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─8─対峙

ผู้เขียน: 内藤晴人
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-07-15 20:30:00

 薄暗い室内で、シエルはため息をついた。

 司祭館から引き出され、駐留軍司令部内にあるこの部屋に押し込められてから、もう何日になるだろう。

 室内にあるものといえば、机と椅子と寝台のみ。

 明かり取りの窓から差し込む光の長さから察するに、そろそろ昼過ぎといったところだろう。

 彼は再びため息をつく。

 敵の手に手に落ち、挙げ句にその本拠地に連行されるとは、失態もいいところだ。

 目指す『聖地』は目前であるにも関わらず、そこに行くことはできない。

 あとどれくらいここにいれば、聖地に向かうことができるのか。

 否、それ以前に生きてここから出られるのか、定かではない。

 やはり、あそこで戻るべきではなかったのか。

 けれど……。

 そんな思いが、何度も脳裏に浮かんでは消える。

 おそらくその答えは、決して導き出されることはないだろう。

 三度ためいきをついたとき、前触れもなく重い音と同時に扉が開いた。

 視線をそちらに向けると、そこにはエドナの軍神あるいは黒衣の死神と呼ばれるロンドベルト・トーループが、副官のヘラ・スンを伴って立っていた。

「……一軍の将が一介の神官に何の用だ?」

 機嫌悪そうに低くつぶやくその人に向き直ると、ロンドベルトは声をたてずに笑った。

「ご無礼はお詫びします。しかし、それもこれも、貴方が何も語ってくれないからですよ。旅の目的はおろか、名前さえも。違いますか?」

 ロンドベルトの言う通りだった。

 彼の名前と身分は、所持していた通行証から判明したものであり、彼自信の口から語られた訳ではない。

 まるで興味を示さないとでも言うようにそっぽを向く彼をよそに、ロンドベルトはさらに続ける。

「その頑(かたく)なさがご自身の立場を危うくしている。それを貴方が一番理解しているんでしょうが……」

「どう思おうと、そちらの勝手だ。俺をルウツの間者だと判断するならば、処刑するなり何なり好き
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     アルバート・サルコウは悩んでいた。  いや、正確に言うと、ここ数日の間に目の前で起きていることを理解できずにいた。  ことの発端は、黒衣の軍神と呼ばれるイング隊隊長ロンドベルト・トーループが、戦場から前触れもなく連行してきた敵国の神官だった。  いや、その人はただの神官と言うには明らかに異なる空気をまとっていた。  まず深淵を思わせる藍色の瞳は神官というにはあまりにも鋭い光を放っている。口数こそ少ないが、発せられる言葉はこの世界を突き放しているようでもあったが、どこか悟りの境地に達しているようでもある。  そして何よりも異質だったのは、身体中に刻まれた無数の傷である。それらはあの人が今まで歩んで来た道が尋常でない苦難の積み重ねであることを現しているようであった。  加えて身のこなしや所作にはまったく無駄がなく、神官と言うよりは武人と言ったほうがしっくりくる。  だからと言って、修練にまったく通じていないという訳ではない。動けるようになるなり司祭館の書庫にこもり教典を読みふけっていたようであるし、多くは語らない言葉の端々に『見えざる者』への信仰を強く感じさせられた。  だが、どうしても拭いきれない違和感から、アルバートは敵国の間者が巡礼中の神官を装っているのかと疑っていた。  そこで、何度か色々と鎌をかけて見たのだが、打てば響くような返答はまさしく教えに則ったものであり、その考えは誤っていたと悟った。  けれど、アルバートはまだその人にどこか引っかかるものを感じていた。  改めてアルバートはその人がこの地に訪れてからのことを思い返す。  半生半死の状態で運ばれてきたその人が、意識を取り戻して初めて口にした言葉は、まるで自分を見殺しにしてくれと言わんばかりのものだった。  治療に当たった父親いわく、その人の記憶の奥底には二つの暗示がかけられているという。  一つは記憶を封じるもので、こちらはかなりほころびかけているらしい。  もう一つは自害を禁じるもので、対象的にこちらはかなり強固なものだという。  本来、神官が他者の記憶に手を加えることは禁じられている。  にもかかわらずそれがなされているとい

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