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第4話

福満
柚は目を伏せた。「もういらないから処分したの。それがどうかした?」

慎吾と一緒に現れた蛍が、慎吾に囁く。

「前、友達が旦那さんの気を引くために、思い出の品とかお揃いの物をわざと捨てて、もう旦那さんに気がないふりをしてたの。もしかしたら、お姉ちゃんもそれを真似してるのかも」

しかし、蛍はそう言い終えると、これ見よがしに慌てた様子で手を振った。

「あ、違うの、慎吾!別に、お姉ちゃんが駆け引きしてるって言ったわけじゃないから!勘違いしないでね」

すると、慎吾の目から動揺は消え、軽蔑の色だけが残った。

「柚、こんなくだらないことしやがって!嫉妬以外に、お前は何ができるんだ?

あの写真だって、お前が俺や颯太に撮ってくれって懇願したやつだろ?なのに、自分で捨てたんだ。後悔しても知らないし、もう二度とお前なんかとは撮ってやらないからな」

柚の瞳は翳り、声を落として言った。「私が悪かったの。両親に失望したあと、その穴埋めみたいに、あなたと颯太にばかり心を向けてしまったから」

もし慎吾と颯太に依存していなければ、裏切られても、ここまで追い詰められて自ら命を絶とうとするほどではなかったと思う。

柚は後悔していた。

慎吾が眉をひそめる。「もうこんなくだらないことなんかするなよ。移植手術が終わったら式を挙げるって言ったこと、破りはしないから安心しろ」

一生大切にするとプロポーズしてくれたのは、この男ではなかったのか?

それを、今は破っているくせに。

すると慎吾のスマホが鳴り、彼が外へ出て行った。

病室に残ったのは、蛍と柚だけ。

蛍は嘲笑するように言った。「慎吾が結婚式を挙げてくれるなんて、本気で信じてるの?そんなの、私への腎臓提供を渋られないように、適当に言ってるだけじゃない」

蛍の言葉が真実かどうか、柚には分からなかった。

まあ、どちらにせよ慎吾は、常に自分に対して冷酷だ。

それに、今更真実かどうかなんてどうでもいい。

この勝ち誇ったような顔をしている蛍の顔を見続けるのもごめんだ。柚は冷たく言い放つ。「言いたいことはそれだけ?他に何も無いんだったら、出てってくれる?」

「私に出ていけだって?何よその態度!」

憤慨した蛍は自分の頭を水の入っていたグラスで叩くと、柚の点滴チューブを掴んで床に倒れ込んだ。

「慎吾、助けて!お姉ちゃんに殺される!」

乱暴に抜かれたため、針が刺さっていたところからは血が流れ出し、床に点々と落ちていく。

駆け込んできた慎吾は、そんな柚を見て一瞬、不安げな表情を浮かべた。

しかし、蛍の悲鳴を聞いた途端、彼の視線は完全に蛍へと向けられた。

「慎吾、お姉ちゃんが言ってたの。無人島で私を殺せなかったのが心残りだって。だからさっき、私の顔を傷つけようとしたのよ。顔さえ台無しにすれば、あなたもお父さんお母さんも、颯太も、みんな私を嫌いになるって……」

蛍は声を上げて泣いた。

慎吾は蛍を優しく抱きしめ、憎しみを込めた目で柚に向き直る。

「本当にお前は反省しないんだな。今回の新技術の特許、発明者は蛍に変えるからな。これで蛍への償いとしろ」

柚は西村グループの社員だった。だから、新特許の権利は慎吾の手の中にあり、署名を変えることなど慎吾にとっては、朝飯前だった。

慎吾に何をされようとも、もう心を乱すことはないと柚は思っていた。

しかし、この言葉を聞くと、やはり冷静ではいられなかった。

「やめて!あの特許は私が5年の月日をかけて開発したものなの!そんな勝手なこと、許さないから!」

これまで、何もかも蛍に差し出してきた。それに、この命さえ、差し出すというのに……

なのに、なぜこの特許さえも奪おうとするのか。

すると、蛍が潤んだ目で言った。「お姉ちゃんにこんなことされるのは、一度や二度じゃないから、別にいいの。それに、お姉ちゃんは特許にこだわってるみたいだし……慎吾、私はいいから」

慎吾は蛍の頭をなでて、優しく呟く。「こいつはそれだけのことをしたんだよ」

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Aktuellstes Kapitel

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  • 夫と息子が憎む私はもう死んだ   第18話

    柚はまた始まったこの芝居に、ひどくうんざりした。だが何か言う前に、慎吾が駆け寄ってきた。「蛍!」彼は蛍を抱き上げると、柚を睨みつけた。「柚、悪いのはお前だろ?蛍はいつも被害者なのに、何でいつまでたっても追い詰めるんだ?」慎吾にこう誤解されるのは今に始まったことではない。だから、もう彼にどう言われようと気にしていなかった。しかし、そこに弘樹と剛夫婦までもが歩み寄ってきたのだ。柚は動揺し、手のひらに冷や汗がにじむのを感じた。今の家族は自分にとても優しくしてくれる。かつての慎吾や両親と同じように、蛍の嘘のせいで弘樹たちも自分を誤解し、嫌うのではないかと心配になった。柚は衣類の端を握りしめる。「私は……」「大丈夫だよ。俺がいるから」弘樹は柚を背後に隠すと、皮肉を込めて言い放った。「我が家のパーティーで、俺の婚約者にそんな言いがかりをつけるなんて、いい度胸ですね?」蛍は何も語らず、ただ泣き続けた。まるでこの世の終わりのような不幸を演じている。慎吾が顔をしかめた。「清水社長、事の経緯も知らずに決めつけるのですか?柚がシャンパンタワーをわざと突き飛ばして、蛍に浴びせたんですよ?」しかし、弘樹は眉一つ動かさず言い返す。「柚が人を傷つけるようなマネをするはずがないですから」弘樹が自分を守ってくれるのを見て、柚はようやく肩の力を抜いた。広い背中を眺め、今までにないほどの安心感を抱く。しかし慎吾は激昂した。「何一つ分かっていないくせに、この女を庇うっていうんですか?こいつは……」「清水社長、監視カメラのデータを持ってきました。今すぐ流しますか?」誰かが小走りで近づいてきた。弘樹が静かに頷く。モニターに映された映像では、蛍が自分でシャンパンタワーを引き倒す様子が、しっかりと確認できた。それを見た慎吾は、あんぐりと口を開け、みるみるうちに顔を青ざめさせていった。慎吾が蛍を突き飛ばす。「お前、俺を騙していたのか?」床一面の割れたグラスの上に突き飛ばされ、蛍の体は傷だらけになった。蛍は泣きながら言った。「皆さん誤解です!私が佐々木さんを陥れるなんて……足を滑らせてタワーにぶつかってしまい、パニックになった私が悪いんです、私が……」蛍の泣きわめく芝居は、もう見飽きた。柚は歩み出ると、蛍の頬を強く

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