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第203話

Author: 一燈月
小夜は、特に何も感じていなかった。

小夜はこの数日、どうすればもう一度長谷川邸へ行き、身分を証明する書類を探し出せるか、その方法を考えるのに必死だった。

宗介の件は、もうすぐ片付く。海外へ発つ前に書類を手に入れなければ、面倒なことになるのだ。

金曜日、芽衣から電話があり、もう大詰めだと告げられた。

小夜はついに我慢の限界に達し、もう一刻も待てなくなった。

その日の午後、小夜はいつものようにボディーガードに付き添われ、学校へ樹を迎えに行った。

帰りの車の中で、小夜は樹に、勉強を頑張ったご褒美にプレゼントを用意した、と告げた。

樹は大喜びで、運転手に長谷川邸へ向かうようせがんだ。

小夜の胸は、罪悪感でいっぱいだった。

実際にはプレゼントなど用意していない。今まで一度も樹に嘘をついたことなどなかったのに、今回ばかりは例外だった。その罪悪感に、胸が締め付けられるようだった。

長谷川邸に着いた。

小夜は樹を部屋へ連れて行き、そこで待っているように言った。

部屋を出る時、やはり罪悪感がこみ上げ、小夜は思わず足を止めた。そして、しゃがみ込むと、その小さな額にキスをし、優しい声
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