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第791話

작가: かおる
ハリーは知っていた。

夜が生きてさえいれば、自分の地位など、必ず彼女の下だということを。

この一生、どうあがいても夜には敵わない。

彼が放つ光は、夜の存在だけでかき消される。

――だが、幸いだった。

夜は、早くに死んだ。

彼女の死を知らされたあの日、ハリーは空を仰いで笑い声をあげた。

天すら自分の味方をしてくれたのだと思った。

もう誰にも、自分の上に立たせはしない。

夜の死後、彼のキャリアは一気に爆発的な伸びを見せた。

ワーナー先生以外に、ハリーの前に立ちはだかれる者は誰もいない。

ヴァイオリン界で無双状態となり、ついに彼を超える者は現れなかった。

彼は痛快だった。

自由だった。

そして――夜に見せつけたかった。

「今の俺は、もうおまえの届かない場所にいる」と。

ハリーはつねに高みから世界を見下ろし、誰も眼中に入れなかった。

敗北という感覚すら、この数年で忘れていた。

だが今。

このヴァイオリンを目にした瞬間――

胸の奥に、かつて味わった重圧がぶり返す。

遠ざかってゆく星の背中を見つめながら、ハリーの瞳には冷たい光が宿った。

......錯覚
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