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第3話

작가: ネコ助
「だめだ——」

湊は眉をひそめ、私を説得しようとした。

電話の向こうで、心春の声が聞こえた。とても近い。彼のすぐそばにいるようだった。

「湊さん、このペアリング、すごくきれい……」

「いいよ。どれだけ値が上がっても、必ず競り落としてあげる!

千夏、君はもう大人なんだから、自分のことは自分でちゃんと面倒を見て」

湊の声から優しさが消えた。彼は二言三言だけ適当に告げると、あっさり電話を切った。

けれど心春が現れる前は違った。接待の席で無理をして胃から出血し、病院で「珍しい血液型だから気をつけてください」と言われたとき、湊はひどく怯えていた。夜も眠れず、泣きながら「俺を置いていかないでくれ」と私にすがり、それ以来、片時も私のそばを離れようとしなかった。

たとえ私の指に小さな切り傷ができただけでも、過剰に反応していた。

なのに今では、私が腎臓を一つ失っても、彼はただ軽く受け流し、適当に済ませるだけだった。

この恋を手放したとはいえ、胸の奥にはやはり、勝手ににじみ出る苦しさが少しだけ残っていた。

私は自嘲気味に笑い、湊の番号を着信拒否にした。

一日目にまずしたことは、ハウスクリーニングの業者を呼び、家の中にある私のものをすべてきれいさっぱり片づけることだった。

手作りのペアの陶器人形、七年間で撮った二万枚の写真、屋敷の鍵まで、すべて処分した。

二日目、私は葬儀社に連絡し、自分の死後の手配を決めた。

三日目、私は友人たちとパーティーをはしごした。ゲームに負けた罰として、かっこいい男の子と腕を絡めて酒を飲む私を見た友人は、顔色を変えた。

「彼に見られたら、私、殺されるって!」

ネオンの光と酒の匂いの中で、私は平然と笑った。

「どうでもいい。もう気にしてないから」

その夜、我慢できなくなったのか、湊から一枚の写真が送られてきた。薄暗い照明の下で、私が若い男の子と腕を絡めて酒を飲んでいる写真だった。

「千夏、家に帰ってこい。正座して説明しろ!」

四日目、私はようやく家に戻った。

湊に怯えたからではない。注文していた荷物が届いたからだ。

玄関を開けた家政婦の山村は、私を見るなり声を潜めた。

「千夏様、あとで湊様に逆らってはいけませんよ。素直に謝ればそれで済みますから」

中に入ると、湊がソファに座り、泣いている心春をなだめていた。

心春は部屋着姿で、手には淡いピンク色のエンディングドレスを握りしめている。薬指には、あのペアリングがきらりと光っていた。

私が状況をつかめずにいると、心春は私を見るなり、さらに泣き声を大きくした。

「千夏さんが私をよく思っていないのはわかっています。私がこの家にいるのも、嫌なんですよね。でも、だからってエンディングドレスを送りつけるなんて……まるで私に死ねって言ってるみたいじゃないですか」

この二日間、彼女はここに住み始めていたらしい。私は本当に知らなかった。

湊は眉をひそめた。

「千夏、表向きは平気なふりをして、裏でこんな嫌がらせをするなんてな。君が家を飛び出して、外で好き勝手していたことだって、俺は何も言わなかっただろう。

俺はただ、心春の具合が心配で、しばらくこの家に置いているだけだ。それなのに、どうして——」

私は冷めた目で心春を見たまま、彼女の手からそのドレスを奪い取った。

「誰があなたに買ったって言ったの?」

ドレスを広げ、自分の身にまとった。

「これは私が自分のために買ったの」

それどころか、姿見の前で軽く確認までした。

ぴったりだった。

以前の私は、本当に死ぬのが怖かった。私がいなくなったら、湊が生きていけないと思っていた。

けれどいざ死を目前にして、ようやく気づいた。

私は自分を買いかぶりすぎていたのだ。

湊の表情はひどく険しくなり、立ち上がるなり私のドレスのボタンを外そうとした。

「千夏、気でも狂ったのか!早くそんな服を脱げ!」

私は身をよじって避けた。

湊の表情が沈んだ。

「責められるようなことをしたなら、逃げずに向き合え。心春にちゃんと謝るんだ」

私が口を開く前に、湊は伸ばしていた手を下ろし、ため息まじりに数枚の書類を取り出した。

「君は意地になって退院して、外で好き勝手に遊び回っている。なのに心春は、退院したばかりなのに会社のためを思って、何日も残業してくれたんだ。

心春は、君が腎臓を提供してくれたことに本当に感謝している。君の負担も少しでも減らしたいと言っているんだ。副社長のポストは、心春に譲ってやってくれ。彼女が君の仕事を引き継げるように」

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