、体が震えた。この家には私と修平しかいない。まさか修平が杏奈に睡眠薬を飲ませたのか?だが、それは明らかにあり得ない!修平は浮気しているが、実の娘にそんな酷いことをするとは思えない。わずかな疑念を抱えながらも、私は監視カメラの録画を再生してみた。見始めてすぐに、怒りが胸の奥から込み上げてきた!監視カメラにはっきりと映っていた。修平が睡眠薬を潰して杏奈の哺乳瓶に入れている様子が!「幸乃、心配しなくていい。必ず時間通りにお前の家まで迎えに行くからな」「あのガキが泣き止まないから、少し静かにさせたんだ」彼は間違いなく監視カメラが作動していることを知らなかった。それを知っていたら、こんな大胆なことはしなかったはずだ。まさか彼が杏奈にこんな冷酷なことをするなんて!杏奈は彼の実の娘なのに!涙が再び視界をぼやけさせたが、今回は悲しみではなく怒りによるものだった。どんな母親も、自分の子供を傷つける他人を許すことはできない。それがたとえ子供の父親であっても!私は涙を拭い、自分を無理やり落ち着かせて監視カメラの映像を見続けた。驚いたことに、私が仕事をしている間、在宅勤務と言っていた修平が何度も三上幸乃を家に連れ込んでいたことがわかった。彼らはリビングのソファで情事を重ね、そばで泣き叫んで声が枯れた杏奈には見向きもしなかった!どうやら私が知らない間に、修平はとっくに浮気をしていたのだ!いいわ、いいじゃない。私はこれらの映像を保存し、冷静に弁護士に電話をかけた。「佐藤さん、こんにちは。離婚協議書を作成していただけますか」私は決心した。杏奈を連れて修平と別れ、この人間のクズから離れることを!……弁護士との通話を終えた直後、ドアが開く音が聞こえた。修平が大きな荷物を抱えて
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第3話
翌朝、私が起きた時、修平と三上幸乃は食卓で朝食をとっていた。修平は目の前のスープをふうと冷まし、三上幸乃に食べさせていた。私がまだ起きていないと思ったのだろう、二人の行動はかなり大胆だった。三上幸乃「小林社長、茉奈さんもすごくいい人だと思いますよ。時間がある時は、子供の世話を手伝ってあげたらどうですか。だって、あなたの娘さんですから」修平は明るい笑顔で言った。「あのガキなんて俺は知らねえよ。俺が面倒を見るのは、お前のお腹にいる宝物だ!俺たちの愛の結晶だからな!」三上幸乃は顔を赤らめて言った。「もう、恥ずかしい……でも、あなた約束したじゃないですか。男の子が生まれたら離婚して私と結婚すると」修平はすぐに頷いた。「もちろんだよ、幸乃。俺がお前を騙したことなんてあったか?」私は冷静にこの会話を録画し、そのまま弁護士に送った。修平が最近やけに大胆だと思ったら、三上幸乃が彼の子を妊娠していたのだ。当然、もっと私を怒らせたのは、私が命を削って生んだ娘が、修平にとって何の価値もない存在だということだ。この家には王座なんてないのに、男の子を欲しがるなんて、正直うんざりだ。私は杏奈をベビーカーに乗せて、散歩に連れて行こうとした。リビングに入ると、修平は食事を中断し、近寄って話しかけてきた。「おい、朝飯食べに来いよ」私はテーブルの残飯を見て、その申し出を断った。「いいわ、今日は天気がいいから、杏奈を連れて日光浴に行ってくる」杏奈はまだ小さいせいか、修平を見ると無邪気に両手を伸ばして抱っこを求めた。しかし次の瞬間、三上幸乃が大きな声で呻き始めた。「ああ、お腹が痛い……」修平は顔色を変え、両手を伸ばし続ける杏奈を無視して三上幸乃の元へ駆け寄った。「幸乃、大丈夫か?」三上幸乃は修平の腕を掴みながら言った。「私にも分からないです。小林社長、悪いけど寝室まで連れて行って休ませて」修平はそのまま三上幸乃を横抱きにし、寝室まで運んでいった。私は少し寂しそうな顔をしている杏奈をあやしながら、マスクをつけて家を出た。今日は本来、宝くじの換金に行く予定だった。杏奈を連れて窓口に行き、宝くじを換金すると、一億六千万円が手元に残った。私は福祉児童基金に二百万円を寄付し、もっと多くの子供たちを助けたいと思った。それが杏奈のた
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第4話
もっと詳しく見ようとしたが、修平に強引に引き離された。私は杏奈を抱えて家を出ようとしながら叫んだ。「小林修平、もう一緒に暮らせない!私は出ていく!」修平は顔を真っ青にして言った。「茉奈、お前は遠くから嫁いできたんだぞ。俺のところ以外どこへ行くつもりだ?お前が幸乃を殴ったんだろう?幸乃は何も言ってないのに、お前が偉そうにしてどうするんだ。さっさと幸乃に謝れ!」私は堂々と修平を睨み返して言った。「絶対に謝らない!」そう言い放つと、私はドアを開けて出て行った。修平は大声で叫んだ。「出て行くなら二度と帰ってくるな!俺の金も一銭たりとも使うな!」後ろで何か叫んでいたが、聞き取る気もなく、すぐに車を呼んで五つ星ホテルへ向かった。……道中、杏奈を抱きながら複雑な気持ちになった。これからは私と娘の二人だけで生きていくのだ。それでも、さっき三上幸乃のスマホで見た瞬間を思い出すと、なぜか可笑しくなって、別の番号に電話をかけた。丸一週間、修平からは何の連絡もなかった。多分、私が折れるのを待っているのだろう。一方で三上幸乃は毎日SNSに投稿していて、修平がいかに彼女を気遣っているかがよく分かるノロケばかりだった。もちろん、私もこの一週間何もしていなかったわけではない。南の都市にある大きなマンションをオンラインで購入し、数日後には完全に引っ越す準備を進めていた。早く入居するために中古物件を選び、とりあえず杏奈を落ち着かせることを優先した。弁護士も離婚協議書を作成してくれ、私はサインをして修平に送った。ところが、修平はどうしても離婚に応じようとしなかった。「茉奈、お前、もう十分騒いだだろ?怒りに任せるのもいい加減にしろ。なんで急に離婚なんて言い出すんだ?」私は静かに言った。「サインするのかしないのか、はっきり言いなよ」「しない!」修平はきっぱりと言い切った。「俺は絶対にお前と離婚しない!」「まさか幸乃のことで嫉妬してるのか?俺たちは本当にただの同僚だ。潔白なんだよ!」私は笑った。「潔白?三上が妊娠してること、知ってるんだけど」修平はしばらく黙り込んでから言った。「それが離婚したい理由か?」私は言った。「これだけじゃ足りないって言うの?」修平は何か大きく悩んでいるようで、しばらくしてから小声で口を開いた。
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第5話
#炎上!とある会社の社長が不倫、部下が妊娠動画が話題となり、三上幸乃が修平に離婚協議書へのサインを迫ったが、修平はどうしても応じようとしなかった。三上幸乃はその場で感情を爆発させ、修平を殴ったり罵ったりしながら、自分をただの出産道具として扱い、妊娠させておいて責任を取らないと言い放った。この騒ぎはたまたま内偵に訪れていた投資家の目に留まり、即座に投資撤回が発表された。瞬く間に、修平は世間から非難される最低の男となった。三上幸乃はまさに私の強力な味方だった。彼女のおかげで協議書にサインが得られただけでなく、修平の会社に致命的な打撃を与えてくれた。場違いでなければ、彼女に花籠を二つ贈って祝いたいくらいだった!……この騒ぎは話題ランキングのトップに2日間も残り、その間に修平にどれだけの悪影響を及ぼしたかは想像に難くない。仕方がない。自分の下半身をコントロールできなかった自業自得だ。しかし驚いたことに、修平は私が宿泊しているホテルの住所を調べ上げ、私が食事を買いに出たタイミングで待ち伏せしていたのだ。彼は私の前で鼻水をすすりながら涙を流し、「茉奈、やっとお前を見つけた。お願いだから戻ってきてくれ!」と言った。「お前がいないと、生きていけない。どうしてもお前が必要なんだ」私は笑い飛ばした。「そう?ネットで叩かれまくって生きていけなくなったから、仕方なく私を探しに来たんじゃないの?」修平は言葉を詰まらせたが、すぐに懇願を始めた。「茉奈、どうして信じてくれないんだ?俺はただ三上幸乃に子どもを産ませたかっただけなんだ。体は裏切ったかもしれないけど、心はずっとお前のものだ。俺が本当に愛しているのはお前なんだ!」私は吐き気をこらえながら言った。「なら、お願いだからもう私に構わないで。私たちはもう離婚したんだから」私が立ち去ろうとすると、修平は慌てて私を引き止めた。「俺たちやり直せるさ!茉奈、お前が俺に気持ちがないなんて信じられない。きっとヤキモチを焼いてるんだろう!」私は何も言わなかった。「……」ちょうどその時、一台のタクシーが入口に停まり、少し膨らんだお腹の三上幸乃が車から降りてきた。彼女は私と修平を力強く引き離し、まるで正妻のような態度で言った。「あなた!会社に行くって言ったじゃない!どうして他の女とベタベタし
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第6話
聞いたところによると、三上幸乃は病院に運ばれた後、子どもを失い、泣き叫びながら修平に4000万円の賠償を求めたらしい。一方で修平の会社の資金繰りはさらに悪化し、スキャンダルが原因で多くの投資家が資金を引き上げたため、大規模なリストラを余儀なくされ、破産寸前の状態に陥っていた。しかし驚いたことに、三上幸乃が流産してから1週間も経たないうちに、修平は再び私の前に現れた。私はホテル近くのレストランで杏奈の離乳食を買っていた。やつれた修平が私の目の前に現れ、まるで10歳老けたかのようだった。彼は私の袖を掴もうとして言った。「茉奈、俺と一緒に戻ろう。すべて片付けたから」私は慌てて数歩後退しながら言った。「ちゃんと分かってる?私たちはもう離婚したのよ!」修平はポケットから2つの小さなぬいぐるみを取り出し、媚びるような笑みを浮かべて言った。「何を言っても、俺は杏奈の父親だ。父親のいない環境で杏奈を育てるわけにはいかないだろう?」杏奈は確かに私の弱点だ。しかし、それが彼女に睡眠薬を飲ませた悪魔を父親として認める理由にはならない。私は修平を無視して、背を向けその場を立ち去ろうとした。修平は感情的になり、私を強く掴んで叫んだ。「茉奈!行かないでくれ!俺にはもう子どももいない、会社も破産寸前だ。俺にはお前しかいないんだ!お前だけは俺から離れるな!」私は呆れて笑いそうになりながら言った。「今になって私のことを思い出したの?私ってそんなに都合のいい女なの?」修平と押し合いになったことで周囲の人々が注目し始めた。助けに来ようとする親切な人もいたが、狂ったような修平の様子に恐れをなして誰も近寄れなくなった。「こいつは俺の嫁だ!家に連れ帰るのは当然だろ!誰でも近づいてきたらぶっ殺すぞ!」絶望的な状況の中、三上幸乃の家族が飛び込んできて私を救った。もちろん、彼らの目的は私を助けることではなかった。三上の父母は私と修平を引き離し、親戚たちを引き連れて修平を取り囲んだ。「小林め!うちの娘に精神的損害賠償として四億を払え!」修平は仰天した。「四億だと?幸乃に4000万はすでに振り込んだぞ!信じないなら調べてみろ!」三上の父が手を振ると、屈強な男二人がすぐに修平を押さえつけた。「小林修平、はっきり言っておくが、お前がうちの娘を虐
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第7話
見物人が増えてきたのを感じて、私は声を大きくした。「そうなの?本当に杏奈と私を愛していたら、助手と浮気して、息子を産んでもらって家を継がせようとなんてしなかったはずよ」「杏奈が女の子だから、ちゃんと世話したことなんて一度もない。助手のお腹の子が自分の子じゃないと分かって流産させて、多額の賠償金を払う羽目になって初めて後悔したんでしょう。それにね、私知ってるのよ、三上の家族にやられて、あんたもう二度と子どもを持てなくなったこと。そうじゃなかったら、今さら子どものことを思い出すなんてないわよね?」修平は驚愕の表情で私を見つめていた。私が彼の生殖能力を失った事実を知っているとは思いもしなかったのだ。実は簡単なことだった。修平の病院での緊急連絡先はまだ私になっていて、病院側は私たちが離婚したことを知らなかったから、この事実を私に伝えてきたのだ。こうして、杏奈は修平にとって唯一の血縁となった。たとえ杏奈が女の子であっても、彼は奪おうと必死になるはずだ。「言わせてもらうけど、この男、本当に厚かましいわね!浮気した挙句にバレたら、今度は元妻に戻ろうとするなんて!」「見た目からしてロクな男じゃないわ!」「本当に気持ち悪いわ。浮気して愛人を作って、そのお腹の子が自分の子じゃないと分かったら、今度は元妻に粘着するとか。こんなクズ、初めて見たわ」「元妻は彼と離婚して本当に正解ね。そうじゃなかったら、きっと精神的に追い詰められて死んでたわ!」周囲の群衆は修平を指さしてひそひそ話を始め、そのせいで修平の顔は赤くなったり青ざめたりしていた。私はその隙に数歩離れて車に乗り込み、立ち去る準備をした。「相川茉奈!」修平が突然私の名前を叫び、ピカピカに光るナイフを取り出した。周囲の人々は驚いてすぐに数歩後退したが、数人の中年男性が修平を取り押さえようと構えていた。私は表向きは無表情を装っていたが、内心では修平の行動に怯え、足がすくんでいた。もし彼が本気で私と杏奈を傷つけようとしてきたら、どうやって逃げればいいのか考えていた。考えを巡らせているうちに、修平は私から数歩離れたところで立ち止まり、叫んだ。「茉奈、最後にもう一度言う。杏奈を置いていけ。俺が欲しいのは杏奈だけだ!」この状況に驚いたのか、杏奈は私の首にしがみついて大声で泣き叫び始めた
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